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さて、後編です。飛脚の運命や如何に!!
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眷属一同呼び集めました狐の長が、用意おさおさ怠りなく大きなお屋敷をこしらえて待っておりますとこへ、そんなこととは露知らん件の飛脚、先方へ手紙を届けました帰り道、今度はさして急がんでもえぇといぅんでノ〜ンビリ走って来よった。「や、ドッコイさぁのさぁ〜♪」
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●ドッコイさぁのサ♪ ドッコイさのこらさの、ドッコイさぁのサ♪ ドッコイさのえっさサ、えっささのよっとサ♪ ドッコイさのえっさサ……???…… おかしな具合やなぁ? 往きしな、こんなとこにお屋敷あったかいなぁ?
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街道筋に面しまして武家屋敷とおぼしきお屋敷、大きなご門。武家屋敷のご門には水撒き奴がつきもん、お芝居の序幕と一緒でございます。一人が箒を持って木の葉を掃き、一人が柄杓を持って水を撒いております。
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▲掃けども掃けども落ち来る木の葉、なんと久内(きゅうない)うざといことではないかいな。
◆そぉさ、可内(べくない)ぼやくまいぼやくまい。木の葉が散るで己やわしらの役目があるといぅもの。おおかた表どもが片付いた様子、番小屋へ引き上げて、一休みとでかけよか?
▲そんなら可内
◆そんなら久内
▲俺に付いて、ま、こぉ〜来いやい……
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門の中へ入ってしまいよる。「往きしな、こんなもんなかったと思うが道を間違ごぉたんかいな? どないしたもんかいなぁ?」アホめがボヤ〜ッと立っとりますと、
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▼あのぉ、もぉ〜し・・・・
●へぇ?
▼もぉ〜し、飛脚殿
●わ、わたいでおますか?見りゃ、紫矢絣に縦矢の字、御殿のお女中とおぼしきお方、何ぞわたいにご
用でも?
▼このよぉなお使い、はしたないと思し召さずに話をお聞きくださりませ。実はこのお屋敷のお姫様が道行くこなたにご懸想(けそぉ)あそばしまして……
●へぇへぇ、このお屋敷のお姫さんがお化粧あそばしたんですか?
▼化粧ではございませぬ。ご懸想。
●ははぁ〜、後家相か嫁入り出来るか人相見てくれと? わて、あんまり人相の方は得意やおませんねやが……
▼そぉではございませぬ。こなたにご懸想あそばしまして……
●何でおます? 今、わたし自分に都合のえぇよぉに聞こえたよぉに思いまんねんけど、もぉいっぺんおっしゃっていただけまへんか? ……へぇ、ほぉこの家(や)のお姫さんが私に……、ご懸想あそばされた? ひょっとしたら惚れるといぅ意味のご懸想? ホンマでっか? こんな大きなとこのお姫さんが、わいに惚れはるてな……、夢やないらしぃなぁ……
●「据え膳食わぬは男の恥」っちゅうことがあるわい、こんだけ大きなとこのお姫さんやったら、よっぽど綺麗なお姫さんに違いない。せや、玉の輿、玉の輿は女が乗るんや……、男が乗ったら何やろ? 玉の玉か? ともかく一膳よばれたろ。
●さよぉなれば、何と申しますか、わたくしでおよろしければご用立てくださいますれば。
▼早速のご承引かたじけのぉ、しからばこぉ、おいであそばしませ。
●しからばぁ〜〜 ……
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アホが一人で目ぇムキやがって、間ごと間ごとに案内されてまいります。朱塗りの回廊きざはし、庭には玉砂利が敷(ひ)き詰めてございまして、結構な泉水。一匹何十両といぅよぉな鯉が泳いでいよぉといぅ。
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●夜目に、こんだけ庭が見えるといぅのは、どこから明かり差すのか知らんが結構なお庭やなぁ。こんだけ空が暗いのに、鯉だけハッキリ見えたぁる。おかしな具合やなぁ…… へ、こっちでやすか?
