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Sasakia charonda
<分布> 北海道・本州・四国・九州に分布する。1957年秋、国蝶に指定されている。
北海道では札幌市周辺のみに分布するが、採集記録には小樽市などにもある。九州では宮崎県小林市以北の地域にみられ、それ以南では記録がない。他の島嶼には確実な記録がない。
国外では中国大陸(中・西部)・旧満州・朝鮮半島・台湾(高地)に分布し、日本産が原名亜種で、タイプ産地は関東地方(横浜近郊?)と推察される。
<生態> 年1回。北海道や高地・寒冷地では7月上〜中旬、暖地では6月中旬〜下旬に姿をみせる。
成虫は人家近くの雑木林に多く棲息し、クヌギ・クワ・ニレなどの樹液やクリ・クサギなどの花で吸汁・吸蜜する。イチジクなどの腐果や汚物・糞尿に飛来することもある。飛翔は敏速で、梢高くを旋回し、枝先に翅をひらいてとまる。♂は夕方に強い活動性を示し、梢上を占有し、占有領域にはいった蝶、ときには小鳥まで追飛する。
越冬態は4齢幼虫(ときに3齢または5齢)で、晩秋、体色が黄緑色からしだいに茶褐色に変わり、幹を伝って地上におり、落葉の裏で冬を越す。
<食草> 暖地ではエノキ、寒冷地ではエゾエノキ(ニレ科)。
飼育の際にはクワノハエノキ与えると、葉が大きく柔らかいので成績がよい。
<雌雄の区別> ♀は大型で、翅形はまる味を帯び、翅表は♂のような紫色に輝かない。
<変異> 北海道産は小型で、翅表の白斑は大きく、表・裏面の黄色の地色は濃色。東北地方から関東地方へと南下するにしたがって形は大きくなり、表・裏面の黄色味は淡くなり、黄色が消失し、白色の個体が現れはじめる。
近畿地方以西では白色の個体が多くみられ、四国では50%程度、九州では逆に黄色の個体がまれとなる。
近畿地方や四国では1dのような裏面の白化がいちじるしく、後翅表肛角部の赤斑が微小または消失するスギタニ型といわれる個体がみられる。この型は遺伝現象のひとつと考えられる。九州産には後翅裏面の暗色斑が発達する中国・朝鮮亜種(ssp. Coreana Leech)や台湾亜種(ssp. Formosana Shirozu)に似た個体がよくみられる。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改定新版)(4刷) 第58図版1 265頁。
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