『いつか春が』執筆日記

波乱に満ちた人生。夢に向かって挑戦する男のドキュメントストーリー。

物語:続「いつか春が」

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昨夜、台湾ラーメンなるものを食させて頂きました。
レトルトパックにスープが入っていて、スープの中には
肉もたっぷり入っていました。

味のほうは・・・辛い。
鼻の奥に辛さが突き抜ける感じでスープをよく見ると
刻まれた赤唐辛子が何本か入っているのが分かりました。
「お父さん、スープは全部飲まないほうがいいよ。これを
食べた友達は翌日、胃がもたれたと言ってたからね」
娘の忠告を無視してスープまで飲んで完食しました(笑)
辛いけれどうまい。うまいけれど辛い。
辛いけれど辛さがあとを引かない辛さ。
何と表現したらよいのか(笑)
食べ終わった後に額には汗が噴出して鼻水が。

辛さの中に旨みが溶け込んだ台湾ラーメン・・・美味しかったです(笑)





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はじめての方へ。冤罪はどのようにして作られるのか。司法の正義とは何か。
一人でも多くの方々に本を読んでいただき、何かを感じてもらえれば幸いです。
「いつか春が」ダイジェスト版 総集編↓↓
http://blogs.yahoo.co.jp/rainrain1192/15336915.html
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     『続・いつか春が』
    第7話「テレビ朝日との出会い」

私たちは、まさかの控訴が決定し、再び裁判を闘うことに
なった。控訴の知らせを聞いた時は、さすがに夫もがっくり
と気落ちしていたが、少しずつ落ち着きを取り戻し、以前の
穏やかな生活を取り戻しつつあった。

健一郎も運良く以前の「まちづくり」の仕事に復帰し、県の
大型プロジェクトのメンバーとして携わることができた。
私も夫も、息子が三年間のブランクを埋めるかのように仕事に
没頭する姿を見て安心した。
このまま私たちは順調に以前の生活に戻れるような希望さえ
わいていた。

私たち家族にとっては、検察や告発グループに対する怒りが
消えたわけではなかった。しかし、悪夢のような忌まわしい
三年間を早く忘れて、元の生活に戻ることのほうを優先した
かった。刑事裁判の苦しみを経験した者として、一刻も早く
普通の生活に戻りたいというのが正直な気持ちだった。

検察は控訴したものの、一ヶ月が過ぎても新たな動きは見え
なかった。記者会見で「判決には事実誤認がある」と発表し
たまま控訴理由は何も示さないまま時間だけが過ぎていく。
もしかしたら裁判はこのまま終わったのでは、と思えるほど
静かな日々が過ぎていった。

「先生、その後検察からはまだ何も言うてこないのでしょう
か」
夫は検察の動きが読めず、あまりの静けさに弁護士の先生に
時折電話をして確認していた。
「まさか、いったん控訴して自ら控訴を取り下げるなど絶対
にありませんよ。一審で地検(地方検察庁)が負けているか
ら今度は高検(高等検察庁)は総力をあげて闘ってきますよ。
時間をかけて準備しているのですよ。油断してはいけません」

弁護士の先生たちはあくまでも慎重だった。
一審の刑事裁判で無罪を勝ち取ったことも、弁護士には初め
ての出来事で、ましてや控訴審で福岡高検と闘うなど初めて
であった。まさに私たちは未知の世界に突入していた。
これから先、どんな闘いが待っているのか誰にも想像できな
かった。

控訴決定からまもなく二ヶ月を迎えようとしていた平成十六年
四月。健一郎のもとへテレビ朝日から電話がかかってきた。
テレビ朝日の報道特集番組「ザ・スクープ」のプロデューサーの
原という人物からだった。
健一郎に一度会いたいという申し入れだった。
当時、「ザ・スクープ」は北海道や福岡県警のいわゆる警察裏金
問題をスクープして全国に波紋を投げかけていた。その事実を
暴いたのが「ザ・スクープ」であった。

「副島さん、あなたからの番組宛てのメールは読んでいました。
私どももこの事件については関心を持ち、いろんな情報を集めて、
裁判を見守っていましたが、本当に大変な事件でしたね・・・」
こう切り出した原プロデューサーは、五十になるかならないかの
ほっそりとした物静かな男性だった。
世の中にはびこる権力の不正や冤罪事件の真相を検証してきた
番組の敏腕プロデューサーというイメージはなかった。

