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Argynnis paphia
<分布> 北海道・本州・四国・九州(対馬を含む)に分布する。壱岐、伊豆・小笠原諸島、南西諸島には記録がない。国外ではアフリカ北部(アルジェリア)・ヨーロッパ(西部)から中国大陸・旧満州・朝鮮半島・サハリン・台湾(高地)などに分布し、ヨーロッパ産が原名亜種で、タイプの山地はスウェーデン。日本産は ssp. geisha Hemming とされる。
<生態> 年1回、暖地では5月下旬〜6月中旬、高地・寒冷地では7月上旬から8月にかけて姿をみせる。暖地のものは盛夏に休眠し、秋にふたたび活動する。成虫は樹林周辺に多く棲息し、人家の軒下に集まり、日陰の湿地や崖の湧水地などで吸水する。アザミ類・シシウド・ウツギ・ノチウツギ・クリなど多くの花で吸蜜する。越冬態は卵または初齢幼虫で、孵化した幼虫は摂食せず、卵殻の近くで越冬する。
<食草> スミレ科の各種スミレ類。ヒョウモンチョウ類は各種とも飼育する場合には、与えれば多くのスミレ類を食べるが、野外では種によって、また地域によってある程度それぞれの種で好みがあるらしく、ミドリヒョウモン・メスグロヒョウモン・オオウラギンヒョウモンなどはタチツボスミレに執着する傾向がみられる。
<雌雄の区別> ♂の翅表は♀に比べ赤味が強く(♀は暗赤橙色)、黒斑は小さい。♂の前翅第1b〜4脈上は太い黒色の発香鱗条があり、♀はこれがない。
<変異> 一般に高地・寒冷地のものは小型で、暖地のものは大型である。中国・近畿地方の一部(鳥取県大山山麓など)に産する♀のなかには、まれに翅表の地色が橙色味を欠き、暗緑色のもの(2d)がみられる。これは遺伝的な現象とされる。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改定新版4刷) 第45図版2 215頁。
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