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お疲れ様です。
ホント全部書き出すのは読む方には苦痛ですね・・・。すいません。
あと少しです。お付き合いください!
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またガッカリしてしもた。さぁ、その日は床屋を十八軒に、風呂屋を二十六軒と回りまして、日が暮れになるともぉ目ぇも何もゴボ〜ッと落ち窪ましてもぉて……
▲ご、め、ん
■また来たであの人、いや朝から四へん目やであの人……、何だんねん?
▲髭……
■髭て、あんたもぉ剃るとこも何もおまへんで
▲五分刈りにしてもろて、頭まで剃ってもろて、このへんヒリヒリ・ヒリヒリしてまんねん……
■何んしにおいなはったんや?
▲一服さしてもぉたら結構で
■あぁさよか、ほなまぁ一服して帰っとくなはれ。
▲えらい済んまへん……「せを〜〜はやみ」
■また始まった、朝から来てはあんなこと言ぅてまんねん。ちょっといかれてんのと違いまっかなぁ
▲はぁ、無理もないわい。
ぼやいてるとこへ飛び込んで来ましたのが四十五、六の頭領風な男で……
◆大将、ちょっと頼みたいんやがなぁ
▲親方……
◆あぁ混んでるやないかい。ちょっと急き前(せきまい)でなぁ、主家(おもや)の用事で走らんならんねや、虎はんえぇとこで会ぉた、ちょっとこれから大急ぎで走らんならん、ちょっと髭だけや、先代わってもらえまへんか?
◆万さん済んまへんなぁ、髭だけだんねん、ちょっと主家の用事で走らんならんねん、ちょっと入れたっとくなはれな、済んまへん済んまへん。もし、こっちのお方、見ず知らずのお方に申し訳ございまへんねやけどなぁ、髭だけだんねん、ちょっと先……
▲どぉぞ、何ぼでも先やっとくなはれ。もぉ剃るとこも何にもおまへんねん。ボチボチ植えてもらおかしらんと思て。
◆「植えてもらう」えらいオモロイ人やなぁ、ほな頼むで
■えらいまた、急ぐねやなぁ
◆さぁ、主家の用事で大急ぎやねん
■あぁ、主家といぅたら、向こぉの嬢はん、どんなあんばいや?
◆かわいそぉに、今日あすやと
■二十町界隈にないといぅ小町娘や、もぉ親旦那心配してはるやろなぁ
◆お父っつぁんもお母はんもなぁ、目ぇもなんにも真っ赤に泣きはらかしてしもて、ぼやいてばっかりや。何の因果でっちゅうて……
■そらせやろ
◆金のある家にはまた、金では片付かんといぅ心配ごとが出て来るもんじゃわい
■せやけど、あの嬢はん達者な人やったけど、何でまた?
◆さぁ、それといぅのが今時ありそもないよぉな話でな、わしも聞ぃてビックリしたんやがな。
◆何でも二十二、三日前に下寺町でお茶の会があって、その帰り道、気の進まん人、お付きのもんが「いっぺんお参りしまひょ」ちゅうて高津さんへ連れて行ったら、それが因果やわい。絵馬堂の茶店で一服したところが、先からそこに座ってた人がな、どこの若旦那や知らんけども役者にもないよぉな綺麗な人やったんやそぉな。
◆うちの嬢さんかて年頃やわい、やっぱり「綺麗な人やなぁ」っちゅうて見てたちゅうねん。それ知らんもんやさかい、お付きのもんが「いにまひょ」と急きたてて行ったところが、やっぱり心が残ったぁったんやなぁ、緋塩瀬の茶帛紗が忘れたぁったんや。
◆また、その若旦那が親切な人でな「これ、あんたのと違いますか?」と、手ぇから手ぇへ渡されたときにはゾクゾクッと震えが来たそぉやわ、そらそやろなぁ。あんまり名残が惜しぃちゅうんで、また茶店へ戻って来て「料紙を出せ」サラサラッと歌を書いて渡して帰ったんや。
◆その歌の文句がな……、あの、百人一首にあるやろ崇徳院さんの「瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の」あれを書いて渡したなり、どっと床について頭が上がらん。
◆お医者はんに診せたところが「これは気病じゃ、思い詰めてることがあるに違いない」といぅので、いろいろと聞ぃたがどぉしてもおっしゃらんので、小さい時分にお乳をあげた乳母(おんば)はんが嫁入りしてるのを呼び出して来てやで、枕元へ座らして、なだめたりすかしたりしたところが、耳の付け
根まで真っ赤にして「誰にも言わんといて、お父っつぁんに知れたら怒られる、実はこぉこぉ、こぉいぅわけ」と……
◆ここではじめて様子が知れたんや。旦那それを聞ぃてえらいこっちゃがな、一粒種の娘を殺したら大変や「出入のもん皆呼んで来いッ」ちゅうてみんな集めて、とにかくその若旦那を探さないかんさかい「お前あっち行け、お前こっち行け、お前あっち行け、お前そっち行け」
◆可哀想ぉに源助はん、きのう札幌行きよったであいつ。わしゃまた紀州の係や。これから行かんならんねん「和歌山の町中で尋んねて分からなんだら熊野の浦へ回って鯨に聞ぃてこい」てなこと言われて、ひっくり返るよぉな騒ぎになったぁんねん
■へぇ〜ッ、まぁそんな話聞くっちゅうと、あんまりえぇ男に生まれるっちゅうのも罪なもんやなぁ。
◆せやけどやっぱりなぁ、ご大家は違うっちゅうねん。わしらやったら「瀬をはやみ」てな歌書いてもろたかて何のこっちゃ分からんが、ここらがやっぱり我々とは違うなぁっちゅうて
■なるほどなぁ……
▲チョワ〜ッ!
◆な、何ちゅう声出すねん。な、何をしなはんねん、人の胸ぐらつかまえて?
▲チョ、チョワ〜ッ、おのれに会おとて艱難辛苦は幾ばくぞや、ここで会ぉたが優曇華(うどんげ)の、親の仇、尋常に勝負、勝負
◆何を言ぅねん、こら離せ、離しんかいな
▲離してたまるかい。その歌書いてもろていんだんは、わしとこの本家の若旦那や!
◆ギャイッ! こらえぇとこで会ぉたぞ、おのれに会おとて艱難辛苦
▲おんなじよぉに言ぅな。俺とこ来い
◆わしとこへ来い
▲おのれ連れていんだら、借家五軒に三百円……
◆そら何のこっちゃい?
もみ合う弾みに花瓶がパ〜ンと飛びまして、前の鏡がパラパッチャンパッチャンパッチャン……
■待った、待ったぁ、おい何をすんねんお前ら。今、話聞ぃてりゃ互いに尋ねる相手が知れてめでたいねやないかい、それを喧嘩せえでもえぇがな。うちの鏡、割ってしまいやがって、これどないしてくれんねん?
▲心配すな、崇徳院さんの下の句じゃ
■下の句とは?
▲(サゲ)割れても末に、買わんとぞ思う。
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あ〜ああ〜!疲れた・・・。
と、まあこんな噺ですけどね。奥ゆかしい恋愛話ですね。
こんな風な場面にあってみたいものです!
次回からはまた普段通りに行きます!
お疲れ様でいた・・・。
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