「副島さん、ぜひ私たちに事件の真相を世間に伝えるお手伝い
をさせて下さい」
「つまり事件の真相を伝える番組を作る・・・そういうことですか」
「はい・・・」
電話がかかってきた時点で、健一郎にはもしかしたらという予感
はあった。嬉しい申し入れであり、真実を世間に伝えたいという
思いは家族の願いでもあった。
無罪判決が下されたものの、結局事件の真相は依然として解明さ
れないまま控訴され、世間との溝は埋まらないままだった。
無罪の喜びにわいたのは一瞬だけで、再び世間から孤立した状況
に陥っていた。
「無罪が出たのに控訴されたということは、やっぱり何かあると
やろう」と影で噂する声も耳に入っていたし、ネット上では無罪
判決に対して反論の意見も飛び交っていた。
「検事をわざと怒らせて、暴言を吐かせてそれをタテにして無罪
を勝ち取るという方法。あのじいさんうまいことやったな」
「あの元組合長という男、検事が怒るだけのふてぶてしい態度だ
ったに違いない」「被告が正直に話さないから検事は怒ったのだ
ろう」

心無い誹謗中傷の書き込みも多かった。
世間ではなぜ無罪になったのか、事件の真相が解明されないまま
控訴されたことで、世間との溝が埋まることはなかった。
そういう状況の中での番組制作の申し入れに対して、健一郎は今
度こそ事件の真相を伝えることができるチャンスだと思った。

コーヒーカップを手にしたまま考え込んでしまった健一郎を、原
プロデューサーは何も言わずに見つめていた。

                        つづく

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      「続・いつか春が」
     第6話「事実誤認?控訴決定」


控訴期限終了まであと二日とせまった夜。
健一郎の携帯電話のベルがなった。
時計の針は間もなく午後八時を回ろうとしていた。


新聞社の記者からだった。
こんな時間に何だろう・・・胸騒ぎがした。
「もしもし、副島です」
「あっ、副島さん。じつはですね・・・さっき・・・」
記者の言いにくそうな声を聞き、緊張が一気に高まった。
「何かあったんですか?」
「じつはですね、さっき検察が記者会見を行い控訴した
ことを正式に発表しました」
「えっ!・・・控訴!本当ですか」
「はい、今夜七時十五分に検察が緊急記者会見を行うと
いうことで私も行ってきました。ご存知でしたか?」
「いいえ、何も・・・今、初めて聞きました」

健一郎は一番聞きたくなかった「控訴」という言葉を聞き、
緊張の糸が切れてしまったのか、目の前が真っ暗になり、
力が抜けていくのが分かった。
記者に動揺している様子を察知されたくなかったので、あえて
平静さを装った。

「それで検察は何と言っているのですか?」
「控訴理由は判決に『事実誤認がある』と」
「どういうことですか」
「つまり検察は先日の無罪判決に間違いがあると言って
いるのですが、何が間違いだとか詳しいことは言いいません
でした」
「何ですかそれは。どこに間違いがあるというんですか!」
「さあ・・・私たちも分からなくてですね。控訴決定を聞いて
どう思われますか」
「まったく話になりませんね。検察はあんな滅茶苦茶なことを
しておいて、なぜ控訴できるのですか。メンツだけで控訴した
としか思えませんよ」

健一郎は検察への怒りをはき捨てた。

記者との電話が終わると、健一郎はすぐに電話をかけてきた。
夫は予期していたのか取り乱すことはなかった。
「そうか・・・検察は控訴したとか・・・また裁判のやり直しだな。
やっと終わったと思っていたのに・・・」
私には夫が落胆しているのが分かった。

翌日、弁護士のもとに集まった。

「先生、これはいったいどういうことですか。検察は人の人生を
滅茶苦茶にして、さらに自分たちのメンツのために控訴した
としか思えません、こんなことが許されるのですか」
健一郎は怒りをあらわにして弁護士に詰め寄った。

日野弁護士はため息をついたあとで、静かに話し始めた。
「一番恐れていた最悪の事態となりました・・・控訴するためには
それなりの理由がなければなりません。事実誤認という控訴理由
ですが、何が事実誤認なのか今の状況では何も分かりませんしね・・・」

「検察は自分たちが何をしたのか知っているはずですよ!無実の
人間を無理矢理に犯人にでっち上げようとして、私たちがどれだけ
苦しい思いをして無実を証明したかなど、まったく分かっていない
のですね。あまりにもひどいじゃあないですか!司法ではこんなこと
許されるのですか」
「・・・・・・」
先生は何も答えなかった。

今までの三年間はいったい何だったのだろう。
私は憤りよりも、メンツのためにここまでしなければならない
司法の現実に、失望し情けなくなった。
しかし、控訴されたという事実は変えることはできない。
再び闘うしかない。

