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No.062
スティリア

No.198
マグタム

No.199
カグミナ

No.200
ケンカイ

***

No.ナンバーズ
プルオズン

***


「グゥ・・・・もう、食べれない・・・って・・・」

涎(よだれ)を垂らしながらソファーで寝るマイト。ジョーイさんがそれに気づき、肩を何度か揺らした。

「ん・・・」

目の前のモザイクが徐々に抜けていく・・・そして目の前にはジョーイさんがいるのだと気づいた途端、マイトは我に返った。

「・・・!!っジョ、ジョーイさん!」
「ポケモンセンターの電力、回復しましたよ」

マイトの顔に笑顔が浮かぶ。

「本当ですか!」
「ええ」
「原因はなんだったんですか?」
「”ロケット団”の仕業らしいわ」
「ロケット団・・・・?」

マイトはロケット団の存在を知らなかった。世界的に有名な悪の組織だったが、ホウエンには進出しておらず、マグマ団、アクア団という悪の組織が既にあったため、ロケット団の情報は一切ホウエンには来なかった。

「ロケット団はね、世界征服をたくらむ悪の組織よ」

ジョーイさんがマイトに説明をする。ついでにこのトルマリンシティが先程襲われたことも。
そう、マイトはトルマリンシティが襲われたことなど知る由もなく、のんきにソファーで眠っていたのだ。
事情を全て知ったマイトは驚きの顔をし、状況を把握した。
そう思えばさっきよりもポケモンセンターには人が集まっている。きっと手持ちのポケモンに傷を負わされたのだろう。元気の無いポケモンがたくさんいた。
マイトは選手登録だけだったので、すぐにそれを済ませ、ポケモンセンターを出た。
ところが入ったときの光景とは全然違っていた。
いたるところから煙が漂い、人々が不安の表情で過ごしている。
露店も殆ど破壊され、元気に人間と共にいたポケモン達の姿も見当たらない。
辺りは惨状と化していた。


***


「作戦・・・失敗です!伝説のポケモンと思われる三匹により、プルオズン、全滅しました!」

ブリッジで部下の声が響く。
シルビアにその声が届いた瞬間、罵声を発した。

「バカな!こんなときに伝説のポケモンなど・・・・!!ボスにどんな顔をして連絡を行えばいいのだ・・・」

シルビアは目を大きく開き、こめかみに血管を浮かばせた。
尊敬しているサカキ様の怒る顔が浮かぶ・・・このままではいけない・・・自分としても納得がいかない・・・

「今から本艦をトルマリンシティに向かわせ、直接攻撃を行う!」

シルビアがそう命令した瞬間、正面の大型モニターにサカキが映った。

『やめろ!』

咄嗟に怒りの顔から真顔に表情を変える。そして敬礼。

「サカキ様!」
『シルビア、今は待て、無闇に突撃して再び伝説のポケモンからの攻撃を受けたらどうする!』

どうやらサカキはモニターで光景を見ていたらしい。

『今は待つのだ、いいな?』

シルビアは敬礼をし直し、「ハッ!」を声を発した。

『では、明日、再びミッションを下す。それまでその場で待機だ』
「了解しました!」

そうしてサカキの通信は切れた。
シルビアには納得のいかない表情が浮かんでいた。


***


惨状と化したトルマリンシティ、駅も破壊されているらしく、止まっている電車も窓ガラスが割れ、脱線してホームに車体を乗り上げている。

「なんだよ・・・これ・・・」

話はジョーイさんから聞いていたが、ここまで酷いとは想像もつかなかった。
そしてその先には地面に横たわった巨大なポケモン。
マイトは走って向かい、そのポケモンを見た。
小さな目、ぬるっとした体。こんなポケモン、見たことがない。
そしてしばらくすると、そのポケモンはいきなり溶け出し、跡形もなく消えてしまった。

「な、なんだ!?」

状況が把握できない。ソーラ地方に来て間もないというのに、マイトの心は恐怖でいっぱいだった。
こんなポケモンがこの街を襲っていただなんて・・・信じられない。
先程選手登録したときにジョーイさんから「博士が待っているので隣町の研究所に向かってください」といわれていたのだが、そんな余裕もなく、マイトはただひたすら変わり果てたトルマリンシティを見て歩いていた。


続く→

***


一方マイトは――――。
無事に換金を終え、ポケモンセンターに到着したところだった。途中迷うところだったが、マップ通りに進んでいったところ、無事に到着することができたのだ。

