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さて、今宵も一席お付き合い願います。
暑くなってきました。ボチボチ怪談噺もええかな?と思います。
今日は『皿屋敷』です。
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〜あらすじ〜
旅先で姫路の者と言ったのに皿屋敷の存在を知らなかったので恥をかいて戻ったと松つぁんの話を聞いて、他の若い連中も姫路で生まれて姫路で育った者ばかりなのに皿屋敷を知らないのに気付きました。
古老に聞いてみると、城下にある車屋敷という屋敷跡がそれだといいます。昔、青山鉄山(あおやまてっさん)という代官の所でお勤めしている腰元のお菊がそれは別嬪であったのです。この鉄山がそのお菊を気に入り何とか自分の物にしようとしますが、三平という許婚のある身であるお菊。一向に鉄山に振り向こうとしない。そこで可愛さ余って憎さ百倍。懲らしめてやろうとお菊に預けた十枚一組の家宝の皿を一枚紛失したと濡れ衣をきせて斬殺し、井戸の中へ死骸を落としたのが元で、夜な夜なお菊の亡霊が出て皿の数をよむといいます。しかも、今でもその亡霊は出るという事・・・。
元気のいい連中がそれは面白いと、早速その夜皿屋敷へ探検に行きます。亡霊が出て皿の数をよみ始めます。九枚という声さえ聞かねば身体に別状はない。七枚くらいで逃げれば大丈夫。そうこうするうちにこれが評判となって近郷近在から見物が押し寄せる始末です。亡霊の方も出て来ては愛想を振りまいたりしてタレント化してきます。
ある日、お菊が事もあろうに皿の数を十八枚もよんだので大騒ぎ、なんでそない仰山よんだと抗議すると。お菊さん『風邪ひいてまっしゃろ。二日分よんどいて、明日の晩休みまんねん』
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まあ、怪談噺ではありますが最後はやっぱり笑いに繋がりますね。
姫路城にはお菊井戸ってのがありますけどコレがそうなのかどうか定かではありません。
江戸の落語でも皿屋敷はあります。こちらの代官は青山播磨(あおやまはりま)と出ています。播磨は今の播州(姫路・赤穂地方)ですので、この皿屋敷、元は上方落語と考えても良いとワタシは思います。江戸落語も上方から輸入して江戸風にしたものが結構あるんですよね。逆もありますが・・・。
この噺ははじめのお菊が殺されるまでの怪談部分を力を入れてやった方がいいですね。その方が後からの笑わしどころが効いてきます。怪談部分を掲載してみましょうか・・・。
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播州姫路に青山鉄山という代官がおった。その美人腰元にお菊がおってな何とかものにしょうと。手を変え品を変え、ゴジャゴジャと言い寄るのだが、どうしても言うことを聞かん。
何で言うことを聞かんかというと、お菊さんには三平という許婚者がおった。この三平に操を立てて、言ぅことを聞かんかったんじゃな・・。
さぁ、そうなりますというと鉄山、可愛さ余って憎さ百倍。何とかしてお菊を苦しめてやろうと、家に伝わる十枚一組の葵の皿を持ち出して「こりゃお菊、これは身共の先祖が将軍家より拝領の大切な宝物。もしものこと有るならば、身に代えて申し訳せねば相成らん。必ず粗忽の無いように」と管理を申し付けた。
「何でそんな大事な品を……」不審に思いながらも、主命は黙(もだ)し難し「かしこまりました」と自分の部屋へ持って帰ってなおして(しまって)おいたのだが、鉄山、何と卑怯にも、お菊の留守にこの皿を一枚抜き取って隠したのじゃ。
そうしておいて「先日その方に預けし品、急に入用じゃ。これへ」何も知らんお菊「一枚、二枚、三枚……」と数えたが、一枚足らん。何度数えても一枚足らん。「こりゃどうしたことか……」
泣き崩れておりますところを冷ややかに見下ろして「どうした菊? その方、この青山の家にたたりをなさんと、皿を一枚かすめ取ったに相違あるまい。さぁ、誰に頼まれて隠した? 真っ直ぐに白状いたせ」
もとより身に覚えの無いお菊「知りませぬ、存じませぬ」の一点張り「おのれ、強情な女め。この上は痛い目に合わせても白状させてみせる。こっちへ参れ」髪の毛を掴んでズルズル。井戸端へ引きずってくると荒縄で高手小手に縛り上げ頭から水をザブ〜〜ッ。踏む、蹴る、殴るの責め折檻。
あまつさえ、余った縄の先を井戸の車に結びつけ上げたり下げたり……半死半生になっているやつを太〜い弓を持ってきて、ピシ〜ッ、ピシ〜ッ……ヒ〜〜ッ……「たとえこの身は責め殺されても、さらさら命は惜しみませぬが、盗みの汚名が悲しゅうございます。どうか、どうか今一度……」
皿の数を検めさせてくれというのを耳にも貸さず「家中への見せしめ、成敗してくれる」長いやつをばズラッと抜いてズバーッ。袈裟懸けというやつ、肩先から脇腹までザクッ。返す刀で縄の結び目をブスッ……ザブ〜〜ッ。無残な最期を遂げた。
「ダハ、ダハ、ダ、ハハハハ……」これで腹の虫が癒えたわいと我が部屋へ取って返す。冷や酒をグーッと呷(あお)りつける。グルッと横になって寝てしまう。世間がシーンと静まる。……家(や)の棟三寸下がろうかという丑三つのころ、お菊の沈んだ井戸から青〜い陰火が一つポ〜っと、火の玉のような尾を引いて鉄山の部屋へ飛んだ。
鉄山、胸元を締め付けられるような息苦しさに、ふっと目を開けると枕元にお菊の姿。「おのれ、迷ぉて失せ(来た)たな!!」枕刀を取り寄せるなりイャッ! 斬り付ける。影も形も無い。「気の迷いであったか」……用を足そうと厠の戸を開けると、中にお菊の姿。驚いて取って返す、廊下のすみにまたお菊の姿。
古老:さすがのことに鉄山、とうとう半狂乱、狂い死にに死んでしもたんや
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この怪談部分はいかにもらしく話すのが腕の見せ所ですね。
聞いていてお客さんが怖がるくらいに・・・・。
この噺は紙芝居もあって、ワタシも何度か保育所などで演じたことがあります。けっこう面白がってくれました。
この夏はまたどこかで演じてみたいネタですね。
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