「先生、私たちはこれからどうすればいいのでしょうか」
今まで黙って話を聞いていた夫が重たい口を開いた。
「うーん、検察は今回控訴した理由を『控訴趣意書』という書面で
福岡高裁に提出しなければなりませんので、それを見てみないと
何が『事実誤認』なのか、今の時点では何も分かりません。
控訴趣意書を待つしかないのですよ」

「先生、もしかしたら検察はとりあえず控訴して、また嘘の
筋書きを作るとか・・・そんなことはないでしょうか」
健一郎は納得がいかないといわんばかりだった。

「うーん・・・まさかそういうことはないと思いますが。今度は
佐賀地検でなく福岡高検に移るわけですからね。高検までもが
変なことはしないと思いますが・・・」

控訴が正式に決定して、私たちは再び闘うことになった。
闘う相手は佐賀地方検察庁から福岡高等検察庁へと変わった。



                      つづく


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       「続・いつか春が」
       第5話 「長い一日」


無罪判決の翌日、朝刊各紙は検察の取調べのずさんさを指摘。
検察側はこの報道に対して静観。二週間という控訴期限に向けて、
検察がどのような結論を出すのか。既に私たちには緊張と不安の
二週間が始まっていた。

このまま検察が「控訴は無理だ」と断念したら、その瞬間に無罪
が確定する。「控訴断念」という朗報を待ち続ける中で、健一
郎は福岡に戻り、家族も普通の生活に戻ろうと動き始めた。
特に健一郎の場合は、自分の仕事は捨てて夫の無実を証明する
ために証拠や証人探しに奔走してくれていたので、夫も私も
感謝していたが、一日も早く普通の生活に戻ってくれることを
願っていた。

息子もそのことは十分に承知しているようで、福岡に戻ると仕事
への復帰をめざしてすぐに動き始めた。
裁判でぽっかりと空いてしまった三年間というブランクを埋めよ
うと、健一郎も新しい人生に向けての活動を開始したが、もちろ
ん簡単なことではなかった。

「もう俺は人前には立たないよ。今までも『あの事件の家族か』
と陰口を言われてきたし、無罪だからといっても心無い人たちは
いつまでも言うだろうしね。だからこれからは表に出ない形で
仕事するよ」

健一郎は世間に対してうんざりしたのか、世間に背中を向けて
生きていこうとしているのが、親として悲しくもあり辛かった。
この事件がなければ息子だって別の人生を歩んでいたはずだ。

無罪判決から数日後、日野弁護士から気になる連絡が入ってき
た。
「検察の動きがおかしいんですよ・・・毎晩夜中の二時や三時までも
検察庁の明かりがこうこうと灯っているのですよ。よほど大きな
事件でもないかぎり、深夜まで明かりが灯るなんてないのに・・・
気になっているんですが、そちらのほうにも何か新しい情報が
入ったら教えてください」

検察が何か動いていることは確かなようだ。もしかして控訴に
向けて動いているのでは・・・不安がふくらむばかりであったが、検
察に関する情報は今のところ何もつかめなかった。

一日が長く感じられた。
電話がなるたびに緊張した。
「もしや控訴されたという連絡では」と、検察の影におびえながら
一日が過ぎていくという状態だった。

何も起きないまま一日が終わるたびに、夫や私たちは不安が期待に
変わっていくのが分かった。

夫も待つのが苦しくなり、夕飯を食べながら毎日同じことを口に
するようになった。
「よかったなあ、今日も何事もなく一日が終わったばい。もし
かしたら、検察はこのまま控訴を断念するかもしれない・・・控訴
期限終了まであと一週間ばい。それにしても二週間て長かなあ・・・」

また新たな情報が飛び込んできた。
事件の問題となった融資に関係した当時の農協職員が次々に
検察庁に呼び出されていることが分かった。今度もかなりの者が
呼び出されて、執拗に事情聴取を受けているらしい。情報をまと
めると、この一週間あまりの間に既に数十人の者が事情聴取を
受けているようだった。

「あなた、何かおかしいね・・・検察がこんなに動いているなんて、
もしかしたら検察は控訴しようと動いているのでは・・・」
「まさか、そんなことはなかろう。今まであれだけ大掛かりに
捜査して何も証拠が出てこなかったし、嘘の告発状に踊らされた
ことは分かっておるはずばい。いまさら何ばするとかい」

私と夫の会話は毎日検察が控訴するかしないかの話題に変わった。

控訴期限終了まであと二日とせまった夜。
時計の針は間もなく午後八時を回ろうとしていた。

健一郎の携帯電話のベルがなった。

                           つづく


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はじめての方へ。冤罪はどのようにして作られるのか。司法の正義とは何か。
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        「続・いつか春が」
  