「よし!まずは選手登録だ!」

ポケモンセンター定番の女性、ジョーイさんに話しかける。

「すみません!選手登録をお願いしまぁす!」

しかしジョーイさんは返事をしない。

「あの・・・ジョーイさん?」

「ハッ」とジョーイさんは我に返り、マイトの言葉に返答した。

「あ、ご、ごめんなさい。どうしたの?トレーナー君」

マイトはもう一度言う。

「選手登録をしたいんです。ソーラリーグの」

しかし、ジョーイさんはそれに複雑な表情を浮かべた。

「ごめんなさいね、今それどころじゃないのよ」

マイトは戸惑いを隠せない。

「ど、どういうことですか!?」
「うん、それがね、1時間ほど前から、このポケモンセンターの照明以外の電気機器がすべて使用できなくなってしまったの」

修理を奥で行っているのだが、原因はわからず、回復の兆しも見えないという。
マイトはそれを聞いて行動を起こすことができなかった。
ホウエンで手に入れたポケモンは全て家においてきたのだ。仮に送ってもらおうにも電力が無ければ転送システムは使えない。
照明だけはついているのに・・・しかも街全体ではなく、ポケモンセンターだけ・・・これは何者かが意図的に起こしたものなのかもしれない・・・。
現にホウエン地方には「マグマ団」と「アクア団」という悪の組織が存在した。もしかしたらそれに似た組織の人間が・・・

「そんなわけないか・・・」

マイトは溜息を一つして、ソファーに横になった。こうなったらただひたすら電気の回復を待つしかない。


***


「ボス、シルビアです。ソーラ地方全てのポケモンセンターの照明以外の電気系統を全て停止させました」

携帯電話を片手に話す赤髪の女、シルビア。電話の相手は組織のボスであるサカキであった。

『よし、よくやった。次は奇襲だ。手始めにトルマリンシティを襲え。いいな』

顔の見えないサカキに敬礼をするシルビア。

「了解しました。ボス」

携帯電話を切り、シルビアは歩き出した。
ここはシルビアが指揮するシルビア隊の飛行機の中。船体にはロケット団の象徴である「R」の文字が赤でペイントされていた。
ブリッジでシルビアは腕を挙げると同時に指示を出した。

「プルオズンを放て、トルマリンシティを襲うのだ」

その指示が下ると、部下は「ハッ!」と声で返事をし、あるボタンを押した。
それは飛行機の船尾の扉を開くボタン。開くと同時にプルオズンと呼ばれるポケモンのモンスターボールが飛び出した。
放たれて5秒ほどで全てのモンスターボールが放たれてその姿を現す。
大きな体に小さな目。個々の能力は低いが圧倒的物量で押し進む為に造られた人工のポケモンである。
また、世界に認められていないポケモンの為、その名はポケモン図鑑に載ることは無く、ナンバーも「ナンバーズ」と言われる。
放たれたプルオズンは翼とは言いがたいその腕で羽ばたき、トルマリンシティへと百匹という大群で向かった。


***


対戦を終えたセリカは、ポケモンセンターへ向かう途中だった。
街は変わらず活気溢れている。セリカもその場のいい雰囲気につい笑みがこぼれた。
空も快晴で青い。雲ひとつ無かった。
しかし・・・

「ん?」

ずっと海の先にある空になにかおかしいものが見えた。
この綺麗な空を汚すような黒点。それも一つではない、幾つも、数え切れないほどあるのだ。
おかしい、こんな光景、自然では考えられない。
やがてその黒点はポケモンの大群であることがわかった。セリカだけではなく、活気付いていた周りの人々もそのポケモンの大群に気づく。
迫ってくる・・・セリカには嫌な予感しかしなかった。段々ポケモンがこのトルマリンシティへと向かってくる。

そして、そのポケモンの口に光が集まった。
トレーナーのセリカにはそれがわかったのだ。高火力の技”はかいこうせん”の光であることが。
すぐにセリカは「逃げて!」と叫び、人々に危険を知らせる。
それを聞いた人々は目でみる危険とセリカの声で聞く危険がわかり、大声を挙げながら、そのポケモンとは違う方向に逃げ道を探した。
それに逆らい、セリカはそのポケモンの方面へ向かう。対抗しようというのだ。
ポケモンバトルの時のように腰のモンスターボールに手を掛け、取り出そうとした、そのとき!
ポケモンの口からついに”はかいこうせん”が発射された。街のビル群を光線で粉砕していく。
人は狙っていない様子。「威嚇射撃」を行っているのだ。
”はかいこうせん”が発射されたとき、セリカはその瞬間を狙っていた。”はかいこうせん”には反動が伴う、発射後しばらくは技が出せないのだ。ここぞとばかりにセリカはモンスターボールからスティリアを繰り出す。

