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Thoressa varia
<分布> 北海道(利尻・礼文島を含む)・本州・四国・九州に分布するが、本州以南のおもな島嶼には確実な記録がない。国外ではサハリン南部・千島列島(中・南部)に分布し、タイプ産地は原記載にも日本と記されているのみ。台湾産の近似種キスジチャバネセセリ(T.horishana Matsumura)は交尾器などが似ており、同属の可能性もある。
<生態> 北海道、東北〜中部地方の高地・寒冷地では年1回(6月上旬〜8月上旬)、暖地では通常年2回(北海道平地でも地域によっては2回)の発生で、第1化(春型)が4月中旬〜5月中旬、第2化(夏型)が7月上旬〜8月上旬に出現する。暖地では温暖な年には第3化がみられる。成虫は樹林周辺のササ・タケ類の群落地に棲息し、飛翔は敏速で、イボタ・ヒヨドリバナ・タニウツギ・ウツギ・クガイソウ・オカトラノオなどの花に吸蜜に集まる。湿地に群れをなして集まり、汚物や動物の死体にも飛来する。♂は夕方に枝先などにとまって占有性をみせる。越冬態は老熟幼虫で、幼虫は食草の葉を筒状に巻いて巣をつくり、その中にはいって巣の基部をかみ切って地上に落とし、入口をとじて地上で冬を越す。
<食草> タケ科ササ属のクマザサ・デンツクザサ・トクガワザサ・アオスズ・ミヤコザサとメダケ属のメダケ・アズマネザサ・ゴキダケなど。
<雌雄の区別> ♀は♂に比べて翅形が横長で、まる味を帯びる。♂の前翅基部付近と前縁に黄緑色の長毛があり、前翅第2脈基部付近に透かすと光ってみえる性標がある。
<変異> 第1化(春型)は縁毛(ことに前翅)が全体に灰黄色、第2・3化(夏型)は翅脈端が黒褐色、他が灰黄色で黒・黄のまだら模様にみえる。北海道や本州東北〜中部地方の高山地のものは一般に小型で、地色が強く暗化する傾向がある。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改訂新版4刷) 第69図版5 316頁
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