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Plebejus argus
<分布> 北海道・本州・九州に分布する。北海道では山地〜平地に産地は多いが、普遍的ではなく局地的。本州では東北地方(青森・山形県ではまれ)、関東地方北部山地や中部地方に広く分布し、近畿地方では記録はあるが確実な産地はない。中国地方では山地草原に棲息する。九州では大分県下九重高原のみの分布する。国外では、ヨーロッパ・西アジアの寒冷地から中国大陸北部・旧満州・朝鮮半島・南千島など、ユーラシア大陸の北部に広く分布し、ヨーロッパ産が原名亜種で、タイプ産地はスウェーデン南部。日本産は ssp. micrargus Butler とされ、タイプ産地は日本。
<生態> 年1回。低地では6月中旬、寒冷地・高地では7月中旬〜8月上旬に姿を現す。北部ヨーロッパでは日本と同じ年1回発生であるが、中部ヨーロッパでは2回発生といわれる。成虫は陽当りのよい渓流ぞいの河川敷や草原に好んで棲息し、低く、ゆるやかに飛ぶ。タイツリオウギ・オカトラノオ・アザミ類・ヒメジョオンなど多くの花で吸蜜し、湿地で吸水する。越冬態は卵で、卵は食草の根元近くの枯葉や茎、小石などにうみつけられる。
<食草> 中部地方高地ではタイツリオウギ・イワオウギ・シロウマオウヒ・モメンズル・マルバハギなどのマメ科を好む。北海道ではオオヨモギ、中部地方低山地や中国山脈ではマアザミ(キク科)がおもな食草で、ほかにハバヤマボクチ・ヨモギ・タイアザミなどのキク科、イタドリ(タデ科)、オオバコ(オオバコ科)、チダケサシ(ユキノシタ科)、ツリガネニンジン(キキョウ科)、バッコヤナギ(ヤナギ科)などの報告がある。
<雌雄の区別> ♂の翅表は青藍色、♀は暗褐色、多くは後翅表亜外縁に赤橙色の斑紋列がある。♂の裏面の地色は青味を帯びた灰白色、♀は淡い暗褐色。
<変異> 北海道産は小型で、♂の翅表の地色は本州中部地方低地産などのものより淡色で、前翅外縁の黒帯は幅せまく、後翅外線は黒斑が並び、♂♀ともに裏面亜外縁の橙色斑列は色調が濃く、別亜種(ssp. pseudaegon Butler、タイプ産地は胆振)とされる。
東北地方北部産や中部地方山地産は斑紋などは北海道産と似るが大型で、産地によっては下記クロヘリ型と混飛していて区別できず、今日では亜種名よりも♂の後翅表の斑紋の特徴からクロテン型と呼ばれる。♀の後翅表亜外縁には赤橙色斑が現れる。
東北地方中部から九州にかけてのものは ssp. micrargus で、♂の翅表の黒帯は幅広く、後翅にまで広がり、裏面亜外縁の橙色斑は淡い。これはクロヘリ型と呼ばれる。
愛知・長野県下にはクロヘリ型の異型、1gのような♂の翅表の翅脈上に黒条が目だつ個体がみられる地域がある。これは便宜上、クロスジ型と呼んで区別することがある。
九州・中国地方産は翅形がやや横長の傾向がみられ、♂の翅表外縁の黒帯は内側でぼやけて境界が鮮明でなく、別亜種(ssp. hokiensis Kobayashi)とされることがあるが、今日ではクロヘリ型として取扱われている。
裏面の黒斑の形・大きさ・位置や♀の後翅表亜外縁の赤橙色斑は個体変異が著しい。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改訂新版4刷) 第59図版1 270頁
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