日々是是。

日々徒然書込候。コメント宜しく!

落語・楽語・楽娯

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落語や演芸などについて書いていきます。
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さーてさて、久し振りの落語の徒然となるわけですが・・・。
30回目とキリも良いのでここら辺でまた『艶笑噺』を復活させましょうかね!

18歳未満の方は出来たらご退場願いたく思います。またこういう話が苦手な方もご退場ください。あくまで落語ですからそう気にしなくても良いかなとは思いますが・・・。

一席を全文掲載しますので二つに分けます。ご了承ください。

 WARNING!! 

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〜紀州飛脚〜

 ●えぇ〜、こんにちわ

 ■まぁこっち入り、急な用事ができて呼びにやったんやが

 ●そぉだんねん、わて家でボ〜ッとしてましたらな「急ぎの用事やさかい早よ来い」いぅんで飛んで来ましてん。急ぎの用事っちゅうたら何でおまんねん?

 ■急に呼び立ててなんやが、和歌山まで行ってもらわんならん用事がでけてな。

 ●和歌山まで、何しに行きまんねん?

 ■ちょっと届けてもらわんならん手紙がでけたんで用意したぁる。あんた、この町内で足の早いのが自慢やと聞いてるんでな、急ぎの手紙届けてもらお思てな。

 ●さよか、ほなこれから家帰りまして支度をして早速に出かけますわ。

 ■いやいや、それでは具合悪い。急ぎに急いでる仕事や、呼び立てといてえらい悪いが、今からすぐに出かけて欲しいと思うのやが……

 ●あ、さよか、今からすぐにでおますか。わたしゃかまやしまへんけど……手紙こっちお預かりさしてもろて。ほな、これから早速に出かけさしてもらいまっさかい。

 ■待ち待ち、紀州和歌山まで歩いていくのやないで、急いでんねんさかい走って行ってもらいたいで。

 ●へぇ、わかってまんがな。わたい走ることにかけては覚えがおますよって、自信がありますわい。わたい、この町内で走りにかけては「韋駄天」とあだ名をとってまんねんやさかい、絶対大丈夫。

 ■絶対大丈夫はえぇけど、走るなら走るで走るらしぃ恰好してくれな困るがな。着物がゾロゾロしてたんでは走りにくかろ? 走りやすいよぉに尻からげの一つもして……

 ●はぁ〜、尻まくりをねぇ……。尻からげしますか?

 ■しますか? て、尻からげせなんだら、走りにくかろが?

 ●へぇ、まぁ、してもせんでも一緒ですけど、尻からげせぇと言われりゃからげますが……、からげますと……、覗きよるんですが

 ■何が?

 ●いえね、尻からげすると覗くんですが……

 ■覗くて……、お前、男のくせにフンドシしてへんのか? フンドシ忘れてきたんか? フンドシ無し?

 ●せんことおまへんねんけど、フンドシしたかて何の役にも立てしまへんねん。横からドッデ〜〜ンとね。

 ■??……、よっぽど大きいねんな、横からドデンと出るか?

 ●へぇ、こないだ風呂で体洗ろてたんだ。ほな後ろから「喜ぃさん」ちゅうさかい「へぇ」立とと思たら己のん踏んでボ〜ンとこけてね、踏んだ痛さとこけた痛さと……さっぱわやや。

 ■……? よっぽど大きい?

 ●へぇ、せやから皆笑いよりまんねんがな「ドッボ〜〜ン」や言ぅて。

 ■何やねんその「ドッボ〜〜ン」ちゅうのは?

 ●普通、男が風呂入るとき……、右足から入るか左足から入るか知りまへんけど、入る音がドボン、ドボン、チョポンですわなぁ。わてらドボン、ドボン、ドッボ〜〜ン

 ■そんなアホな、そんな大きな音がするかいな。

 ●わてのは大きまんねんがな・・。
 
 ■……、難儀やなぁ。尻からげしたらそれが出るんかいな?

 ●へぇ、出まんねんがな。

 ■ほな、上向けて帯でキュッと括っといたらどないや?

