座乱読無駄話日記

読書や趣味、日常のことなど不定期に語ります

障子のはりかえ

  先日、ものすごく久しぶりに障子の張り替えをしました。
 だいたい、和室は一つしかないんですけど、全然和風家屋でないウチにわざわざ作ってる畳の部屋なので、窓に小さい障子、ベランダ出口に大きな障子、押し入れは襖、洋室との境は、こちらから観たら和風襖、向こうから観たら白いただの引き戸という、まあ、リバーシブル?襖でして、純和風ではありませんけれど、一応、半幅ながら床の間がある。
  その窓の障子があまりに、みすぼらしくなったので、とうとう貼り替えをしたんです。
 まあ、かれこれ10年くらいもやってなかったと思うので、紙は黄ばんで、ベージュ色・・?黄土色?のように変色しており、破れたところのみ、こまこま補修してて、なんともみっともないことになってまして・・。
 でも、ここまでほっておいたのは、この障子の上のほうに母が部分貼りしていた反故紙が捨てがたかったからなんですね。

 昔から、母は、障子の修理をする時に、なんらかの小細工というかお遊びをする人で、実家の玄関障子には、牽き手になる一部分だけを表側から貼って手を入れるようにしていたのですが、そこに、庭の紅葉やら、落ち葉の銀杏等を紙の間に挟み込んで二重張りにしていた。それがエスカレートして大きな葉っぱを貼りこんだり、模様になるようになっていたり・・。 
 裏側から光がさすと、シルエットになって、なかなかカッコいいんですよね。                                        ↓ たとえばこんな感じ
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 団扇も、破れると張り替えて使っていましたけれど、その紙に、字を書いていた。団扇にかいてあったので思い出すのは、

     秋きぬと 目にはさやかにみえねども 
         風の音にぞおどろかれぬる

 で、藤原敏行の歌だと知ったのは大きくなってからで、夏に使う団扇・・それも風を送ってくる道具にこれを書いていたのは、まあ、母の冗談なんでしょうねえ。
 キリギリスの籠を吊るしてあった縁側にぶら下がっていた風鈴の短冊には

     とんぼつり けふは どこまでいったやら

 こういったことは、我が家に引っ越してきてからもやっていて、窓の半障子に
 
     あれ松虫がないている ちんちろ ちんちろ ちんちろりん

と書いた反故紙を補修に使っていたのですね。
 これが、まあなんとも味わいがあったので、ずっとそのままにしてあったんです。

 母が亡くなったあと、書道の練習にしていた百人一首の色紙がたくさん押入れから見つかったので、母のマネをしているわけではないんですけど、敗れた襖の一部に、そういうのを貼りつけた。 すると、なんだか貼り混ぜ屏風みたいで面白いので、今は三枚ほど貼っています。 まだまだ練習用色紙はあるので、今後、本格的な貼り混ぜ襖になるかもしれない。

