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さて、今回も一席お付き合い願います。
昨日は読まれた方、お疲れ様でございました。かなり長くなったので読んでいて大変だったと思います。う〜ん、読むのもいいけどヤッパリ生で聞いていただくのが一番かな?と思います。機会があれば是非、寄席や落語会に足を運んで見てくださいね!
さて、今日は『愛宕山』です。
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〜あらすじ〜
旦那のお伴で京の愛宕山へやって来た一八(いっぱち)と繁八という二人の大阪の幇間(ほうかん・たいこもち)。口は達者ですが体力はさっぱり。谷底に張った的に土器を投げる土器投げ(カワラケ投げ)にチャレンジしたのですが旦那の足元にも及びません。
悔しさ半分で「大阪では土器のかわりに金貨を投げる」と言ったところ、それを聞いた旦那が「そんなら」と小判を谷底へ投げ込んだので皆は大騒ぎ!「拾たら拾た者のもんや」の旦那の言葉に意を決した一八は、大きな傘をパラシュートにして谷底へダイビングします。
無事着地して小判を拾い集めたまではよかったのですが、上げって行く事ができません。何を思ったか一八、自分の着ていた絹の襦袢を裂いて縄をない、その先に石を結びつけて、崖に生えている嵯峨竹に引っ掛けて、力一杯引っ張って、その反動で元の谷の上へ飛び上がってきます。
喜んだ旦那が「金は?」と尋ねると一八「忘れてきたァ!!」
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この噺は上方落語特有の『鳴り物』が多く入り賑やかな噺です。『鳴り物』とは上方落語特有でしてその場面場面で下座でお囃子を鳴らすのですがいかにも大阪落語らしい賑やかさです。噺を聞いていても楽しいですよ!この噺も生で見聞きするべき噺だと思います。
この噺でワタシが好きなのは山を登っている描写もそうですが、カワラケ投げの所ですかね。ちょっと文章化してみましょう。
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■カワラケ投げ、懐かしぃなぁ。昔はよぉやったもんじゃ、わしゃちょっと自慢やったんや。久しぶりにやってみよかな。お婆ん、カワラケ五枚ほどこっちもらおか……。さ、皆こっち出といでや。あんまり前へ出たら危ないで。
●わぁ〜、谷がひと目で渡せまんなぁ。こんな高いとこまで出て来ましてんなぁ
■ちょっと見てみなはれ、あそこの谷間(たにあい)のところに仕切りがしたぁるやろ、あそこの真ん中に的が仕掛けたぁる。あれに当てるてなことはめったに出来るこっちゃないが、あの仕切りの中へ打ち込むのんでさえ難しぃこっちゃで……。ちょっとやってみよかいな(カリ、カリ)
●あんた、食べてなはる?
■食べてんねやあらへんがな、端をかじって風切りをこしらえてるんやがな……。それでわまず、風の向きを調べてみよかいな……。なるほど、よっしゃ分かった。ほなはじめは、このカワラケを風に乗せて、舞を舞うがごとく泳がすだけ泳がしといてあの仕切りの中へシュ〜ッと入れるさかい、見ときなはれ「天人の舞」
■(ホッ)……、ゆっくりと舞を舞(も)ぉて……、あの中へ……、そぉら入った、どぉじゃ。今度は二ついっぺんに放るさかい見てなはれ「お染久松夫婦投げ」ちゅうやっちゃ。
■(ホッ、ホッ)……、ほぉ〜ら見てみなはれ、二枚のカワラケが一本の糸で繋がれたよぉに、おんなじよぉにあとを追ぉて……、ほぉら……、そぉら入った、どぉじゃ。今度はゴジャゴジャなし、真っ直ぐ向こぉへ「シュ」っと打ち込む「獅子の洞(ほら)入り」ちゅうやっちゃ。これが一番難しぃねんで。
■(ソレッ)……、そぉ〜ら入った、どぉじゃ。
●しょ〜〜〜もない、子どもでんがな「そぉ〜ら入った、どぉじゃ」誰でもできまんがな。お婆ん、カワラケ百枚……
■百枚?
●の内の五枚。何でねん大層ぉに。あんなもん誰でも(ガリッ、ガリッ)ま、まずい
■食べたらあかんで、食べたら。吐き出しなはれ、風切りをこしらえるねんで。
●分かってまんがな……、それでわまず風の流れを調べてみましょかな。風の流れは……、あれ? スト〜ンと落ちてもたで、風あれへんのんか?
■カワラケをあお向けにしたらいかんで、うつ向けにするさかいに風に乗るんや
●分かってまんがな……、風の流れは最前見て分かってます。
●まずはじめは「天人の舞」カワラケが風に乗って、舞を舞うだけ舞わしといてあの中へ(ソォレ)……。あれ、どっか行ってもた? 舞、忘れよったんやな。ずぼらな天人やなぁ。
●今度は「お染久松夫婦投げ」二枚のカワラケが、一本の(ソレ)糸で(ソレ)繋がれぇ〜〜ッ、糸が切れたなぁ。右と左へシャ〜ッ、シャ〜ッと行きよったなぁ。喧嘩しよったんやで……。今度はもぉゴジャゴジャなし「獅子の洞入り」真っ直ぐあの中に打ち込みますよってな、真っ直ぐ。
●ソォ〜レッ、茶店へ入った
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と、まあこんな感じですね。ココに出てくる『天人の舞』『お染久松夫婦投げ』『獅子の洞入り』は実際にできたら凄いでしょうな・・。
落語をする上でココの描写は当り鉦で表します。『天人の舞』は1回だけカンッ!とならします。で『お染久松夫婦投げ』は2回鳴らしますが1回鳴らした後暫く経ってから鳴らします。お染カワラケが当たった後に久松カワラケが当たる感じですね。『獅子の洞入り』は演者によって色々ですけど、ワタシはシューッと何枚か投げるようにして音を『カン・カ・カ・カッカ・カンカン』と鳴らして一八が『ほんまでっかいな?』と突っ込む演出が好きです。
ぜひ機会があれば聞いてください!!
では今回はこの辺で。
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