 ●そらあきまへん、上向けて帯で括ったら、わて喉突きまんがな。うつ向かれへん。

 ■難儀なもんやなぁ……、横向けて括ったらどやろか?

 ●横向けたら、袖口から顔出しまんねん。

 ■蛇じゃがな、まるで。何とか方法ないのんかい?

 ●そぉでんなぁ……、せや、四つに折って帯へ挟みまひょか

 ■手拭じゃがな、それでは……。まぁ、どないしょ〜とお前の勝手や、えぇよぉにしたらえぇがな。とにかく急ぐねんさかい走って行ってくれな困るで。

 ●よろしま、心得ました。こぉなったらヤケクソだ、尻からげでも何でもして走って行きまっさかい、任しといとくなはれ。

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 ポイッと表へ出ます。さぁえらい事引き受けた、フンドシがありゃキュッと締め付けとけるんやけど、ブラブラしてしょ〜がない。と言ぅて、尻からげして走らんわけにいかん。「そや、みぎひだり振りもって走ったろ」大胆なことを思いついたもんで、大きなやつを両手で抱えると右、左振りながら「や、ドッコイさぁのさぁ〜♪」

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 ●ドッコイさぁのサ♪ ドッコイさのこらさの、ドッコイさぁのサ♪ ドッコイさのえっさサ、えっささのよっとサ♪ ドッコイさのえっさサ……

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    一生懸命走って来よったんですが、走ってる途中でションベンがしとなりやがって、

 ●えらいことしたなぁ、走る前にしときゃよかったなぁ……、急ぐ手紙や言ぅし、ションベンする間立ち止まってたらいかんし「ションベン一町、糞八町」ちゅうことがあるわい、ションベンしてる間に一町走れるちゅうんやさかいなぁ、こぉなったらしょ〜ない、走りながらしてこましたろ……

    ズボラな奴があったもんで、振り回しながら、

 ●じゃじゃジャジャ、じゃっジャ♪ じゃじゃジャジャ、ジャ♪ ドッコイさぁのサ♪ ドッコイさのこらさの、ドッコイさのサ♪ じゃじゃジャジャ、じゃっジャ♪ じゃじゃジャジャ、ジャ♪ ……

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 まるで散水車が走って行くよぉなあんばい、やりながら走ってる方はよろしぃんですが、片一方の草むらに劫(こぉ)経た狐が一匹昼寝しとったんですなぁ。こいつの頭の上から「じゃじゃジャジャ、じゃっジャ♪」と掛けといて行ってしまいよった。

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 飛脚の走っていく跡をジ〜ッと眺めた件(くだん)の狐、

 ▼悪いやつなぁ〜。♪かりにも〜稲荷の遣わしめ、狐の〜長(おさ)なるこのわしに、不浄のものを〜掛けるとは、おのれ〜憎っくきあの飛脚、帰り道をば〜覚えておれ。

 ▼チョマ公、ちょっとこっち来い。

 ★何やお父っつぁん?

 ▼狐の長のこの俺に頭からションベン掛けて行きやがった。

 ★悪いやっちゃなぁ、お父っつぁんの頭にションベンひっ掛けて行きよった? 何とか仕返ししたらんと腹の虫が収まらんなぁ。

 ▼そや。それで俺が一計を巡らしたんや。えらそぉに「男一人前」てな顔しやがって、大きなもんを振り立て振り立て行きやがった。あの大きいのんを自慢さらしてけつかるに違いないさかいな、あれを喰いちぎったろ思うねん

 ★お父っつぁん、あんなもん喰いちぎれるか?