「スティリア!行って!」

見たことのない謎のポケモンは予想以上に大きい。飛行機のような形状で大きさもそれに負けないくらいである。
セリカ自身も手持ちのポケモンで勝てない事は目に見えていた。だが、そのポケモン達の気を引き、少しでも被害が収まるなら、とスティリアを召還したのだ。
他に手持ちに素早い行動を空中で行える者はいない。スティリア一匹でできるだけ多くの謎のポケモンの気を引ければいいのだが・・・
スティリアがトリマリンシティの空中を動き回り、さっそく謎のポケモンの気を引いた。
できるだけトリマリンシティから離そうと、スティリアをトリマリンシティから海側に行くよう指示をする。
しかし、海にスティリアが向かうと、突然興味がなくなったかのように謎のポケモンはトエウマリンシティの方向に向き直り、再び街を襲い始めたのだ。完全に”目的のために動いている”ようにしか見えない。
セリカにはどうしようもない・・・トリマリンシティはそのポケモンにより甚大な被害を受けていく。
ビルは崩れ、露店は吹き飛び、人々は泣き叫んで逃げ道を探す。
諦めかけたそのときだった。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!」


何者かの雄たけびが聞こえた。
この声の場所は、海側とは反対の方向から聞こえる。
セリカと街の人々はそちらを一斉に見た。
四足のポケモン・・・ビルの上にいるため、はっきりとした姿をうかがうことはできない。


「ズオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!」


今度はまた別の雄たけび。
別の方向からだ。
再び人々はそちらをみる。
また四足のポケモン。やはり姿はうかがえない。


「カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアイッッッ!!!!」


そして三回目の雄たけび。
また別の方向に四足のポケモン。


そして三匹の四足のポケモンがこのトルマリンシテイに集結した。


人々の中の一人が言った。

「あれは・・・伝説といわれるポケモン、マグタム!カグミナ!ケンカイ!」だと。

セリカはそれを自分の口から言いなおす。

「マグタム・・・カグミナ・・・ケンカイ・・・?」

すると、マグタム、カグミナ、ケンカイと思われる三匹は技を繰り出し、街にいる謎のポケモンを攻撃しはじめた。
威力では謎のポケモンが勝っているように見えるが、素早さは明らかにマグタム、カグミナ、ケンカイと思われるポケモンが圧倒的に早い。
その俊敏な動きを巧みに使い、ビルから飛び上がっては攻撃、またビルから飛び上がっては攻撃、という戦法を三体で行っている。
まさしく「三位一体(さんみいったい)」だ。
セリカはその戦いに魅了された。

「す・・・すごい・・・」

今までの謎のポケモンの勢いはその三匹により抑えられていく。そしてついに、約半数がその三匹によって倒された。
街の人々が逃げることを忘れ、その戦闘に見入ってしまっている。
それほどその三匹の戦いは美しいものだったのだ。
人々の口から「すごい」という言葉がこぼれ続け、応援をする人も段々と増えてきた。人は皆まるでテレビで試合を見ている感覚だった。
そしてついに、その三匹によって全ての謎のポケモンは倒されたのだった。
戦闘後、三匹が同じビルの上に集合し、謎のポケモンがまだいないかを確認した後、いない事を確認するとそれぞれが違う方向に向かって華麗に跳んでいった。
破壊されたビル。所々に横たわる謎のポケモン。
そのポケモンは人々の話で「プルオズン」というロケット団と呼ばれる組織の人工ポケモンということが分かった。
しかもそのポケモンは倒れてしばらく経つと跡形もなく消滅してしまったのだった。
セリカは謎のポケモンがこのトルマリンシティを襲ったこと、そして伝説と呼ばれるマグタム、カグミナ、ケンカイを見たこと。心の整理がつかないまま、破壊されたトルマリンシティを歩き、ポケモンセンターへと向かった。

***


「私、セリカ。使用ポケモンは1体!先に全てのポケモンを倒した方が勝ち!これでどう?」

腰にぶら下げた6つのボール。格好からして素人ではないというオーラを出しているセリカと名乗る少女。
そして専用のバトルフィールドの反対側にいる少女も又、素人ではない格好をしていた。
今この2人の間で「ポケモンバトル」が行われようとしていた。

