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TPPが農業に壊滅的な被害をもたらすというTPP亡国論の最大の論拠は、農業生産額が半減し、コメの生産が9割減るとした農林水産省の試算だ。日本の農政を司る農水省は、関税障壁によってコメなどの重要品目を保護する一方、減反政策で米価を維持しようとする政策をとってきた。
これに対し高木氏は、これまでの農業保護のあり方は間違っていたと自らの過去も含めて批判する。反対派の議論とは全く逆に、日本の農業再生のために、なぜTPP交渉に参加する必要があると説くのか。
TPP(環太平洋経済連携協定)に反対する人たちは、何から何まで総動員してTPPを非難しているが、私にはあまり説得力があるとは思えない。
彼らは「TPPに入ると国の形が変わってしまう」というが、今は何が起きているのか。今はなし崩しに国の形が変わっているのだ。
高木 勇樹(たかぎ・ゆうき)氏 1966年東京大学法学部卒、農林省(現・農林水産省)入省。畜産局長、官房長、食糧庁長官などを経て、1998年事務次官。2001年退官後は農林中金総合研究所理事長、農林漁業金融公庫総裁を歴任。2007年からNPO(特定非営利活動法人)日本プロ農業総合支援機構副理事長。
(写真:都築雅人) 農村は疲弊し、いまや外国人労働者、いわゆる研修生の力を借りずには農業を維持できなくなっている現実をみれば、国の形はなし崩しに変わりつつある。農業はこのまま行けば右肩下がりだ。農林水産省の試算ではTPPに参加すると農業生産額が4兆1000億円消えるというが、この20年で農業総生産は4兆円減り、農業所得は半減した。
地縁、血縁があるので、なかなか大きな声では言えないことだろうが、私が農村集落に行って話す限り、このまま行っても日本の農業は先の見通しが何もない。何もないどころか、人がいなくなっているという危機感は強い。
これだけ高い関税で守ってきたのに、なぜそういうことになってしまったのか。それは農業の守り方が間違っていたからだ。
間違っていた守り方を直すには、まず日本の農業の現状、強みと弱みををきちんと分析、検証することだ。そうすればTPP24分野の交渉の戦術はできる。どこに手を打たないといけないか、どれだけの期間をかけなければならないか。それを考えた上で交渉に臨めばいい。そして戦術の前に、この国の形をどうしていくか、という大きな戦略を作らなければならない。
そうした戦略に基づいて、それでもなおコメを守る必要があるというのであれば、関税撤廃の例外品目にする、ないしは関税の削減幅を暫定的に限定する、といった要求をするなど、いろいろ方法はあると思う。そうした交渉もせずにTPPに入ったらまるでいきなり関税がゼロになるかのように、何の根拠にも基づかないで恐怖感を煽るのは冷静な議論を妨げるだけではなく、国の形を誤らせる。
「原則関税撤廃」は大きな誤解
何しろ「原則関税撤廃」というのが大きな誤解だ。撤廃する品目もあるが、そこは正に交渉して決まる話だ。米国は米豪FTA(自由貿易協定)で砂糖などを関税撤廃の例外にしている。TPPでも米豪FTAの内容は変えないというのが米国の基本姿勢だ。若干は変えるところがあるとしても、基本は絶対に守るだろう。
日本がどうしてもコメを守りたいならば、早く交渉に入って、我々はコメ問題をこう考えると主張するべきだ。米韓FTAでコメを例外にした韓国が、もしTPPに入ってくれば、当然コメを例外にするよう主張する。日本が先に入り、WTO(世界貿易機関)のドーハラウンド(多角的通商交渉)でそうしたのと同じように、韓国と一緒にコメを守ればいい。
一方、国内でもコメをどう守るのかも変えるべきだ。いま水田が260万〜270万ヘクタール使えるのに、実際には160万ヘクタールしか稲を植えていないという状況を大きく変えていくということだ。極端に言えば、全部稲を植えて、輸出し、飼料用や加工用にも回していく。そういう大胆な発想をすれば、農村の活性化はあっという間にできる。
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TPP加盟に賛成の意見で、今月も4回ほど講演を指せて貰っています。最初から加入するから「条件闘争」が出来るので、必要な品目は条件付きで輸出入するのが本論だと思います。輸出により成り立っている日本が、当初加入をせずに後から加入すればすでに決まった条件に合わせて輸出入をすることになりますね。農業だけでなく、国内産業維持の観点からすべて条件闘争に持ち込むべきだと思っています。
2011/11/7(月) 午前 9:19 [ kis*et*no*adai ]
少子高齢化が進む日本では関税壁で守ろうとしても農業も他産業も衰退していくことは明白です。日本の産業は世界の70億人の市場に積極的に活路を見出すしかないでしょう。
権益を守ろうとする農協や医療機関の扇動に惑わされて騒いでいる人が多いのは情けないです。
2011/11/7(月) 午前 9:34 [ ushikubi farmer ]
残念ながら、隷属国家の運命は常に宗主国の手中にあり、ダメ押しの食糧制覇が究極の戦術に違いないでしょう。先方としては輸入する気はなく、どうにか泥船を漕ぎつつ日本に対するグローバリゼーションの最終ラウンドを仕掛けてきたみたいです。この際は条件闘争の余裕は無いのでは?。我が持ち前の共生文化もいよいよ解体の一途を辿るのみですね。
2011/11/10(木) 午前 0:03 [ para-campesino ]