 ▼ただ振り回してるやつに喰いついたかて勝負にならん。そこは我々狐には神通力といぅもんが授かったぁる。お前が俺の股ぐらへ入って、二人で肩車するよぉな恰好で上下対になってお姫様に化けんねん。ほんで、俺が上の顔になるさかい、チョマ公下でお前の口を下の口にするねん。

 ★ほぉほぉ

 ▼ほんで、色仕掛けで誘い込むとやなぁ。あのガキが自慢のもんをお前の口の端(はた)へ持って来よるさかい、そこんとこをガブッとかぶりついたらえぇねや。

 ★な〜るほど、これならうまいこといくに違いないわ。お父っつぁん、それやってこましたろ。

 ▼そぉなったら、それらしぃよぉにせなどんならん。お姫様一人がこんなとこへ立ってたらおかしい、侍女やとか奴(やっこ)やとかそれらしぃのんこしらえんならんさかい、眷属(けんぞく)のもん一同、俺が呼んでる言ぅて呼び集めてこい。

 ★心得た、よっしゃガッテン承知のスケ。

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 さて、お狐様に狙われたこの男、どうなるのか! ・・・・・後編へ!!

 久々の落語の徒然です。
 取り敢えずは小噺を全文掲載!
 『たけのこ』です。

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 上方落語にはお武家様の登場するものが少ないという枕を、米朝師匠が語られます。その少ない噺の中から、夜中、一人でトイレに立つのが恐い侍が奥方を脇に控えさせて「その方、そこで待つのは恐くないか?」「いいえ」「天晴れ、それでこそ武士の妻じゃ……」ど突いたろかしら、思いますな。

             * * * * *

 ●こりゃこりゃ可内(べくない)。

 ▲ねい。

 ●きょうの昼飯の采(さい)は何じゃ?

 ▲えぇ、筍でございます。

 ●ほ〜ぉ、筍とは珍味じゃが、いずかたよりか到来をいたしたか?

 ▲到来はいたしませんので。

 ●しからば八百屋にて買い求めたか?

 ▲買い求めもいたしませんので。

 ●買い求めもせず、到来もせぬ筍が、どぉして家(うち)にあるな?

 ▲いや、お隣りの筍がね、こっちの庭へ頭出しよりましたんで、それを掘り取りました。

 ●何といぅことをいたす「渇しても盗泉の水を飲まず」とは古人の戒め、隣家のものを無断にて掘り取 るといぅことはあるものか、たわけめ。・・・・とは言ぅものの、わしもそぉいぅことは好きじゃ。

 ▲あぁビックリした。旦那お好きですかいな。

 ●しかし一応隣家へ答えねばいかん、これから行ってまいれ。

 ▲何と言ぅてまいりますかな?

 ●そぉじゃな……、慌ただしゅ〜走り込め。

 ●「不埒(ふらち)でござる、不埒でござる。不埒分明(ふらちふんみょ〜)、 不埒(ふら)フッタイでござる。ご当家様の筍が手前屋敷へ泥脛(どろずね)を踏み込みました。戦国の世 ならば間者(かんじゃ)も同様なやつ、召し捕って手討ちにいたしますゆえ、その段ちょっとお断りをい たします」・・・・・そぉ言ぅてこい。わしは鰹節のダシを取っておくからな。

 ▲おもろい旦那やなぁ、うちの旦那。慌ただしゅ〜走り込むのか……

 ▲えぇ〜、不埒でござる、不埒でござる。不埒分明、不埒フッタイでござる。

 ◆これは隣家の可内、慌ただしゅ〜何事じゃ?

 ▲ご当家様の筍が手前屋敷へ泥脛を踏み込みました。戦国の世ならば間者も同様なやつ、召し捕って手 討ちにいたしますゆえ、その段ちょっとお断りをいたします。

 ◆不届きな筍の振る舞い、お手討ちは止むを得ぬが……、遺骸はこちらへお下げ渡しを願いたい。

 ▲そら何を言ぅねや、遺骸が要るんやがな……、うちの旦那、鰹のダシ炊いて待ってまんねやが。

 ◆何ならば、ダシもろともにても苦しゅ〜ない。

 ▲さいなら……、向こぉの方が一枚上手やで。

             * * * * *

 ▲え〜、行て来ました。

 ●ん、何と出あったな?