「いいわ!よろしくね!」

反対側の少女を返答をする。
お互いが腰に手を掛け、赤色と白色のモンスターボールを取り出した。
セリカがポケモンを出すと同時に大声で叫ぶ。

「いってちょうだい!スティリア!」

バトルフィールドに召還されたポケモンはスティリアという大型のポケモン。
漆黒の闇が体全体を纏(まと)い、両腕に当たる場所には羽らしきものがあった。
相手はスティリアの姿に驚き、徐(おもむろ)にポケットからポケモン図鑑を取り出す。
図鑑から伸びた赤い赤外線レーザーがスティリアを感知し、液晶画面にその映像と説明文を表示させる。そしてボイスが流れた。

『スティリア、おんみつポケモン。左右の大きな翼を巧みに使い、目に見えない速さで飛ぶ。また、飛んでいる間は特殊能力の「見えない翼」で体だけが空を飛んでいるように見える』

相手は珍しいポケモンに焦りを隠せない。額には汗が垂れていた。

「スティリア・・・初めてみたわ。あなたが飛行ポケモンなら、私も飛行ポケモンで勝負よ!」

そう言って相手が出したポケモンはリザードン。
トレーナーが初心者用ポケモンとしてもらうヒトカゲの最終進化系である。
「初心者用」といっても、火力に不足はなく、その巧みな翼で素早い移動を行うことも可能。
それを見たセリカの表情は、余裕だった。

「ふぅ〜ん、リザードンね。いいポケモン。でも私のスティリアにはかなわないわ。あなたが先攻でいいわ」

相手はその言葉を聞いて怒りを露(あら)わにした。

「そんな余裕でいられるのは今だけよ!見ときなさい、私とリザードンの実力!」

そして指示を出した。

「リザードン、突っ込むのよ!”きりさく”!」

リザードンは翼を大きく羽ばたかせ、物凄い速さでスティリアに突っ込む。そして腕の先にある爪でスティリアに襲い掛かった。
一方セリカは焦る様子もなく、スティリアに指示を出す。

「今よ、スティリア!”そらをとぶ”!」

スティリアもリザードンと同じく翼を羽ばたかせ、目にも止まらぬ速さで空へと飛び立った。
リザードンの”きりさく”は当たるはずもなく、空振りをしてしまう。
そしてセリカは再び指示を行った。

「スティリア!攻撃よ!」

空からの勢いでリザードンにぶつかるスティリア。その威力は並大抵のものではなかった。

「グォオオオオオオオン!」

リザードンが苦痛の叫びを上げる。

「隙は与えないわ!スティリア、”エアスラッシュ”!」

相手もそれに対応しないわけではない、咄嗟に「避けて!」と叫ぶ。
リザードンに振りかかる”エアスラッシュ”。しかしリザードンはそれを紙一重で回避した。トレーナーの指示に忠実に行動したのだ。
そして続けて指示を飛ばす。

「リザードン、”ほのおのうず”!」

リザードンの口から炎が渦状になって放射される。そしてそれはスティリアの体に蛇のように巻きついた。
セリカの表情も冷静なものから少し焦りのあるものに変わる。

「”ほのおのうず”・・・ダメージを少しでも与えようってわけね。スティリア、”きりばらい”!」

その指示を聞いたスティリアはその巨大な翼で”きりばらい”をした。
”きりばらい”は通常相手の回避率を下げたり、どくびしなどを避けるために使うものだが、場合によってはこういう使い方もできるのだ。
スティリアの”きりばらい”によって”ほのおのうず”が消え去り、スティリアは再び攻撃態勢を取った。

「スティリア、続いて”そらをとぶ”!」

スティリアが再び飛び上がる!

「リザードン、追いかけて!」

リザードンがスティリアを追いかけ、空中で後ろにつく。
それを確認した相手は指示を出した。

「リザードン!”ちきゅうなげ”よ!」

セリカは驚きの表情をし、スティリアを見た。
すでにスティリアにがっちりとしがみつくリザードン。
そしてリザードンは地球の「円」を描いてからそのまま地面に突っ込んできた。
地面に着く前にスティリアを離し、自分だけがダメージを逃れる。
地面に顔から突っ込むスティリア。バトルフィールドには穴が開き、その周りには亀裂が起こった。

