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悠久の歴史を訪ね、私は時々、平安の香り漂う京都に足を運ぶ。お気に入りスポットは、観光地のトップに挙げられる金閣寺や平安神宮ではなく、自然いっぱいの嵯峨野だ。嵯峨野は紅葉で有名な嵐山の北部に位置し、竹薮や念仏寺が有名だ。しかし、平日、休日を問わず、いつも人で溢れていて、ゆっくりできない。だから観光地に行くときには、必ず夕方から出かけることにしている▼先日も暇をもてあまし、いや、一人暮らしでも掃除や洗濯、そして時々無性に食べたくなるホットケーキ作りなど(焦がしてしまったが)、何かと超多忙な生活の中、夕方から電車に乗って嵯峨野に出かけた。昼間の観光客の喧騒からは想像できないほど、平安京都の佇まいがそこにあった。鳥の鳴き声が竹薮の中で響く。そして徐々に日が傾き、外灯だけを頼りに、ぶらぶら歩く。時間の流れが緩やかだ▼そのうち小雨が降り、一層情緒が増したと思っていたら、次第に激しくなり、大雨になった。傘は持っていない。どの店も閉店してコンビニもない。しかし、常に冷静な私はそんなことにはいちいち動じず、何事もないように駅まで歩いた。ずぶ濡れ姿の私を駅員さんは白い目で見ていたが、大雨の中を堂々と慌てることなく渡月橋を渡った私の勇壮な姿に、多くの京都市民は感動を覚えたに違いない。念のため言っておくが、走れなかったから負け惜しんでいる訳ではない。(山)
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