       第4話 「弁護士との絆」


無罪判決を受けての身内だけでのささやかな祝賀会。
支援組織や支援者がいれば別の形で行いましたが、私たちには無縁
でしたので、家族と弁護士、親類だけのささやかなお祝いでした。
それに弁護士の先生は「まだ喜ぶわけにはいきません。無罪が確定した
わけではありませんし、検察が控訴してくるかもしれません・・・無罪が
確定したときに盛大にやりましょう」と、慎重でした。

正月でもお盆でもないのに、平日に親戚が集まるなど珍しくて孫たちは
嬉しくてはしゃいでいました。
夕方のテレビのニュースでも特集番組が流されたりして、お祝いの
電話がなりやみませんでした。
「これで元の生活に戻れる。失った信用や人間関係も回復する」
私だけでなく家族もそう信じていたと思います。

そんなめでたい席なのに気になることがありました。
健一郎が居ないのです。お祝いが始まる頃に一人で出かけたまま
帰ってこないのです。
「健一郎君はどうしたとね。一緒に頑張ってくれた彼がいないなんて、
いったいどうしたとね」
日野弁護士も気にしていました。

なぜ息子がこの席に居ないのか、私にはわかっていました。
ちょうど一ヶ月前の大晦日、新聞社が検察調書の中に同じ生年月日が
記入された調書が複数あることを報道したのです。ずさんな調書が
作られていると。検察は激怒して誰がマスコミにリークしたのかと。
その怒りは弁護士に向けられた。

息子はその事実をマスコミにバラすとかでなく、記者との雑談の中で
「調書の中に同じ生年月日の人が何人もいるなんて不思議ですね」と
一言もらしたのです。結果として健一郎がマスコミにバラしたという
ことで大騒ぎになったのです。

真実であろうと裁判に関する大切な調書などはマスコミには見せては
ならないという規則があったのです。検察は自分たちに都合が悪い
証拠は裁判所に提出しなくてもいい規則になっていて、提出した証拠も
マスコミや第三者には見せてはならないという規則になっていたのです。
知りませんでした。


弁護士の先生たちにも迷惑をかける結果になり、健一郎は先生たちに
申し訳なくて会わせる顔がないと責任を感じているようでした。
だから、この席にいなかったのです。
裁判所でも息子は先生と言葉を交わさないままでした。
私には息子がいったいどこにいるのか分かりませんでした。

健一郎は夕方から家を出たあと、一人であてもなく車を走らせていた。
日が落ちてすっかりあたりが暗くなると、車を停めて遠くに見える
実家の灯りをぼんやりとながめていた。
「先生たちも見えているし、せっかくのめでたい席に俺がいたら、
酒がまずくなるだろう。先生たちが帰ったら家に帰ろう」
健一郎はため息をつきながらタバコをふかしていた。
九時頃、副島家の座敷の明かりが消えた。
「お開きになったようだな。これで家に帰れる」
健一郎は車を走らせると、実家の前に静かに車を停めた。
車を降りると、座敷の明かりが消えていることを確認して玄関に向か
った。
玄関の扉を開けようとした時だった。

ガラガラー。

勝手に玄関の扉が開いた。
日野弁護士と山口弁護士が帰ろうと、ちょうど玄関を出たところだった。
健一郎と弁護士は面食らったまま立ち尽くした。
「・・・・・・」
健一郎は何かを言おうとしたが、言葉が出てこなかった。
「健一郎さん、どこに行っていたのですか。あなたをずっと待っていま
したよ」
日野弁護士が声をかけると健一郎は苦しそうにつぶやいた。
「でも・・・先生、私は先生方にご迷惑をおかけして・・・申し訳なくて・・・」
日野弁護士は健一郎の両手をしっかりと握りしめた。
「何を言うのですか。私はあなたがお父さんのために、これまで一生懸
命頑張ってきたことを知っていますよ。そのあなたが何を言うのですか」
「でも・・・先生方に申し訳ないことをしてしまい・・・すみませんでした」
「もういいですよ。こうやって無罪を勝ち取ることができたじゃないで
すか。もう何も言わなくていいですよ」
「先生・・・」
二人は両手を握りしめながら泣いていた。

このとき健一郎は、依頼人と弁護士ではなく、弁護士と自分は闘う
「同志」であることに気づいた。
健一郎と弁護士の壊れかけた信頼関係は、以前よりも深い信頼と絆で
結ばれた。

