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この映画、あの杉浦日向子さんの名作「百日紅」を原作としていると聞いて、まずとりあえずは 観てみた。「百日紅」は葛飾北斎の娘、お栄を主人公にして、北斎とそのまわりの普通じゃない 出来事を一話完結のショートストーリーで綴っていくもの。これを映画にするとどうなるのか 興味津々。 この映画は、原作に思い入れがなければ普通に楽しめると思う。人物は活き活きとしてるし、 細かく描かれた江戸の町の景色はとてもよく出来ている。話だって面白いし、誰に見せても 安心の作り。一見の価値あり。 監督は、観客層を限定せず、子供から大人、お年寄りまで、またおそらく海外配給も意識して 外国人までもわかりやすいよう、間口を広〜くとった作品にした。そのわかりやすさが、長所 でもあり短所でもあるように思う。明るく、色彩豊かで賑やかな江戸風景は、杉浦作品にあった コマとコマの間の闇を想像させるような、一種いかがわしい雰囲気を消してしまった。 北斎の娘お栄の性格も、どこかけだるげで、世間を斜めに見ているようなところのあった原作と 違い、言葉遣いは時々取ってつけたように乱暴だけど、普通の元気娘になった。これはお栄の声 をあてている杏の声の性質が大きい。彼女の声は若い娘らしく元気でいいんだけど、素直すぎて 育ちが良い曇りのない声に聞こえる。 全体のストーリーが原作のように短いエピソードの繋がりそのままなので、普通の映画のように 起承転結があり、最後に盛り上がりがあるという作りでもなく、全体としてわりとあっさりと した印象になった。病弱の妹の存在を大きくして、一貫した流れを作ろうとしているのはいいの だけれど、そちらの話を増やした分、鉄蔵(北斎)の存在感が薄れてしまったのは残念。 監督は、一つ屋根の下に暮らしながら共に画業に励む(しかもあの北斎と)娘という、特異な 舞台を活かすよりも、離れた所に住む目の見えぬ妹との触れ合いを映画の軸にする事を選んだ。 たしかに、可哀想だしそちらのほうが観客の食いつきはいいのかもしれないが。 原作は、感情表現はどちらかというと淡々とした印象なんだけど、その抑えた演出が逆に効果的 で、読み手に深い余韻を残す。映画では、悲喜こもごもが細かく描写され表面に出ているので 場面は華やかになるんだけれど、そのぶんどうしても表面的な感じがして、しかしこれはあの 原作を再現しろと言われても無理なんだろうし、仕方が無いところなのかな。 あと個人的な好みで言うと、なんでお栄の顔をこんなふうに変えてしまったのかなあ、という。 たしかに原作の顔ではいかんと思うけど・・・眉をぶっとく、眼は大きくパッチリ、強い意志を 表現した顔にしたかったんだろうけど、どう見ても江戸娘の顔じゃないんだよね。その違和感は 最後まで残ってしまった。映画化って難しいんだな・・・。。 |

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百歳まで生きられれば、もっとましな絵が描けることができるのにとは。凄いなーーと思います。そんな凄みも描かれているのでしょうか?ちなみに画狂老人が亡くなった百年後の年に私が生まれました。才能はともかく長寿にあやかりたい(笑)。
墨田区に区立の記念館ができるそうです。箱ものは維持費が莫大になります。年金暮らしの区民のことを考えないやり方だし、待機児童のための保育園を作るべきだとの意見もあります。北斎館は津和野と小布施にもあるのにーー。収蔵品に肉筆画が沢山あって世界一を誇れるのなら出身地の記念館としてのプライドも保てるとおもいますがーー。
[ net*uke*o*ch* ]
2015/5/13(水) 午前 5:57
北斎の凄みはあんまり描けていませんね。監督的には、北斎が凄いのはみんなもう知ってるだろう?って事なんでしょうかね・・・。区立の記念館ですか。版画は多くあるので展示物は揃うでしょうが、肉筆画は高価だし、難しいでしょうね。墨田区お金余ってるんでしょうか。
2015/5/13(水) 午前 11:31