 床の間には母が展示会に出した軸を飾っています。
 
    白鳥はかなしからずや  空の青 海の青にも 染まずただよう

 廊下には色紙を額に入れたものをかけているのですが、これは多分、母が自分で掛けていたのをそのままにしている。

     白銀も 黄金も 玉も 何せむに勝れる宝 子にしかめやも

 額に入れたり、軸装したりするほど、気取ってがんばったようなものではなくて、ほんの冗談で書いたようなものを、まあ日常の遊び心にする・・・。

     あれ松虫がないている ちんちろ ちんちろ ちんちろりん

 ちょっと惜しかったですねえ。でも、紙がもうぼろぼろになってしまっていて、指つっこんじゃったし・・。



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インフェルノ

 ものすごく久々に、ダン・ブラウンです。
 おばさんは遅れたころにやってくる・・・・ですよ。
 「インフェルノ」(ダン・ブラウン 角川書店) 
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 小説は2013年に出て、もうすでに映画化もされていますけれど、「ロスト・シンボル」あたりから、急激にダン・ブラウンへの興味を失っていたので(ロスト・シンボルはフリーメーソンの謎だそうなので、フリーメーソンには、少々、飽きたような気がしていましたし、舞台がアメリカだったから・・・って、主人公のラングドン教授はアメリカ人なんですけど)、スルーしていて、「インフェルノ」はまたしても、イタリアが舞台でしたが、私的には、ローマで走り回った「天使と悪魔」ほどにはインパクトがなかったんですね。
 謎も、ダンテの神曲の暗号を解く・・・て、なんだか「暗号」というのも少々飽きていたし。ダンテには、どうも「ベアトリ姉ちゃん」の印象が濃くて、どんな「暗号」をしかけるんだろう? やはりガリレオとかベルニーニと比べて、ちょっと薄い(失礼)し、印象が違うでしょう? 神曲・・・わけわからんし・・・。
 で、今頃になって読んでみたら、これが、まあけっこう面白かった。いや、やはりエンターティメントですねえ。
 謎は、現代人がしかけていて、ダンテやヴァザーリ!!!を利用しているだけで、どこかに隠された、とても危険な「バイオハザード」を探し出さなければならず、その仕掛けた本人はもうすでに死んでいるんで、ラングドン教授は走り回りながら謎を解くわけです。それをまた、正体不明の敵が追ってくる・・・という、いつものワンパターンの展開ですが、やはり、ハラハラドキドキはうまいですねえ。
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 舞台はフィレンツェからヴェネツィア・・・そして、飛んでイスタンブール♪(すみません・・古くて)。

 人類にとって危険な生物兵器は、時限装置のように、ゆっくりと溶け出す容器の中に入っていて、早く見つけ出さないとウィルスが拡散してしまう・・という時限装置付き(これは「天使と悪魔」と全く同じ設定ですね。こちらは反物質というわけのわからんものだったけれど、まあ、時限爆弾と思ってさほどストーリーには影響ないと思うんですけど、そこはそれ、科学と宗教の対立・・みたいな話でしたから、スイスのセルン出したかったんでしょうねえ。今回は生物兵器・・・これも、時代的には不気味で恐ろしいものです)。
 そしてタイムリミットが迫る中、敵と味方が目まぐるしく入り乱れ、だれが本当の敵か、味方かわからない・・というところで話は進んでゆきます。
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 私は映画を見ていないのですが、映画版では、隠されているバイオハザードそのものが、原作とは設定が違っていて、「ものすごく危険なもの」ということになっているらしいし、原作では死なない人間も死んだり、ドカン・ボカンの派手な設定だとか・・。まあ、アメリカ映画ですから・・。
 原作では金髪のポニーテールの女性が濃い髪に代わっていたし、体中できものだらけの病気みたいな怪しい人物はスマートな黒人だったし、まあ、見た目は大事ですから。
 
 これを読んで、思い出すのは青池保子「エロイカより愛をこめて」で(ロシアより愛をこめて」ではないところが私です・・)イスタンブールの地下宮殿は、少佐が吹っ飛ばされたところだし、また別の話で、マッドサイエンティストが作ったウィルスをめぐって、中国の情報機関と少佐がやりあうという「猫熊的迷宮」編が思い出されます。
 これは、日本の企業が援助する化学研究所で、「とんでもないウィルス」を作ってしまったのを、中国の情報機関が奪おうとして、それを持って逃げる少年を追い回し、阻止しようとする少佐たちとの活劇で、ウィルスはばらまかれてしまった・・・! という結末。しかし、ウィルスは完成度が低くて、空気中では生存できないので全部が死滅した・・というものでした。
 このウィルスに感染すれば、人類は男子が生まれなくなる・・つまり、女性しか存在しなくなって、人工的に卵子を細胞分裂させクローンをこしらえて子孫を作る・・・つまり男性が一人も存在しない世の中をつくるというもの。
 そんなことが出来るのかどうかはまあ、どうかわかりませんが、この「インフェルノ」のウィルスは、人を一定の割合で不妊にするウィルス。つまり全人類の三分の一は子孫が作れないということなんですけれど・・・・・・・。
  
