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ここのところ、急な仕事でひーひー言っている。
不景気のさなか、いただけるだけでもありがたいので必死にやっているのであるが、そこで気がついたことについて。

デジタルでの撮影では、オーダーする時に大事なポイントがある。
気がついたこととは、どうも、オーダーする側がそのポイントについて余り知識がないのではないか?と言うことなのだ。
ここのところ、同じようなトラブルが続いているので、もしや?と思った次第。

デジタルフォトはすでに当たり前のことになっているが、蔓延した反面、必要な最低限のルールが明文化されていないから、混乱しているようなのだ。
そこで、ブログで記すことにしたわけ。
一般的にクライアントとのトラブルについて記せば、クライアントの目にも触れる可能性があるのでもめ事にもなりかねないのは容易に想像がつく。
しかし、「向上」のためにあえてそのリスクを冒すことにする。
大きな寛容をもってご容赦願いたい。

さて、ちょっと温故知新。
フィルムでオーダーしていた頃は、どこで何をどう使う、と言うのが重要なオーダーポイントだった。
35mmフィルムでA4の見開き(=A3)で使うのはそれだけ画質が悪くなる。
ある程度大きく使う写真ではブローニー以上のサイズで撮影するのは当たり前だった。
被写体の持っている撮影条件で(機動性が必要など)、ぎりぎりの選択をしていたのだ。

これがデジタルになると結構曖昧であるのだが、実は大事なポイント。

もう一つは、フィルム時代は、そのフィルムをどの大きさにスキャンするのか、を重視していた。
「倍率」と呼ばれるスキャンのオーダールールが決まっていたのだ。
フィルムを印刷用にデジタルデータにする際に製版用スキャナーでスキャンする。
このスキャンは出力解像度350dpiと決まっている。(175線が一般的なので)
そこで、原稿(フィルムサイズ)に対して、それを何倍の大きさで使うのかを決めてからスキャニングしていたわけだ。
トリミングする場合などはそれも計算に入れてトリミング指示をし、スキャンする。
ここで無理なことをすればそのまま仕上がり画質に直結するので相当な知識が必要だったのだ。


6×7ブローニー縦置きをA4で使う場合、縦横比が異なるので横が少し切れる。それを成り行きに縦の長さをA4長辺に合わせるとした場合、6×7は実効画像範囲がだいたい65mmでA4長辺はトンボどぶを入れて303mm(正寸297mm)だ。すると、466%の倍率であることがわかる。
6×7とA3を長辺あわせにするなら、426mmなので倍率655%。これが700%を超えてくると画質がどんどん劣化する。フィルムの色素のつぶつぶがはっきり見えるようになってしまい、より大きなサイズのフィルムを使用する必要が生じる。

つまり、デザイン上で、どこでどう使うか、という最初の計画がすごく大事なわけ。
材料費や撮影の手間も関係するから、大きなサイズで大きく使う場合、自ずとそれなりのギャラをもらわないと撮影ができないわけだ。

デジタルになると、このルールが一気に崩壊する。
撮影優先になって、とりあえずどう使うかはどうでもよく撮影をしてしまう。

しかし、使用するサイズに対して必要な画素数はデジタルでもフィルムでも変わらない。
A3なら4175×5870ピクセルでRGBで70MB、A4で2976×4175ピクセルでRGBで35.5MB必要とする。
画素数では前者は2450万画素、後者は1250万画素は必要なのだ。(いずれもドブ付き計算)
デジタルではだいたい200%ぐらいの使用には耐えるから、プロ用の「EOS-1Ds Mark III」で2110万画素で、計算上はA3は余裕でカバーしている。

ところが、35mmのレンズの持っている解像能で言うとものすごく好条件で100lpm(ラインパーミリ=1mmあたり100本)がいいところだから、短辺約一インチ25.4mmだと2540ライン(=ピクセル)しか解像できない。100本はON/OFF(白黒)なので、倍にしても5000ピクセル程度なのだ。