 ▲「不届きな筍、お手討ちは止むを得ませんが、遺骸はこちらへ下げ渡してくれ」言ぅたはりまっせ  「うちの旦那、鰹のダシ炊いて待ってまんねん」言ぅたら「ダシもろともにても苦しゅ〜ない」言ぅた はりますが。

 ●ふん、敵もなかなかやるのぉ……。もぉ一度行ってこい「不届きな、けしからん筍は既に当方におい て手討ちにいたしました。遺骸はこちらにて手厚く腹の内へと葬ります。骨(こつ)は明朝、高野へ納ま るでございましょ〜。これは筍の形見じゃ」と言ぅて、この竹の皮をばらまいてこい。

 ▲段々オモロなってきたなぁこら……

             * * * * *

 ▲え〜、お隣りの

 ◆おぉ、可内。鰹のダシは?

 ▲いやいや、せやおまへんねん。え〜、あの〜「けしからん筍は既に当方において手討ちにいたしまし た。遺骸はこちらにて手厚く腹の内へと葬ります。骨は明朝、高野へ納まるでございましょ〜。これは 筍の形見でございます」(バラバラ、バラバラバラ)
 
 ◆いやはや、お手討ちに相成ったか。あぁ、可哀(かわい)や、皮ぁ嫌。

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 補足説明!

 可内(べくない)=「米朝落語全集」に記載 / 松浦氏 (FCOMEDYG)による。
         芝居では奴の名前に〜内と付けるのが型になっているという。「蛸芝居」でも定吉が          定内、亀吉が 亀内と名乗る(桂米朝談)。
 
 ねい=「はい」という返事。奴(やっこ)言葉として、昔の芝居なんかによく出て来ます(桂米朝談)。
 
 到来=他人から物が届くこと。特に贈り物が届くこと。
 
 たわけ=戯け:馬鹿者。ふざけた者。
 
 答え=あいさつする。ことわりを言う。
 
 不埒(ふらち)=道理にはずれていて、非難されるべきこと。よろしくないこと。「埒」は馬場の囲いの        意。転じて物事のくぎり、秩序の意。
 
 分明(ふんみょ〜)=ぶんめい:はっきりしていること。明らかなこと。
 
 不埒(ふら)フッタイ=平べったい・厚ぼったい、などのように不埒であることを強調したものか?
 
 間者(かんじゃ)=敵方の様子を探る者。間諜(かんちょう)、スパイ
 
 高野(こうや)=厠(かわや)の異称

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 この噺は侍言葉を練習するのに良いと聞きました。侍の言い回しの勉強になるんですね。
 よく聞いているとおかしみがでてきます。



 

ちょっとした宝物

イメージ 1

先日、学生時代の落語研究会の時に色々お世話になった桂 米左(かつら よねざ)師匠に香川の産物『さぬきうどん』をお送りし、一緒に桂 米朝師匠にもお渡しくださいとお送りしていたのですが、なんと、米朝師匠より礼状が届きました!!

重要無形文化財保持者(人間国宝)桂 米朝師匠から御葉書が!!

 感激しまくってます!

 ある意味、私にとってはお宝です!

 一緒に米朝師匠の手ぬぐいも頂きました!画像は後ほどアップしますが。

 大切にしておかなくっちゃ!!
 

 さて、今宵も一席お付き合い願います。
 暑くなってきました。ボチボチ怪談噺もええかな?と思います。
 今日は『皿屋敷』です。

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 〜あらすじ〜

 旅先で姫路の者と言ったのに皿屋敷の存在を知らなかったので恥をかいて戻ったと松つぁんの話を聞いて、他の若い連中も姫路で生まれて姫路で育った者ばかりなのに皿屋敷を知らないのに気付きました。
 