▼しばらく、これにてお待ちくださりましょう。
一人残して向こぉ行ってしまいます。
●おっ、向こぉに御簾が下がったぁる。御簾のこっち側に几帳(きちょ〜)があって……、なまめかしい布団やなぁ。布団だけやないで、お姫さん寝てござるがな。はは〜〜ン、こんだけ大きいお屋敷の姫さん、男に顔合わしてもの言ぅのは恥ずかしい、先横になって寝てござる。「お前の好きなよぉに料理をせぇ」……、その方がこっちもありがたいけど……
●身分の高いお方と顔つき合わして、何やかんや話してて、ひょんなこと言ぅて「無礼者!」てなことになったらどんならんけど、事が済んでからならウンもスンもあるまい。その方がわしにしても楽な。お姫様かてその方が恥ずかしい思いをせぇでもえぇ……、ほな失礼(ひつれぇ)さしていただきます。
●そちらからおっしゃったんでおますさかい、わたいがネキ行ったさかいいぅて「キャ〜」てなことおっしゃいませんよぉに。お呼びになった飛脚でございまっせ……、ほかのもんやござりまへん……、裾の方から行かしてんもらいまっさかいな「キャ〜」は無しでっせ。
●わ、わぁ〜、スベスベの足やなぁ。スベスベの足はえぇけど、わりに毛深いなぁ……、どっかで触った事があるよぉな……、せや、熊の毛皮や。ん?あら? ケッタイな具合やなぁ……、わしゃこぉいぅ上つ方(うえつがた)のお方の事はあんまり知らんけど、どこが入り口や分からんがな。ずんべらぼんみたいやがな。えっ? 入り口無いのん?
▼チョマ公、チョマ公。入り口無いっちゅうとるがな。おい!
★何や? お父っつぁん。
▼居眠ってる場合やないがな、入り口が無いっちゅうとぉるがな、口開けんかい口を!
★お父っつぁんごめん……
●あ、あった。はは〜〜ン、俺がゲスやねんなぁ。こぉいぅ上つ方のお相手するっちゅうと気が上(かみ)ずって、どこが入り口や分からん……? ん?横に裂けてるよぉに思うが? 気のせぇかいなぁ…… 我々下々のんと上つ方のんとは違うんか?
▼チョマ公、横に裂けてる言ぅてるやないか、縦にせんかい縦に!
★そぉか、分かった……
●ん? 縦になったで。さっき横やったのに……、はは〜〜ン、やっぱり気持ちが上ずってるんかなぁ。まぁ、縦でも横でもかめへんわい、早いこといてしもたろ。
さぁ、大きなもんを口へ臨ましてきましたもんでっさかい、子狐め噛みつくどころの騒ぎやない。口いっぱいにほぉ張りやがって……
★んががががぁ〜〜〜、ふがぁ〜、ふがぁ〜!!!!!!
●何でこない入らんねや?
★んががががぁ〜〜〜、ふがぁ〜〜!!!!
▼チョマ公、ガブッと行けガブッと!
★ががっといごとおぼぶねんげどな、ぐじががまげがいがげげん。
▼何? 口の中まで入られへん。思いっきり口開けんかい!!
★おぼいっきり、ぐちあげでもばいられべん……
●ン〜〜ン!!、何でこんな入らんのや? えぇ〜い、思いっきりいてこましたれ。
飛脚もヤケクソでございます。力いっぱい「グググググ〜〜ッ!」来たもんでっさかいに、子狐め喉の奥まで突かれやがって、
★お父っつぁん、死ぬぅ〜〜、死ぬぅ〜〜〜!
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これは何処でもできる御話ではありません。
所作も難しいですね。リアルにやりすぎると駄目ですし・・・・・。
艶笑噺、暫くは続けるつもりですのでよろしく!
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