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 やや地味なところですけれど、またこういうのを読んだ。
 キャンピオン氏の事件簿として、三冊出ています。
 「窓辺の老人」「幻の屋敷」「クリスマスの朝に」(マージェリー・アリンガム・創元推理文庫)。
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 これは20世紀前半のイギリスのミステリーシリーズ。
 主人公のアルバート・キャンピオンの外見は、金髪長身で、色白ということですが(まあ、ここまではよいでしょう)、ばかでかい角縁眼鏡(金縁眼鏡ではない)をかけた猛烈な間抜け面・・とされています。
 角縁眼鏡とはなんぞや・・というと水牛の角で、バッファローホーンとして眼鏡屋さんなどでは出てくる。まあ、日本では鼈甲縁みたいなものでしょうか。今だとプラスティックでいくらでも高級感を出すことができるかもしれませんが・・。
 それはともかく、ひょろっとして頼りなげで、まぬけづら・・そういった名探偵?
 たしかにホームズのような偉そうなところはないんです。人がいいというか、まあおっとりしているというか・・。この外見とおっとり関係が、周りの人間に影響を与えているのかも。
 彼のそばにいる従者(執事ではなくジーヴスみたいなバレットです)のラッグは、おおよそ主人に遠慮なんてものはないし、元は少年院出身!という札付きのワルで、仮出所の時にキャンピオンの従者になったというのだから、言葉づかいまでヤクザっぽくて、としくったチンピラ風。とても慇懃無礼なジーヴスのように「さようでございますか?ご主人様」のようなイジワルな否定はしないで、直接、顔と態度と言葉で反抗するので、分かりやすいと言えば分かりやすかも。
 このシリーズの中では、御屋敷ものとでもいうべき物語が面白いですね。
 シリーズⅠ「窓辺の老人」の中に入っている短編「懐かしの我が家」、それにシリーズⅡ「幻の屋敷」のなかのタイトルにもなっている、正に「幻の屋敷」。
 これはどちらも、没落貴族の古色造然とした古い屋敷を舞台にした事件です。
 とくに「幻の屋敷」は面白い。解説本にも載っている古いカントリーハウスが忽然と消えてしまうミステリー。これ、謎解きの部分も含めて、私にはものすごく興味深かったんですが、まあミステリーですから、ネタバレはやめておこう。
 シリーズⅢ「クリスマスの朝に」はタイトルになっているのは短編ですが、この本のほとんどが中編の「今は亡き豚野郎の事件」です。
 これはキャンピオンの一人称で語られる、読み応えのある面白いドラマです。舞台はこれも古いカントリーハウスです。
 ここを買った往年の女優が、古き良き倶楽部のようなホテルを開業しているのですが、ここに彼女のファンの老紳士たちや、いまの環境を保存したい素朴な村の名士たちが出入りしています。
 この人たちと、その一帯をリゾート開発して、ここにカジノや劇場の総合レジャーランドとして(・・まあ、今はやりのIRですよ)観光客を呼びたいうさんくさい実業家との確執があったところ、このうさんくさい実業家が殺される・・・・。
 しかし、その人物は半年前に死亡していた・・・という謎と、消えた死体・・いや色んな要素が入っていますが、キャンピオン氏が心よせる女性と、彼の学友たちともからんでいろんなドラマが用意されていてなかなか楽しい。
 このごたごたの中で、態度の悪いバレットのラッグとキャンピオンは、まるでジーヴスとバーティみたいな喧嘩をする・・いや、これも面白いですね。しかし、殺人事件などおこらないジーヴスの世界と違って、ラッグは(もちろんキャンピオンも)とんでもない危機に見舞われる・・・。 ちょっと面白いこの主従、こちらにも描きました。(ドラマのラッグは小柄なハゲなんですけど、ラッグが髪の色のことを猛烈に気にする場面があるので、少ないながらもけっこう髪があったんではないかと推測しました。

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 このシリーズは、以前、BBCでは映像化されたけれど、日本では放映されていないんじゃないかなあ・・。
 邦題は「紳士探偵キャンピオン」というVHSではあるらしいけれど、いまどきレンタル屋にもないでしょうねえ。いや・・もうウチではVHS、見るの大層なんです。
 しかし、まあ日本語字幕がなくても大丈夫な方ならユーチューブで見ることができます。特にこの「今は亡き豚野郎の事件」はCampion (1989) Season 1 Episode 5から入っています。



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 ゴールデンウィークなので、遠出せずに、地域にこもっております。
なにしろ、近くの一般道から眺める名神高速道路も、近畿道も、阪神高速も、中国道も、どこもかしこも混みこみ! まあそういった道路が集まる場所なんだからしょうがないけど・・。
 パソコンの外付けハードデスクの画像整理なんかしていたら、ものすごく古い絵が出てきた。かれこれ12年くらい前に「座乱読ーザ・ランドックー」Web一周年記念と題して描いていたものみたいですので、まあ古いですね(あ、これは今年1月に閉鎖した私たちのHPです)。 「座乱読ーザ・ランドックー」で取り上げた歴史上の人物をごちゃまぜにしてこういった冗談やってました・・という記念に貼っておこう。

ゴールデンウィークなので? 座乱読ーザ・ランドックー野球大会です。

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   チーム アレッサンドロ  
各時代各国各界の「巨人」たちが集合です! 
 