 古老に聞いてみると、城下にある車屋敷という屋敷跡がそれだといいます。昔、青山鉄山(あおやまてっさん)という代官の所でお勤めしている腰元のお菊がそれは別嬪であったのです。この鉄山がそのお菊を気に入り何とか自分の物にしようとしますが、三平という許婚のある身であるお菊。一向に鉄山に振り向こうとしない。そこで可愛さ余って憎さ百倍。懲らしめてやろうとお菊に預けた十枚一組の家宝の皿を一枚紛失したと濡れ衣をきせて斬殺し、井戸の中へ死骸を落としたのが元で、夜な夜なお菊の亡霊が出て皿の数をよむといいます。しかも、今でもその亡霊は出るという事・・・。

 元気のいい連中がそれは面白いと、早速その夜皿屋敷へ探検に行きます。亡霊が出て皿の数をよみ始めます。九枚という声さえ聞かねば身体に別状はない。七枚くらいで逃げれば大丈夫。そうこうするうちにこれが評判となって近郷近在から見物が押し寄せる始末です。亡霊の方も出て来ては愛想を振りまいたりしてタレント化してきます。

 ある日、お菊が事もあろうに皿の数を十八枚もよんだので大騒ぎ、なんでそない仰山よんだと抗議すると。お菊さん『風邪ひいてまっしゃろ。二日分よんどいて、明日の晩休みまんねん』

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 まあ、怪談噺ではありますが最後はやっぱり笑いに繋がりますね。

 姫路城にはお菊井戸ってのがありますけどコレがそうなのかどうか定かではありません。
 江戸の落語でも皿屋敷はあります。こちらの代官は青山播磨(あおやまはりま)と出ています。播磨は今の播州(姫路・赤穂地方)ですので、この皿屋敷、元は上方落語と考えても良いとワタシは思います。江戸落語も上方から輸入して江戸風にしたものが結構あるんですよね。逆もありますが・・・。

 この噺ははじめのお菊が殺されるまでの怪談部分を力を入れてやった方がいいですね。その方が後からの笑わしどころが効いてきます。怪談部分を掲載してみましょうか・・・。

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 播州姫路に青山鉄山という代官がおった。その美人腰元にお菊がおってな何とかものにしょうと。手を変え品を変え、ゴジャゴジャと言い寄るのだが、どうしても言うことを聞かん。

 何で言うことを聞かんかというと、お菊さんには三平という許婚者がおった。この三平に操を立てて、言ぅことを聞かんかったんじゃな・・。

 さぁ、そうなりますというと鉄山、可愛さ余って憎さ百倍。何とかしてお菊を苦しめてやろうと、家に伝わる十枚一組の葵の皿を持ち出して「こりゃお菊、これは身共の先祖が将軍家より拝領の大切な宝物。もしものこと有るならば、身に代えて申し訳せねば相成らん。必ず粗忽の無いように」と管理を申し付けた。

 「何でそんな大事な品を……」不審に思いながらも、主命は黙(もだ)し難し「かしこまりました」と自分の部屋へ持って帰ってなおして(しまって)おいたのだが、鉄山、何と卑怯にも、お菊の留守にこの皿を一枚抜き取って隠したのじゃ。

 そうしておいて「先日その方に預けし品、急に入用じゃ。これへ」何も知らんお菊「一枚、二枚、三枚……」と数えたが、一枚足らん。何度数えても一枚足らん。「こりゃどうしたことか……」

 泣き崩れておりますところを冷ややかに見下ろして「どうした菊? その方、この青山の家にたたりをなさんと、皿を一枚かすめ取ったに相違あるまい。さぁ、誰に頼まれて隠した? 真っ直ぐに白状いたせ」

 もとより身に覚えの無いお菊「知りませぬ、存じませぬ」の一点張り「おのれ、強情な女め。この上は痛い目に合わせても白状させてみせる。こっちへ参れ」髪の毛を掴んでズルズル。井戸端へ引きずってくると荒縄で高手小手に縛り上げ頭から水をザブ〜〜ッ。踏む、蹴る、殴るの責め折檻。

 あまつさえ、余った縄の先を井戸の車に結びつけ上げたり下げたり……半死半生になっているやつを太〜い弓を持ってきて、ピシ〜ッ、ピシ〜ッ……ヒ〜〜ッ……「たとえこの身は責め殺されても、さらさら命は惜しみませぬが、盗みの汚名が悲しゅうございます。どうか、どうか今一度……」

