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今宵も一席お付き合い願います。
今日はいわゆる新作落語である『マキシム・ド・ゼンザイ』
まあ、取り合えずは【あらすじ】をば書かせていただきます。
ってか、特別大サービス!!本編書いちゃいます!しかし、長いのでユックリお茶すすりながら読んでください(笑)読みにくいかも知れませんがそこんとこはご勘弁!!
長いので2つに分けます。よろしくです。
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いわゆる『グルメブーム』で色々な料理店が雑誌などを賑わせていますね。飲食店を特集した雑誌は結構多く、また売れ行きも好調の様子。そんな事からこの噺ははじまります。
(※●が主人公・△が店のウエイター・■がキャッシャーです)
●エーッと。確かこの辺のはずやねんけどなァ。この本によるとやで、ホテル・ハイアットリージェンシーの角を曲がって、ディスコ・トゥーリアの前やろ・・・。こういう本の地図は解り難いさかい・・・。アッ!あったあった。ここやここや。このビルの1階や・・・。看板かて出てるがな・・。何べんも前を通ってたんやがな。・・・『マキシム・ド・ゼンザイ』。ここやここや。これがこの本に載ってる『究極のゼンザイ』を食べさせる店や。入ってみたろ・・・・。ウワァ、スゴイなァ。大理石造りやなァ。ホンマにこんな所でぜんざいなんか食べさすんかいな?
△いらっしゃいませ。
●あ、すいません。こちらですか?『日本一のゼンザイ』を食べさせてくれるお店ていうのは?
△(人差し指を前でふりながら)チッチッチッチッチッ。お客様、恐れ入りますが、当店は『日本一』では御座いません。『世界一のゼンザイ』をご賞味していただきます。『ザ・グレイティスト・ゼンザイ・オブ・ザ・ワールド』・・・・。当店のモットーになっております。
●すんません・・。のっけから叱られてしもた。しかしなァ、『世界一のゼンザイ』いうても日本以外にぜんざい食べてる国、あったかいな??まァ、なんでもええわ。ほな、その世界一のぜんざいっちゅうのん、食べさせてもらえますか?
△かしこまりました。アノ、どなたのご紹介でいらっしゃいますか?
●エッ?『ご紹介』?誰かの紹介状が無かったらあかんのかいな。初めて来たんですけど、一見はあきませんか?本を見て来たんですけど・・・。
△いえ、結構でございます。土曜の午後でございましたらご予約をいただきませんとお断りする節がございますが、今日はお席も充分ございます。ア、禁煙席もございますが、いかがいたしましょう?
●禁煙席で御願い致します。
△左様でございますか。それでは、どうぞこちらの方へ・・・・。
●あ、そうですか・・・。ウワァ、凄いなァ。外も立派やと思うたけど内装も凄いなァ。フカフカのじゅうたん、シャンデリアがぶら下がってるで。壁に絵がかかってるで。美人画やな。・・・・『あんみつを食べる女』伊東深水・・・・ホンマかいな?芸能人もちょいちょい来るちゅうねん。覚えとかなあかんな。
△お客様、どうぞこちらへ。
●ハイ。どうもすいません。
△暫くお待ち下さい。
●ハイ・・・・。しかしなァ、この雰囲気からいくと、値段は高いで。しかし、高いという事は『うまい』と言う事やさかいな。こんな店の食べ歩きして、一人前のグルメにならないかんねん。ほんまもんのA級グルメになろと思うたらナカナカ大変やで。がんばらいかんで・・・。
△お待たせいたしました。メニューでございます。
●え?メニュー?ぜんざい屋やさかい『お品書き』でもええてなもんやけど、ここらが『マキシム・ド・ゼンザイ』の値打ちやな・・・・。見せてもらお。え?アレッ?・・・アノー、すんませ〜ん。コレみんな英語で書いてあるんですけど・・・・・。
△(指を左右に振りながら)チッチッチッチッチッ・・・。恐れ入ります、お客様。それは全てフランス語でございます。
●そんな事はどうでもええんですけどね・・・・。私、こういう横文字は具合悪いんですけど・・・。アノ、お奨めの料理はありませんか?
△左様でございましたら、『ディナー・コース』等はいかがでございますか?
●『ディナー・コース』?ぜんざい屋で?ディナー食べたりするんですか?
△はい。当店特選のフルコース。『グルメ・コース』になっております。
●なるほど!本に紹介してあったやつやな。それ、おいくらですか?
△ハイ。一万二千五百円でございます。
●一万二千五百円!!高いゼンザイやなァ・・・・。あのー、他にどんなんがあるんですか?
△左様でございますねぇ。今日のシェフのお奨め料理は、一品料理でございましたら、トコロテンとスパゲッティをミックスいたしまして、お汁粉とワインで和えました『トコロテン・ナポリ風』というのはいかがですか?
●『トコロテン・ナポリ風』?それ、どういう料理ですか?
△別の言い方をいたしますと、『お汁粉で食べるスパゲッティ』
●ウワァ・・・。凄いなァ。『お汁粉で食べるスパゲッティ』か・・・。他には?
△『キンツバのテリーヌのボルドー風』というのは・・・・。
●それもあんまり感心せんなァ・・・・。あのォ、私、ぜんざいを食べたいな・・・と思って来たんで、ぜんざいはないんですか?
△それでしたら、白玉ぜんざいの白玉の代わりにチーズをあしらいました、『白玉ぜんざいチロル風』というのはいかがでございますか?
●『白玉ぜんざいチロル風』?・・・・なんや聞いただけで胸悪ゥなってきた。そういう料理は誰が考えんねん、ホンマに・・・。それやったら、折角来たんですから、ディナーコースにさせてもらいますわ。
△左様でございますか。暫くお待ち下さい。
●ハイハイ。しかし、凄いね。一万二千五百円のぜんざいやからな。まあまあ、これも話の種や。一番メインの料理を食べとかんとな。これもグルメになる為やさかいな。
△お待たせを致しました。最初のメニューでございます。
●え!これ、ゼンザイですか?
△いいえ。ぜんざいはメインディッシュでございまして、これは前菜でございます。
●前菜?ぜんざいやなしに前菜?いわゆるオードブルというやつ?モナカみたいですね。
△左様でございます。『こしあんもなかのスフレ風』でございます。
●『こしあんもなかのスフレ風』?ああそうですか。いただきます。(食べて)・・・・なるほど。美味しいモナカやな。甘みがぐっと抑えてある。『甘みはぐっと抑えた中にも、こしあんの粘り強い甘さと、もなかの皮とが一体になって、歯ざわりとも歯ごたえとも言えない独特の雰囲気が、お口イッパイに広がるやないかいな』と本に書いてあったけど。ようわからんわ・・・・。只のもなかや、これ。・・・大層にいう事あらへん。・・・・・もなかの皮が歯の裏にくっつくやろ、これ。え?アア、ナプキンですか。どうも。
△次のメニューで御座います。
●次のメニュー・・・・。ホォ、今度はスープみたいなもんが出てきましたが・・・
△『甘納豆のポタージュ』でございます。
●『甘納豆のポタージュ』・・・・。ハァ、なるほどねえ。これも本に書いてあったな。『甘納豆のポタージュは、甘さは軽やかなのにマッタリしていて、深く舌にしみこんで、これはもう単に甘いというのを通り越して尊くさえもある』。・・・・どんな甘さやねん?食べんことはないけどね・・・・。(スプーンですくって食べる)・・・・うん。なるほどな。こらァ単に甘いというのを通り越して・・・・普通の甘さやで。どの辺が凄いのか、さっぱりわからへん。
【その2につづく】
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