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Papilio helenus
<分布> 本州(東北地方中部にまで記録があるが、土着地は石川県と茨城県を結ぶ線以西と考えられる)・四国・九州より八重山諸島まで分布する。寒冷地では数が少なく、八重山諸島でもきわめてまれで、土着種ではないものと思われる。
国外ではインド・セイロン・ヒマラヤ・ビルマ・インドシナ・中国大陸・台湾・マレー半島・朝鮮半島南部からフィリピン・ボルネオ・スマトラ・ジャワ・バリ・チモール・小スンダ列島に分布する。原名亜種はインド中部・ヒマラヤから中国大陸のものをさし、タイプ産地は中国大陸広東。日本産は朝鮮半島のものと同じく ssp. nicconicolens Butler とされる。この亜種のタイプの産地は原記載では“日光”とされている。
<生態> 本州では通常年2回、成虫は5月中旬より姿をみせる。暖地の一部では年3回、南西諸島では4〜5回の発生と推定される。
低山地〜平地の樹木の多い地域に棲息し、山頂に飛来する傾向があり、海を渡るものもよくみかける。ツツジ類・トベラ・クサギ・ユリ類・ランタナ・ハマオモトなどの花で吸蜜し、夏は湿地でよく吸水する。
蛹越冬。蛹は食草の葉裏・枝、付近の樹木の枝、塀などでみつかり、シロオビアゲハなどと同じく蛹の色には2型あるが、越冬蛹は緑色のものより褐色のものが多い。
<食草> 本州・九州ではおもにカラスザンショウを食べ、キハダ・ミカン類でも幼虫がみつかる。九州南部ではハマセンダンにもつき、奄美諸島では栽培ミカン類がおもな食草である。カラタチ・サンショウを与えても飼育することができる。
<雌雄の区別> ♀の前翅表面亜外縁は淡黄色の弱い帯が走り、♂はこの部分に黒いビロード状の光沢がある。♀は♂よりも一般に大型で、地色は淡く、後翅外縁部の半月状赤斑は発達する。
<変異> 本州や九州北部のものは一般に春型よりも夏型が大きく、春型は夏型よりも後翅の半月状の赤斑が強く発達する。分布北限の地域や寒冷地のものは大型となる傾向が強い。南西諸島産は、それ以北の地域のものに比べて、前翅外半を走る黄白色の鱗粉の帯は幅広く、鮮明(ことに裏面でいちじるしい)で、後翅外縁の半月状斑も発達する傾向がみられる。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改訂新版4刷) 第6図版2 21頁。
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