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Parnara guttata
<分布> 北海道・本州・四国・九州・南西諸島に広く分布し、伊豆・小笠原諸島や壱岐・対馬などおもな島々にも棲息する。北海道や本州の北部地域などでは土着種ではなく、ウラナミシジミなどと同様に土着地より毎年気温の上昇とともに北上してくるものと推定される。国外ではカシミール・インド北部・ヒマラヤ・アッサム・ビルマ・インドシナ・中国大陸・台湾・旧満州(南部)・朝鮮半島・マレー半島・スマトラ・ジャワ・ニアス・バリ・ボルネオ・セレベスなどに分布し、日本産は中国大陸(中・北部)・台湾・朝鮮半島産と同じく原名亜種に含まれる。タイプの山地は中国大陸の北京。
<生態> 八重山諸島では2月、西南日本では4月中旬〜5月中旬に第1化と思われるものが現れる。発生回数は4〜5回、八重山諸島などはさらに多いものと考えられる。北海道では7月にはいってようやく出現する。一般に春〜夏には個体数が少なく、夏〜秋に急激に数を増し、大群が一定方向に移動することがしばしばある。幼虫はイネの害虫として有名である。成虫は、山間地・田畑の周辺・人家の庭などに現れ、野菜や栽培された草木の花に吸蜜に集まり、湿地・汚物にも飛来する。土着地の越冬態は幼虫(齢数は不定)。
<食草> イネ科のイネ・ススキ・チガヤ・オヒバシ・イヌエビ・ヨシ・エノコログサ・クサヨシなど、カヤツリグサ科のシラスゲなど、タケ科のハチク・ネザサなど。
<雌雄の区別> ♂♀の斑紋に大差なく、意外に判別はむずかしい。一般には♀は♂より翅形が幅広く、白斑は大きい。確実な判定には腹端の精査が望ましい。
<変異> 第1化は第2化以降のものに比べて小型である。こうした傾向はチャバネセセリ・トガリチャバネセセリ・ヒメイチモンジセセリなど近似種にも共通したことである。
<近似種との区別> オオチャバネセセリ・ヒメイチモンジセセリと混同される(その他の近似種とは後翅裏面の白斑列の形のちがいで区別できる)。オオチャバネセセリとは(1)後翅の白斑列が本種はほぼ一直線、オオチャバネセセリはジグザグ状、(2)翅長や体長に対し触角が短い(本種は多種より短い)ことなどで区別できる。次種ヒメイチモンジセセリとは(1)大型であること、(2)前翅中室外側に白斑があること。(次種にはない)、(3)前翅白斑列が大きく、境界が明瞭なこと(次種では小さいか消失し、境界が不明瞭)などで区別できる。
保育社「日本原色蝶類図鑑」(全改訂版4刷) 第72図版2 325頁
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