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Kaniska canace
<分布> 北海道・本州・四国・九州・南西諸島に分布する。国外では、インド・ヒマラヤ・シッキム・アッサム・セイロン・ビルマから中国大陸(西・南部)・インドシナ・マレー半島・スマトラ・ジャワ・ボルネオ・フィリピン北部・台湾・朝鮮半島などに広く分布し、原名亜種はシッキム・アッサム・ビルマから中国大陸南部へかけてのものをさし、タイプ産地は広東。日本産は分布の北・東限にあたる。
<生態> ふつう年3回発生。早春から10月にかけて姿がみられる。奄美諸島以南では2〜12月に新鮮な成虫がみられ、発生回数はさらに多いと考えられる。北海道や高山地では年1〜2回と推定される。成虫は樹林周辺に好んで棲息し、飛翔ははやく、人の気配にも敏感である。よく地面や岩・木の幹などに翅を開いてとまる。クヌギ・ミズナラ・ヤナギ類・ニレ類などの樹液や、イチジクなどの腐果に飛来する。アセビ・キブシ・アザミ類などの花で吸蜜することもあるが、夏に現れる個体は花を好まないようである。越冬態は成虫で、越冬は崖のふちや岩の下、橋の裏側などで行われる。
<食草> ユリ科のサルトリイバラがおもな食草となる。奄美大島ではサツマサンキライ・カラスキバラサンキライ、沖縄諸島ではサツマサンキライ・ササバサンキライ、石垣島ではオキナワサルトリイバラのいずれもサルトリイバラの類が食草として報告されている。大都市の周辺ではサルトリイバラ類よりも植栽されているホトトギス類が食草となる。そのほか、シオデ・ヤマカンシュウ・ユリ類なども食草として報告されている。
<雌雄の区別> ♀は♂よりもやや大型で、翅形も幅広く、翅表の青色帯は発達する。しかし、まぎらわしい個体も多く、腹端・前脚の構造・頭部の大きさをみて判定するのが確実である。
<変異> 夏型の裏面は黄褐色味が強く、地紋が目だつ。秋型は翅表の青色帯が鮮明で、裏面の地色は暗く、黒褐色。屋久島以北のものは ssp. no-japonicum von Siebold とされる。トカラ列島〜沖縄諸島のものは ssp. siphnos Fruhstorfer とされ、大型で、翅形はややまる味を帯び、青色帯が幅広く、外縁より内側に寄って走る。八重山諸島のものは ssp. ishima Fruhstorfer とされ、前翅表中室外側の斑紋が白味が弱く、青色帯が濃く、大型で台湾亜種に似る。トカラ列島から台湾にいたるまで変化は連続的で、実際には区別することは困難である。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改訂新版4刷) 第52図版3 242頁
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