つまり、画素数だけたくさん持っていても、A3使用がぎりぎりいっぱいなのだ。
これは画素数信奉のまやかしで注意すべき点なのだ。一眼レフでできる範囲には限界がある。そこには物理特性が前提になり、デジタルだろうがフィルムだろうが変わりはしない。ある意味、当然なのだ。

もっと小さいカメラになれば、当然条件はもう少し縮小する。画素数だけ誇っても、それに騙されてはいけないわけだ。せいぜいA4使用が一般的だと思っていいだろう。
(これらはあくまで印刷での話=インクジェットプリントではまた話が違う=印字システム的にもっと大きなサイズに対応可能)


というわけで、最初にどの程度の大きさで使うかをきちんと決めてもらわないと、カメラが選択できないし、要求する使用サイズに対して見合ったギャランティーを計算しておかないと、仕事にならないのだ。
現代風潮で予算はないけど大きなサイズでほしいと平然と言われるが、たいていは個人経営が多い写真家さんでは、そういう無理は利かないので、オーダーする側がきちんと考えてもらう必要がある。


先日は、準備や事前ロケなどで1週間かかって行った仕事で、オーダーは撮影成り行きのデータサイズで仕上がりは印刷用途にファインRGB納品、切り抜きや傷等のレタッチは無用というものだった。
アート系のポスターの複写がメインで、ビューカメラにカメラバックをつけて余裕を持った撮影をセットして帰ってきた。撮影自体は別のカメラマンが担当していて、こちらは撮影のアドバイス(アドバイス以上したけど)だけというものだった。
一部急ぎの仕上げが必要で、残りはゆっくりでいいと言うことで、執筆を抱えている筆者は何とかなるだろうと受けたわけだ。

ふたを開けると初日の撮影立ち会いしたデータだけちゃんとしてて、残りはいろいろ問題が発生している。おまけに、今更になって、オールA4でトリミングをきちんとして、傾きも直してほしいと言うわけだ。
デジタルだから何でもできると思われがちだが、何百カットもあれば、全点色直しして余白トリミングしてサイズ合わせする作業が急に増えたら時間は果てしなくかかる。
これは後から言われたら大変困る内容なのだ。
おまけにほとんど作業が終わったところで言われたので、寝ないで作業した。

もう一件は、いつもはA5程度の大きさのオーダーで、今回急に、撮影後にB3実データがほしいというもの。
これも、きちんとした事前打ち合わせが重要なのだが、前例のある仕事で筆者がぬかってしまった。


デジタルでは、写真データが存在してモニタ等できれいに見えていても、何ピクセルあるかをきちんとチェックしないとその大きさで使えるか使えないかがわからない。
同様事例でワードやパワポに貼った画像をそのまま印刷に使ってほしいと言うようなトラブルがある。
データ量が十分な量伴わないと画面で見えても使えないことが多いのだ。

ちなみに、カットがたくさんある仕事では、納品も大変だ。
A4で1000カットを超えるものをTIFFとJPGで納品するような↑のケースでは、CDやDVDに焼いて納品してほしいと言うのもかなり困る。
フィルムでは何カットあったって渡して終わり。デジタルではそうはいかない。納品作業だけでかなり時間がかかるのだ。
最初の段階でそれらのオーダーをきちんと加味しておいてもらう必要がある。
事後に思いつきで「あ、CDに焼いてもらえますか?」はかなりつらい。

デジタルになっていろいろ変わったために、こういう弊害が出るのであろう。
蔓延したようでいてまだまだなのだ。

ちょっと長くなったが、ご愛敬。
これらを受けて、今度、どこかで撮影ギャラ算定の方法を記載しよう。
何かの一助になれば幸いだ。

続きは次号♪                    <六>

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細かいお仕事なんですね。
おかげ様で元気にすごしています。

2008/8/13(水) 午後 7:39 [ keiko ]


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