 皿の数を検めさせてくれというのを耳にも貸さず「家中への見せしめ、成敗してくれる」長いやつをばズラッと抜いてズバーッ。袈裟懸けというやつ、肩先から脇腹までザクッ。返す刀で縄の結び目をブスッ……ザブ〜〜ッ。無残な最期を遂げた。

 「ダハ、ダハ、ダ、ハハハハ……」これで腹の虫が癒えたわいと我が部屋へ取って返す。冷や酒をグーッと呷(あお)りつける。グルッと横になって寝てしまう。世間がシーンと静まる。……家(や)の棟三寸下がろうかという丑三つのころ、お菊の沈んだ井戸から青〜い陰火が一つポ〜っと、火の玉のような尾を引いて鉄山の部屋へ飛んだ。

 鉄山、胸元を締め付けられるような息苦しさに、ふっと目を開けると枕元にお菊の姿。「おのれ、迷ぉて失せ(来た)たな!!」枕刀を取り寄せるなりイャッ! 斬り付ける。影も形も無い。「気の迷いであったか」……用を足そうと厠の戸を開けると、中にお菊の姿。驚いて取って返す、廊下のすみにまたお菊の姿。

 古老:さすがのことに鉄山、とうとう半狂乱、狂い死にに死んでしもたんや

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 この怪談部分はいかにもらしく話すのが腕の見せ所ですね。
 聞いていてお客さんが怖がるくらいに・・・・。

 この噺は紙芝居もあって、ワタシも何度か保育所などで演じたことがあります。けっこう面白がってくれました。

 この夏はまたどこかで演じてみたいネタですね。

 さて、今回も一席お付き合い願います。
 昨日は読まれた方、お疲れ様でございました。かなり長くなったので読んでいて大変だったと思います。う〜ん、読むのもいいけどヤッパリ生で聞いていただくのが一番かな?と思います。機会があれば是非、寄席や落語会に足を運んで見てくださいね!

 さて、今日は『愛宕山』です。

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 〜あらすじ〜

 旦那のお伴で京の愛宕山へやって来た一八(いっぱち)と繁八という二人の大阪の幇間(ほうかん・たいこもち)。口は達者ですが体力はさっぱり。谷底に張った的に土器を投げる土器投げ(カワラケ投げ)にチャレンジしたのですが旦那の足元にも及びません。

 悔しさ半分で「大阪では土器のかわりに金貨を投げる」と言ったところ、それを聞いた旦那が「そんなら」と小判を谷底へ投げ込んだので皆は大騒ぎ!「拾たら拾た者のもんや」の旦那の言葉に意を決した一八は、大きな傘をパラシュートにして谷底へダイビングします。

 無事着地して小判を拾い集めたまではよかったのですが、上げって行く事ができません。何を思ったか一八、自分の着ていた絹の襦袢を裂いて縄をない、その先に石を結びつけて、崖に生えている嵯峨竹に引っ掛けて、力一杯引っ張って、その反動で元の谷の上へ飛び上がってきます。

 喜んだ旦那が「金は?」と尋ねると一八「忘れてきたァ!!」

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 この噺は上方落語特有の『鳴り物』が多く入り賑やかな噺です。『鳴り物』とは上方落語特有でしてその場面場面で下座でお囃子を鳴らすのですがいかにも大阪落語らしい賑やかさです。噺を聞いていても楽しいですよ!この噺も生で見聞きするべき噺だと思います。

 この噺でワタシが好きなのは山を登っている描写もそうですが、カワラケ投げの所ですかね。ちょっと文章化してみましょう。

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 ■カワラケ投げ、懐かしぃなぁ。昔はよぉやったもんじゃ、わしゃちょっと自慢やったんや。久しぶりにやってみよかな。お婆ん、カワラケ五枚ほどこっちもらおか……。さ、皆こっち出といでや。あんまり前へ出たら危ないで。

 ●わぁ〜、谷がひと目で渡せまんなぁ。こんな高いとこまで出て来ましてんなぁ

 ■ちょっと見てみなはれ、あそこの谷間(たにあい)のところに仕切りがしたぁるやろ、あそこの真ん中に的が仕掛けたぁる。あれに当てるてなことはめったに出来るこっちゃないが、あの仕切りの中へ打ち込むのんでさえ難しぃこっちゃで……。ちょっとやってみよかいな(カリ、カリ)

 ●あんた、食べてなはる?