監督     アレッサンドロ
 1 投手   織田信長
 2 捕手   徳川家康
 3 一塁手  アウグストゥス
 4 二塁手  アントニウス
 5 三塁手  ダヴィンチ
 6 遊撃手  豊臣秀吉
 7 左翼手  ミケランジェロ
 8 中堅手  カエサル
 9 右翼手  ラファエッロ
 
職人肌のレフト、天才肌のサード、華麗なライト。センターはなんでもござれの実力者。守備範囲が
めっぽう広い。守ろうと思えばガリアまで行っちまうぞ。
 小回りのきくショートも味がある。
なんたって監督のお衣装が華麗だね(え? ユニフォーム着ないの? うん)。 


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チーム ジュリオ 


 三銃士に三国志、三傑が集まって虎のように吼えます
監督     ジュリオ
 1 投手   劉備
 2 捕手   西郷隆盛
 3 一塁手  木戸孝允
 4 二塁手  ポルトス
 5 三塁手  アラミス
 6 遊撃手  張飛
 7 左翼手  アトス
 8 中堅手  関羽
 9 右翼手  大久保利通 
 
大柄選手をとりそろえたのが売り。
ショートも体型の割には鋭い動き。なんたって、名前が「飛」だもの。虎髭の名の如く、チームの名物男。
もう一人の「虎」レフトは少々課題が残る。なにしろ、いつも酔っ払いだからね。監督も「不服顔」で、このチームは大丈夫か?なお、このチームのユニフォームは、ルネッサンス風2色タイツ様に、左右の足が黒と黄色にわかれたデザインなのです! 


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朱色の研究

 とうとう五月に突入しましたね。
 ようやく足もマシになってきたので、昨日は、炎天下の陸上競技場にいて、観戦・・・まあ・・・若者のエネルギーをいっぱいもらって・・なんてえらそうなこと言ってますけど、実はとんでも無く暑かった・・・。いや・・・日差しが急に夏になってしまいましたねえ。日焼けしましたわ。
 競技場のスタンドの日陰になっているところには、高校生がどっさり・・・まあ、一日中競技場にいるわけですから、まだ出番のこない生徒たちは、(怖い?)先輩たちの応援を大声でせなあかんし・・・・合間には参考書などを持ち込んで、勉強しているわけですから・・そうなんですよ。試合までの待ち時間に、グラウンドの裏で、生徒たちはいそいそと教科書や参考書を開いている。熱心な子は問題集をやっている。
 いや・・高校生活は、クラブ活動と勉学の両方をやらなければならない・・・大変ですわ。
 テレビや新聞で見よく見る高校野球の強い学校は、陸上競技でもなかなか強豪であるというのは分かりますが、まあ、そういったいかにもスポーツの盛んな学校・・というのではなくて、けっこう地元では有名な進学校が、これまた、なかなかの成績を出す・・・いや・・だから,競技場裏でも勉強なんですけれど、最近は文武両道ですねえ。結果を出す子供たちは、学習でもスポーツでも、取り組む態度が真面目ってことなんでしょう。
 え〜・・そういった、我が家の日常はともかく・・・ではないんですが、競技場では夕焼けもよく見える・・。
 ということで、少し古いですが
「朱色の研究」(有栖川有栖・角川文庫)
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 この人の作品は、火村教授と作家の有栖のコンビの、シリーズ。
 舞台が京阪神なので、知ってる場所が多くて、まあ気安い感じがしますが、これは、題名があまりにもあからさまに、かの名高い古典「緋色の研究」を意識しているんでしょうけれど、登場人物が、それぞれ「夕日」にこだわり、大阪の夕陽丘を舞台にして、事件が起こり、また、和歌山のすさみの海岸とか・・。補陀落渡海とからめたり・・。
 まあ、「日想観」を意識したというか・・・夕日の光景に魅せられた男・・また夕日を恐れる女性などが登場し、過去の殺人事件とともに、謎が謎を呼び・・・という物語なのですが、ミステリーなので、詳細は言いませんけど、この夕日の朱色が重要なテーマになっているものです。
  
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青もみじ

 先週・・しょうもないことで、ちょっとした「家庭内事故」?で、左足の甲をくじいて、別にその日は大したことがなかったのだけれど、少し長距離を歩くと、痛みます。
 ということで、ちょっとここんところ、気分がどよ〜んとしてます。

 最近、あちこちの観光案内で、「青もみじ」というのをよく目にします。
 名園や、京都の紅葉の名所など、ちょっと遠出はしんどいなあ・・なんて思っていたら、そうそう・・・うちの裏にもあったじゃないか!
 ということで、イージーに「青もみじ」の写真でも撮ってみた。
 けれど、そこはそれ・・・民家が密集していますから、エアコンの室外機や、家の壁などが入り込まないようにトリミングもしたし、色彩も、画像ソフトを使ってちょっと「加工」してます。
 深山幽谷に見えますか? ・・なんて

