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さ〜て、今宵も一席お付き合い願います。
今回は先日ワタシの友人が結婚したのも踏まえて、恋愛モノ(?)といきましょうか・・。
『崇徳院』です。
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〜あらすじ〜
主家の若旦那の病気の元は、高津さんの絵馬堂の茶店で出会うたどこぞのお嬢さん。別れ際に書いて手渡してくれた「瀬を早み岩にせかるる滝川の」という崇徳院さんの御歌の上の句は「いずれまたお目にかかりましょう」という謎だという。恋患いというやつです。
親旦那から相手のお嬢さん探索の依頼を受けた手伝いの熊五郎は、一日中大阪の街をかけずりまわるが手がかりさえつかめない。このままにしておかば、若旦那の生命が危いというので親旦那も必死です。「三日のうちに探してくれたら蔵付きの借家と三百円」という賞金を出したから熊五郎も大張り切りです。
ところが二日たっても見つからない。ついに三日目は、女房の発案で道を歩きながらは勿論床屋、風呂屋てな人寄り場所へ入った時は、「瀬を速み」という歌を大声で言うという方法をとります。大阪中の風呂屋と床屋を何十軒とたずねたが反応はゼロです。くたびれ果てて入った床屋で一服していると、五十くらいの棟梁風の男が入ってきて、本家のお嬢さんが恋患いで寝込んでいるとの事。相手の男に崇徳院さんの歌を書いて手渡したことなどを喋るので、ついにここで互いに探す相手が見つかり、めでたく一対の夫婦ができあがります。
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この噺は長いです。けど、聞いていてとても心温まる感じがします。まあ、熊五郎さんも親旦さんに「蔵付き借家+三百円」と聞いたら走り回らずにおれませんわな。熊五郎さんの御上さんも大した女性です。ちょっとその辺のところを全て書き出してみますね。
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●んまぁ〜、結構やないかいな、あんた家主さんになれるんか。三百円なんて、あんたが手伝い(てったい)仕事一生懸命やったって一日の日当四十八銭にしかならへんねやで。運が向いて来たんやし、しっかりやらなあきまへんで。わてもな、心当たりチョイチョイ尋んねといたげる
▲頼むで!
欲と二ぁり連れといぅのはえらいもんでございまして、二日二晩といぅものは大阪の町中をグルグル・グルグルと尋ね回ったが、ど〜しても知れまへん。二日目の晩方になると、欲も得も抜け果ててボケ上がってしまいよった。
▲あぁ……、こぉなったら若旦那より、わいの方が二日ほど早いで。もぉ腹は減ったし、嬶またボヤキよるやろなぁ……、ただいま
●何ちゅう不景気な顔して帰って来んねや、この人。え? 何ぼ探しても分からん……、そぉ、しょがないがな。なぁ、どっち道わてらみたいな肩の悪い夫婦(みょ〜と)がそんな大きな運がつかめるはずがないがな。諦めなはれ、なぁ……、先さんにもご縁がなかったんやし、こっちも運がなかったんやさかい、諦めなしょがないやないかいな。
●せやけどあんた、毎日いったいどんなこと言ぅて道歩いてなはったんや?
▲へっ?
●どんなことを言ぅて道を歩いてなはった? ちゅうねん
▲どんなことて……、黙って歩いてたんや
●えぇ? ほな、何か。あんたこの二日間、黙〜って大阪の町中歩き回ってたん? それで知れたら、知れる方が不思議やないかいな。
●えぇ? あんたそないして道歩いてたら「わてが本人です」て誰が出て来るねやいな? こんな不細工な……、いぃえぇな、そらまぁあんた「別嬪の娘はん居てはらしまへんか?」ぐらいのことは聞ぃて回ったやろけども、そんなことぐらいでは分かるわけがないがな。
●えぇ手蔓(てづる)があるやないかいな。その崇徳院さんの「瀬をはやみ」とか何とかいぅ歌。わたしの考えでは先さんも、ヒョッとしたら恋患いなったはると思いまんねん。せやから、その歌あんた詠(うと)て歩いてたら、それを聞いた人が「アッ、どこそこでその歌聞きました」とか「そんな噂が耳に入った」とかいぅて、手掛かりがつかめんもんでもないのに……
●黙って歩いてたやなんて、まぁあんた、そんなスカタンやとは思わなんだなぁ……。もぉこれを探し出さんと生涯頭のあがる見込みなし。わてもぉ、ひとまずな、荷物まとめて大和のおばはんとこ帰るさかい……
▲ちょ、ちょっと待ってくれおい。よその嫁はん探さんうちに、こっちが夫婦別れしてどないなんねん。あした一日残ってる、あした何とかして探し出すよってにな。今日はもう寝さしてぇな
●情けない人やなぁ。ほな、今日はもぉ寝なはれ。その代わりな、あしたの朝早よ起きてブブ漬けでもかっこんで、探しに行くねやしッ。もぉ寝なはれ!
▲お休み……
●さぁ起きなはれ!
▲寝る間もなぁ〜んにもあれへん
●さぁ起きなはれ、起きなはれ。そこにご飯の支度がしたぁる。それ早いこと食べて行くねやで。それでなるべくな、床屋さんとか、風呂屋さんとか人さんの大勢集まるところ行て、今の歌言ぅてたらえぇのん。分かったなぁ
▲うん……
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と、まあ、しっかりした嫁ハンですな。
ちなみにこの噺のオチ(さげ)はこの熊五郎さんとお嬢さんの所の棟梁があって、熊五郎さんは驚き嬉しくてこの棟梁につかみかかってその男ハンというのはウチの若旦那や!!といいます。するとお嬢さんの方の棟梁も己んとこの若旦那か!ってのでお互いにコッチへ来い!いやいや、お前がコッチへ来い!とつかみ合いになった挙句に床屋の鏡に花瓶が当たって鏡が粉々になります。で、床屋の主人がお互いが探し人見つかってメデタイがな!それよりこの鏡どないするねん!というと熊五郎が「心配するな。崇徳院さんの下の句じゃい!」といいます。下の句とはなんぞ?と聞かれて熊五郎さんが、「割れても末に買わんとぞ思う」となるのです。
崇徳院上皇の句は「瀬を速み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢わんとぞ思う」です。意味は「今日は本意ないお別れをいたしますが、いずれのちには嬉しゅ〜お目にかかれますよぉに」ってなとこですかね。ナカナカ粋で見事なお嬢さんです。教養がある事を醸し出していますよね。
「瀬を速み 岩にせかるる 滝川の 割れても末に 逢わんとぞ思う」という句を知っていないといけませんが、噺の中で説明がでます。噺を聞いていると長い噺ではありますが面白いです。実際に聞いていただくほうが良いでしょうね。この噺は。文章化したら難しいです。〜あらすじ〜もかなり私なりに要約したんですけどねぇ・・・・。
明日は夜間メンテナンスがあるためにお休みしますが、土曜日には復帰いたします。
土曜日にこの『崇徳院』を全文掲載してみましょう!お約束します!
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