 ■食べてんねやあらへんがな、端をかじって風切りをこしらえてるんやがな……。それでわまず、風の向きを調べてみよかいな……。なるほど、よっしゃ分かった。ほなはじめは、このカワラケを風に乗せて、舞を舞うがごとく泳がすだけ泳がしといてあの仕切りの中へシュ〜ッと入れるさかい、見ときなはれ「天人の舞」

 ■(ホッ)……、ゆっくりと舞を舞(も)ぉて……、あの中へ……、そぉら入った、どぉじゃ。今度は二ついっぺんに放るさかい見てなはれ「お染久松夫婦投げ」ちゅうやっちゃ。

 ■(ホッ、ホッ)……、ほぉ〜ら見てみなはれ、二枚のカワラケが一本の糸で繋がれたよぉに、おんなじよぉにあとを追ぉて……、ほぉら……、そぉら入った、どぉじゃ。今度はゴジャゴジャなし、真っ直ぐ向こぉへ「シュ」っと打ち込む「獅子の洞(ほら)入り」ちゅうやっちゃ。これが一番難しぃねんで。

 ■(ソレッ)……、そぉ〜ら入った、どぉじゃ。

 ●しょ〜〜〜もない、子どもでんがな「そぉ〜ら入った、どぉじゃ」誰でもできまんがな。お婆ん、カワラケ百枚……

 ■百枚?

 ●の内の五枚。何でねん大層ぉに。あんなもん誰でも(ガリッ、ガリッ)ま、まずい

 ■食べたらあかんで、食べたら。吐き出しなはれ、風切りをこしらえるねんで。

 ●分かってまんがな……、それでわまず風の流れを調べてみましょかな。風の流れは……、あれ? スト〜ンと落ちてもたで、風あれへんのんか?

 ■カワラケをあお向けにしたらいかんで、うつ向けにするさかいに風に乗るんや

 ●分かってまんがな……、風の流れは最前見て分かってます。

 ●まずはじめは「天人の舞」カワラケが風に乗って、舞を舞うだけ舞わしといてあの中へ(ソォレ)……。あれ、どっか行ってもた? 舞、忘れよったんやな。ずぼらな天人やなぁ。

 ●今度は「お染久松夫婦投げ」二枚のカワラケが、一本の(ソレ)糸で(ソレ)繋がれぇ〜〜ッ、糸が切れたなぁ。右と左へシャ〜ッ、シャ〜ッと行きよったなぁ。喧嘩しよったんやで……。今度はもぉゴジャゴジャなし「獅子の洞入り」真っ直ぐあの中に打ち込みますよってな、真っ直ぐ。

 ●ソォ〜レッ、茶店へ入った

**********************************************

 と、まあこんな感じですね。ココに出てくる『天人の舞』『お染久松夫婦投げ』『獅子の洞入り』は実際にできたら凄いでしょうな・・。
 落語をする上でココの描写は当り鉦で表します。『天人の舞』は1回だけカンッ!とならします。で『お染久松夫婦投げ』は2回鳴らしますが1回鳴らした後暫く経ってから鳴らします。お染カワラケが当たった後に久松カワラケが当たる感じですね。『獅子の洞入り』は演者によって色々ですけど、ワタシはシューッと何枚か投げるようにして音を『カン・カ・カ・カッカ・カンカン』と鳴らして一八が『ほんまでっかいな?』と突っ込む演出が好きです。

 ぜひ機会があれば聞いてください!!

 では今回はこの辺で。


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