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死者の書・身毒丸

 「死者の書・身毒丸」(折口信夫・中公文庫)
 今更ながらの大家、折口信夫の有名小説です。
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 高校生のころ・・・(ものすごく昔だなあ)、万葉集に少しハマっていたことがあったので、その関連書籍として読んだ記憶があるんですけれど、あまりにも有名なものだったので、期待が大きすぎて、読後感は「へえ〜・・・ふ〜ん・・」という程度で、ほとんど印象に残らなかった。
 というより、「どうして大津皇子が山越阿弥陀なんだ?」という疑問がのこるままに、長い年月がたってしまいました。印象としては、山越阿弥陀は、どうしても平安末の中世的な気配の近づく末法思想の頃という先入観と、万葉時代の悲劇の王子との一致ができなかった。
 今更ながら・・なんですが、この小説の時代背景は奈良朝で、藤原仲麻呂が権力を握りはじめ、これから上り詰めよう・・という時期で、主人公?の郎女は、藤原豊成の娘で、中枢権力からは少しハズれたところにいる一族の「箱入り娘」。
 その家から一歩も出たことがないような深窓のお姫様が、100年も前に、謀叛人として処刑された大津皇子の「霊魂」?「死体」?の放つ、この世に残った執念に呼び出されて、二上山に単身彷徨い出すというのですけれど・・・なんで、そんなに時間の立ったころなのか?
 まあ、どうしても中将姫伝説とからめたいので、二上山とくれば大津の霊魂だ!というんでしょうけれど、なんかよくわからんままに流していたのは、あらためてウン十年たった今読んでも、やはり???な感じで、折口学の「直観」には、いまいちついていけない・・って感じがしますねえ。
 和歌山の海辺で太平洋から打ち寄せる波を見て、「まれびとがみ」を直観したそうですが、これも、感性の名さか、私にはよくわからないんです。
 で、まあ、大津皇子の「霊魂」が姿を現して・・というのは、郎女だけに見えるのですがそれは、二上山の間から上半身をのぞかせる巨大な姿。
 ズバリ「山越阿弥陀」でしょう? そのほとんどハダカのような姿が姫にとっては、さぞお寒かろうと推測し、巨大な袈裟を織り上げる・・というので、当麻曼荼羅につなげるのです・・・う〜ん・・・・。やはりわからない感が残りましたね。
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 もう一つの短編「身毒丸」は、謡曲の「弱法師」や、説教節の「俊徳丸」。「摂州合邦が辻」のもとになる、俊徳丸伝説ですが、これは、本来、名家の子息に生まれながら、讒言などでうとまれ、放浪し、やがて正体が明らかになって返り咲く、貴種流離譚なのですが、この折口小説では、もともと、貴種でもなんでもなく、流浪の民の旅芸人の子供。
 おまけに父親が業病にかかっていて行方不明になってしまい、弟子筋の「親方」に養われて芸を見せながら旅をしている少年というのが主人公です。
 そして、自分も将来、父親のような病気を発症するのではないか・・・という恐れを抱きながら、不安定な心で生きている・・というそれだけのことです。
 むしろ、この天性の美しい少年に執心する「親方」が、なんともやりきれない思いを抱いている・・やや危なげな設定。こういうところを読者は折口先生本人のことと重ねたりするのでしょうか?
 この身毒丸という文字の強烈さから、いろいろな創作のイメージを後の人が広げたのはたしかでしょうね。
 そして、これも、また、折口学独特の感性で感じる古代信仰というか、謡曲の「弱法師」に登場する「日想観」と関連あるのかも。
 そういえば、「死者の書」でも、主人公の姫は、二上山に沈む夕日を見て、なにかを感じるのですが、これが「身毒丸」になると、舞台は住吉で、まさに住吉大社は日想観の本場で、実際に夕日は海に沈むので荘厳なはずです。
 近年、この住吉の日想観は復活していて、今でも、春分秋分の夕日が、鳥居の間に沈むのを見て法要を行うそうです。
 その夕日は現在も見ることが出来るので、写真をとっておられるブログもあります。
 夕日を拝む住吉・・・なんか面白そうですね。
 私も俊徳丸・・描いてみました。

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  地元情報です。
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このチラシに乗っているお人形は神武天皇と大砲です。

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