その頃、佐賀地検では夜になっても明かりがこうこうと照らされていた。

                             つづく


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はじめての方へ。冤罪はどのようにして作られるのか。司法の正義とは何か。
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※どうも文章が硬すぎて母親のイメージと合いませんねぇ・・・
お袋の回想的な「語り」口調の文章に変えてみますので、あしからず。
自宅でお祝い・・・あの時↓を思い出しました。

連載8話★「さっ、家に帰ろう」…保釈の瞬間
    http://blogs.yahoo.co.jp/rainrain1192/12792958.html

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 「続・いつか春が」〜妻が見た冤罪事件〜

   第3話 「夫からのラブレター」

記者会見が終わり、私たちは無罪の喜びをかみしめ
ながら自宅へと帰ってきました。今朝からずっと緊
張状態が続いていたので、自宅に戻ると私も夫も疲
れきっていました。
そういえば私も夫も昨夜はほとんど言葉も交わさな
いまま布団に入りましたが、やはり緊張していたせ
いか眠ることが出来ませんでした。

遅めの昼食になりましたが、途中で買ってきた弁当
をみんなで食べながら、久々に楽しい食事のひととき
を過ごしました。
私もこんなふうに笑ったのは久しぶりでした。裁判
が終わり、これで私たちも以前の普通の生活に戻れる
ような気がしました。

夫が逮捕されてからは、いつも人目が気になり家族
みんなで一緒に食事に行くこともなくなっていました。
保釈の身である夫は規則で、一泊以上の外泊は裁判所
の許可をもらわなければならなかったので、結局
どこにも行くことはありませんでした。

いいえ、そういえば一度だけ夫と一泊の旅行に行きま
した。夫が保釈されてすぐに、私と夫は原鶴温泉に
旅行に行きました。
私たちが新婚旅行で行った思い出の場所が原鶴温泉
だったからです。
夫婦で旅行したのは結婚以来初めてでした。

夫は逮捕されて四ヵ月後に保釈されたのですが、拘留
中に獄中から一度だけ私宛てに手紙をくれたことが
ありました。



『俺は仕事に明け暮れ、子供のことや家のことは
ぜんぶお前に任せっぱなしだった。お前には今まで
苦労をかけてばかりで本当にすまなかった。
お前が家庭を守ってくれたから俺も今まで頑張ること
ができたと、お前には心から感謝している。
こういう事件に巻き込まれなかっ
たら、今頃は息子たちや孫たちに囲まれて、お前も
穏やかな人生
を過ごしていただろうと思うと、俺はお前に対して
申し訳ない気持ちでいっぱいになるよ。ここからいつ
出られるのか分からないが、もし保釈が叶ったらお前と
二人で旅行にでも行こう。
それまでの間、申し訳ありませんが留守を守ってください』


この手紙を健一郎に見せたら「うわー、お母さん。これは
ラブレターやんね。間違いなくお父さんからのラブレター
だよ。お父さんもなかなかやるねぇ」と、ひやかされた
ので、この手紙はタンスの中にしまったままです。

こうして保釈後に、一度だけ二人で旅行したことがありま
した。

でも、そのときすでに、夫は変わってしまっていました。
口数が少なくなり、夜は毎晩のように検事の夢にうなされ
「殺される!」と目が覚めているのを私は見てきました。

今日まで夫は不安でたまらなかったのでしょう。

誰にも怒りをぶつけることができずに、かっとなり茶碗を
床に投げつけたり、死に場所をさがして家を飛び出したり、
私も我慢できずに家を飛び出して、夜の佐賀の町を一人で
さまよったこともありました。

この三年間は気が狂いそうなほどの苦しい毎日でしたが、
私は夫が本当は優しい人だということを知っています。
優しい人だからこそ、夫の苦しむ姿を見るのがとても
辛かったのです。

でも闘いは今日で終わったのです。
こうして無罪を勝ち取り、あとは少しずつ普通の生活に
戻っていけば、夫の心の傷も癒えてくると思います。

すでにお昼のニュースで、判決の結果が報道されたようで
県外からもお祝いのお花や電報などが届き始め、お祝いの
電話もひっきりなしにかかってきました。
夫も一眠りしようとしながらも、三年ぶりにかかってきた
電話に喜んでいる様子です。
私もまるで夫が逮捕される前のにぎやかな我が家に戻った
ような気がして嬉しくてなりませんでした。

今夜は弁護士の先生や親類を招いてのささやかなお祝いを
するために、私たちは準備に取りかかりました。

                   
                     つづく

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■音楽協力:「Love Songs」 さん http://blogs.yahoo.co.jp/xiong_maririn

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