座乱読無駄話日記

読書や趣味、日常のことなど不定期に語ります

全体表示

[ リスト ]

写真師上野彦馬

 明開化の写真家といえば、上野彦馬下岡蓮杖は並び称されていますが、上野彦馬が撮った写真は、写真自体が有名ですね。
 なにしろ、長崎にいて、幕末の風雲急を告げる時を、最もドラマチックな場所で感じていたからでしょうが、被写体が有名人。
イメージ 1

 勿論坂本竜馬高杉晋作木戸孝允伊藤博文大久保利通とくれば、時代の尖端を行っていたひとたちばかり。幕末明治を記した歴史の本では必ずといってよいほど取り上げられる写真資料は、上野彦馬が撮影したものが多い。
 そういった、後に有名になる人が彼の写真館を訪れてせっせと撮影してもらったのは、長崎では有名なスポットだったんですね。一時、話題になった「フルベッキ写真」も、上野彦馬が撮影した。
 その上野彦馬を主人公にした小説を読んだ。
 「ホトガラ彦馬ー写真探偵開化帳ー」(井川香四郎・講談社文庫)
 いや、着想は面白いんですよね。
 なにしろ、歴史の証人というか、彼ほどたくさんの歴史上の人物の画像を、提供した者もいないでしょうし、当時、最新技術であった写真・・つまりフォトグラフィー・・・ホトガラ屋だったのだし、撮影をしたおかげで、いろんな人と知り合いだっただろうし・・。
イメージ 2
←洋装の彦馬
 その写真師を主人公に、明治7年の東京を舞台にミステリーをやるというのはとっても面白い。そして、彼に「謎」を提供するのが、川路さん、そして背後には大久保さんがいるわけだし、「悪者」?サイドには、伊藤博文がいて・・・(ついでに、井上、山懸の三人セットで出してほしかったなあ♪)と、まあ面白い時代じゃあないですか。
 それに、西郷隆盛が下野して、いろいろ、きな臭い時代でしょう?
 で、西郷隆盛の写真を彦馬が持っているはずだ・・・ということから、いろいろ謎が深まって殺人事件まで起こるという歴史ミステリーの設定は十分。
 彦馬本人のセリフとして、「フルベッキ先生のお弟子たちの写真の中には、伊藤さんや大久保さん、大隈さんはおらんばい」としています。
 これも面白いですね。フルベッキ写真には一時、大久保利通や西郷隆盛がいると言われましたからね。
 ですけど、シリーズ化する気があるのかしら? 謎は中途半端だし、西南の役はまだはじまってないし、ラストあたりで重要な役割を果たす内田九一も、死にそうだけど、まだ死んでないし・・・。なんだかこれ・・どうすんの? というところで終わっています。なんだか消化不良感・・。
 では、ホンモノの彦馬さんの詳しい経歴を見ようと、
イメージ 3
 「評伝 上野彦馬 日本最初のプロカメラマン」(八幡政男・武蔵野書房)
 親の代からの科学者で、父親は長崎奉行の時計師で、時計技術は勿論、蘭学を学び、医学を学び、化学を学んで、彫金や絵画も堪能であり、そして日本で最初に写真機を輸入した日本人であるということがわかった。すごいマルチな天才は父親の上野俊之丞だったんだ。長崎のダビンチですねえ♪
 その息子で、一番頭がよかったという彦馬は、三男で、わりあい勝手に写真の技術や開発にのめり込むことができたんでしょうねえ。
 そして、遊び人だった。頭がよかったのはいいとしても、 まあ・・ひどい男だねえ・・・とでもいいたいような、女性問題にはだらしのない人です。
 写真技術者であり、研究者であり、科学者である態度には、とてもすごいものがありますけれど、女性スキャンダルには、やや「実のない男」みたいな気がする。
 結婚式の夜に、なじみの芸者が自殺するというスキャンダルではじまった新婚生活に、奥さんがおもしろかろうはずはないですよね。それなのに、また浮気をして別の女性に子供をつくるし、出産の折に手伝いに来ていた妻の妹に手を出して、こっちにも子供が出来るという、ほんとあきれた男です。
 家庭生活がこれだけややこしいことになっていても、相変わらず、遊びはする。いや作家は、さかんに時代の風潮とか、ほかの人の女性問題のヒドさとか強調?して、別に彼だけが特に漁色家だったわけではないと弁護しているんですが、彼の場合、「女性が好き」だったわけではないような気がする。関わりを持った女性に優しくない・・みたいな。
 そういう部分が、彼が主人公の小説が続けにくいのかなあ・・なんて思ったりして。
小説では、「写真が残っているにもかかわらず」相当の美男だったってことにしているけれど、女性は「顔」だけでは惚れませんって。でも、時代は面白いし、今後続編、出ませんかねえ。
↓長崎まちなか竜馬館にあった写真用セット?
イメージ 4
 いや、でも、彼の写真にかける人生は面白いですよ。本当に探究心が旺盛で、取り巻く弟子たちも面白い。
 そして、彼の写真が、沢山長く残っている理由は、仕上げをものすごく丁寧にしているので、残存状態がいいということだそうです。時代を切り取った貴重な写真を残した功績は偉大なものでしょう。
 間違いなく、彼の写真は面白いし、貴重で、単に風景や人物を写すというのではなく、絵画に対抗しようというカメラマンの意気込みが感じられます。レンブラントの光と影を意識していたらしいのは、肖像写真家としては芸術家であったからでしょうね。

この記事に

閉じる コメント(4)

顔アイコン

上野彦馬 何者だったのでしょう?とガキの頃思いながら 学校に通う毎日でした
モチロン毎日疑問を持った訳ではありません。大人になってはじめて へぇー

2017/2/24(金) 午後 11:29 [ kuz**35 ] 返信する

顔アイコン

> kuz**35さま。上野彦馬は、長崎では勿論郷土の名士でしょうけれど、居間や全国区ですよね。大阪ではゆかりがないのが残念かなあ・・と思います。

2017/2/25(土) 午前 10:48 [ 乱読おばさん ] 返信する

顔アイコン

文が拙くて申し訳ありません。上野彦馬の屋敷跡だったかが通学路でした。

2017/2/25(土) 午後 1:04 [ kuz**35 ] 返信する

顔アイコン

> kuz**35さま。通学路でしたか♪ いえいえおっしゃりたいことは伝わりましたよ。郷土の方だと思いましたし♪

2017/2/26(日) 午後 11:38 [ 乱読おばさん ] 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(0)


.


みんなの更新記事