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映画化する時に削られたエピソードがけっこうあると聞いたので、原作漫画を読んでみました。 原作も素晴らしい。監督も原作に惚れ込んで映画化したと言われるだけあって、ちゃんと漫画 をリスペクトして、忠実に映像化しているのがわかります。鉛筆画のようなやわらかいタッチ ながら、綿密な時代考証を下敷きにして、笑いを交えながら戦時下の庶民の生活が描かれる。 作者の渾身の一作と言って良いのではないかという力作。 映画の中ではとくに重要な存在ではなかった、遊郭のお姉さんの存在が原作では大きいのも 意外だし、映画の中での大きな出来事もサラリと通り過ぎていたりして、違いを見るのも 楽しい。 作者のあとがきで、 「死」の数で悲劇の重さを量らねばならぬ「戦災もの」をうまく理解できないので、この作品 では戦時の生活がだらだら続く様子を描くことにした という言葉があって、なるほど映画で感じられたことは作者がやはりきちんとそういう意図で 描いていたのだな、と再確認できました。 あとこの本を読んでいると、やはり漫画は紙媒体がいいなあとしみじみ感じられます。 ドラマチックな場面がページをめくると見開きで「どーん」とくるのは、電子媒体で読んでいる 時にはどうしても無理で、この感覚がなくなってしまうのは作品上かなりの損失です。 描く方もせっかくそういう演出をしてるのにガッカリだろうし、読んでいる方もリズムが狂って 作品に没入出来ない。 たしかに場所を取らない、気軽に読めるなど長所もありますが、作品自体を楽しみたいと思う なら、まだ「本」になった漫画に太刀打ちできない。とくにこのような画風の漫画なら紙の ザラッとした質感にとてもよく合うということもある。 この漫画はKindle版も出てますが、是非単行本で読んで欲しい内容です。 |
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凄い本が出たもんです。ハードカバーの大判で440ページという大ボリュームに、びっしりと 尾崎谷斎の作品が美しい写真で掲載された、谷斎ファン究極の一冊! 数年前から、こういう本が企画され編集が進んでいるという話は聞いてたんですが、いつ出る のかなあ・・・と半ば忘れかけた頃・・・ついに完成したようです。 根付にかぎらず、櫛や簪、茶道具など初見の谷斎作品が目白押し。谷斎ファンなら必携です。 この圧倒的な厚みの最後まで全て写真!
洋書なので文章は英語です。読めればいいんですが・・・(・_・;)
特筆すべきは、正面だけでなくあらゆる角度から撮影されているので、見慣れた名作の裏は どうなっているのかな・・・という欲求に全て答えてくれます。素晴らしい!! 根付の面白さとは?と聞かれたら、この本を黙って渡せば済みます。重いけど(^_^;) 根付をよくわからない人でもこのユーモアは退屈しないでしょう。もちろん作る人にも 最高の教科書になります。 鹿角のテクスチャになってたり、谷斎愛がひしひしと伝わってくる内容でとにかく谷斎ファンは 女房を質に入れなくてもいいけど買うべき一冊でしょう(ちょっとお高い)。 と言いながら借りたもので私もまだ買ってないんですが・・・。 若干これは?というのも混じってますがほんの数点で気になりません。 ちなみにこの本は3部作でこの本はその2巻目、1巻目は研究や資料を中心とした文章、3巻目は 同時代に活躍した江戸スクールの作品集になるようです。英語がよく読めないから一巻目はまあ いいとして三巻目も見てみたいなあ・・・。 |
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リイド社がオンラインで公開している漫画サイト、トーチweb で最初から読んでいたマンガ、 「盆の国」が完結して単行本になりました。 主人公の女の子、秋は、お盆に帰ってくる者たちの姿が見える。死んでしまったお爺ちゃんや 可愛がっていたペット、不慮の事故で亡くなった友だち・・・会えるはずのない者たちに再会 できる楽しい季節。このままずっとお盆だったらいいのに・・・とふとよぎった願望が現実に なってしまう。同じ一日を繰り返すことになってしまった町に、さらなる異変が忍び寄る。 絵はシンプルなんですが情感をしっかり掻き立てる力はみごと。お盆というと、楽しい夏休みの 中に、ぽっと現れる非日常が子供心に強いインパクトを残します。 普段食べていた茄子や胡瓜が、ある日突然割り箸で四つ足になり、置かれるのを見て子供心に たいそう不思議だったし、ぼんぼりの明かりだけで怪しく浮かび上がる仏間も異空間めいて 胸がざわついたし、「ご先祖様が帰ってきてるんだよ」と言われてトイレにいくのもすごく 怖かった。 この本を読んでそういうことが思い出された。お盆は、二度と会えない懐かしい人が近くに来て いるかもしれない、という嬉しさと、幽霊が家の中をうろついているかもしれない不気味さ、 そういう哀感みたいなものが非常に日本人の情緒に会っているイベントと思います。 そういう哀感がしっかりとストーリーに練りこまれていていい作品です。 今の子供はそういう体験ができているのかなあ。 |
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最近、また水木センセイの本を読み漁ってます。いや〜どれを読んでも相変わらず面白い。 この本は平成15年の5月まで連載していた水木さん自身の日々の生活をマンガにしたものです。 11月に亡くなってしまったから、最後の本ということになります。 見飽きません。誕生日に花が送られてきた、なんて小ネタもこの人が描くと面白くなる。 毎回必ず大ゴマで描かれる情景描写が入りますが、緻密でありながら空気感のある絵はやはり 独特の良さがあります。今更言うこともないか。途中、いろいろな回想が入り、若いころの話や 戦争中ラバウルで左手をなくした話、また子供の頃から描いていた絵がたくさん載っているなど 内容が濃い。南方の原住民をスケッチした絵を見ると、やはりしっかりとした画力があるんだ なと。当たり前か。 水木先生自身が面白く描かれてるので笑えます。最終話がまたケッサクで、長いこと糞詰まりで 病院に行ったら美人女医に手を突っ込まれて出してもらった話。この話が一番好きかな(笑) これが最後というのはなんか非常に水木さんらしいというか。なんか納得してしまう(^_^) この半年くらいあとに亡くなった、という事を思いながら読むとドキッとする話も載ってます。 自宅で大きく転倒して「袖引き小僧か!」なんてエピソードも、同じように自宅で転倒したのが 原因で亡くなってしまった、というのを考えると絵は面白いんだけどしんみり・・・ 出雲取材中に足をズボッと取られて「(死者の霊に)引っぱられた!」とか、次のオリンピック まで生きてないとなあ・・・とか、まあ93歳なのでそういうネタを面白がってやってたという のはわかるんですが。それにしても転びさえしなければ・・・ でもやっぱり水木さんは最後まで面白かったな。ご本人も作品も、サービス精神旺盛でした。 この本はオールカラーで大判なので絵もじっくり楽しめます。 |