「スティリア!」

心配のあまりセリカが咄嗟に叫ぶ。


「スティイイイイイイン!」
スティリアの鳴き声が聞こえた。まだ闘う体力は多少残っているようだ。

「いけるわね、スティリア!」

スティリアが穴から脱出し、戦闘態勢に入る。お互いに体力は残り少ない。

「きめるわよ、スティリア。”エアスラッシュ”!」

相手方も指示を出した。

「リザードン!”ほのおのうず”!」

スティリアが今までにない速さでリザードンに突っ込む。むかってリザードンは口から炎を放射し、スティリアに対抗した。
しかしリザードンの”ほのおのうず”はあまりにも勢いのあるスティリアに弾かれ、最後の一発、”エアスラッシュ”を浴びてしまった。
その場に倒れるリザードン。

「戻れ、リザードン」

モンスターボールをリザードンに向け、収めた。
セリカのスティリアもモンスターボールに戻る。
そしてお互いが握手を交わした。

「いい勝負だったわ、ありがとう」とセリカ。

そして相手も「こちらこそ」と返事を返した。

ガタンガタン・・・電車の走行音が車体全体に響く。
6両編成の5両目、丁度真ん中辺りに座り、窓の外を見つめる少年がいた。
少年の名前は「マイト」。ホウエン地方での旅を終え、新しい出会いを求めるため、ソーラ地方へ向かっているところだった。
水平線上に広がる2本の線路。その上をマイトの乗る真っ白な電車が走る。
乗車して2時間。ソーラ地方の大地が見えてきた。待ちに待った新しい地方。今最も発展していると言われるソーラ地方。
マイトは心の勢いに任せて電車の窓を開けた。

「すっげぇ!あれがソーラ地方!」

潮風がマイトの緑の髪をなびかせる。マイトの見つめる先はソーラ地方一の都市、トルマリンシティだった。


***


「ポケットモンスター」。縮めて「ポケモン」。
この世界に棲む、不思議な不思議な生き物。
ポケモンは海・山・空・色々な所に住んでいる。その種類は、百、二百、三百・・・いや、それ以上かもしれない。
人間とポケモンは、一緒に闘ったり、友として、仲間として、心を通わせあい一緒に暮らしていた。
ポケモンの数だけ出会いがあり、ポケモンの数だけ夢があり、ポケモンの数だけの冒険が待っている。
そして今日もまた、この世界で新たな出会いが生まれようとしていた―――。


***


『トルマリンシティ、トルマリンシティに到着です。お忘れ物のないようご注意ください』

電車が駅に到着し、マイトはソーラ地方に降り立った。

「どんな出会いが俺を待ってんだろ、ワクワクしてきた!」

マイトは預けていたトランクを受け取り、さっそく駆け出した。駅を出て辺りを見回す。
人通りの多いこの街。ホウエンのどの街よりも活気が溢れていた。
街のいたるところにある露店。ラーメンにクレープに・・・その数は数え切れないほどである。
そして左右に聳(そび)え立つビル達。

「すっげえ!こんな街見たことねぇよ!」

興奮のあまりマイトの口は塞がらない。と、マイトは思い出した。
まず新しい地方に到着したら、ポケモンセンターで「選手登録」をしなければならない。
ポケモンリーグ挑戦には選手登録は欠かせない、それをしておかないとジムリーダーにも挑むことはできない。
そのポケモンセンターの場所は・・・

「どこだ・・・?」

赤い屋根のポケモンセンター。普通なら目立つはずだが・・・
辺りは露店の赤い屋根があるだけ・・・ポケモンセンターらしき場所は見つからない。

「うん、ならこの街を見物しながらポケモンセンター探すか!」

マイトは露店を見回しながら歩き始めた。辺りからは食べ物の匂いがする。
すると、お腹から「グゥ〜」という音が鳴った。

「げ・・・そういえば朝食食べてないんだった・・・」

マイトは興奮のあまり荷物を持つだけ持ってホウエンの家を出てしまったのだ。

「お金は・・・・」

マイトの脳に嫌な予感が過ぎる。
辺りの人の手には見たことのない紙幣、硬貨。
そう、カントー・ジョウト・ホウエン・シンオウは共通のお金だが、それ以外では別の紙幣、硬貨が使用されている。
オーレ地方ではポケドル、というお金が使用されていると聞いたことがあったが・・・
ここでも似たようなものを使用しているのだろう。兎にも角にも換金しなければ何もすることはできない。
確か駅に換金所があったはずだ。マイトは駅に走って戻った。


「な、な、なんじゃこりゃぁあああああ!」

全力で換金所にかけてきたマイトが見たものは、長蛇の列だった。
皆が皆他の地方から来たと思われる人たち。
その列は三十人以上もの人で出来ている。

「マジかよぉ・・・」

マイトは致し方なく列の最後尾に並ぶことにしたのだった。

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