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Papilio memnon
<分布> 本州(中国地方各県、和歌山、兵庫、京都、大阪などの府県)・四国・九州より南西諸島へかけて分布する。山陰地方東部・大阪・京都などの採集記録は迷蝶と考えられるが、近年本種は分布を北へ広げる傾向が認められ、淡路島や和歌山県南部のものなどは土着が確認されている。八重山諸島ではきわめて少ない。
国外では、シッキム・ブータン・ネパール・インド北部・ニコバル・ビルマ・インドシナ・中国大陸・マレー半島からボルネオ・スマトラ・ジャワ・バリ・ニアス・スンバワ・フロレスにかけての広い地域に分布する。日本近隣では台湾に分布するが、朝鮮半島・フィリピンには記録がない。原名亜種はジャワ産をさし、タイプ産地はジャワ西部(スカブミ)。日本産は分布の北・東限にあたる。
<生態> 年3回、4月下旬より姿をみせる。九州南部では3〜5回の発生と推定され、沖縄以南の地域では1月にも成虫がみられる。
成虫は食草の関係もあって人家の周辺に多く棲息し、ゆるやかに飛び、ブッソウゲ・ランタナ・ツツジ類・ユリ類・ネムノキなどの花で吸蜜する。♂は地面で吸水することがある。九州以北では通常蛹越冬。 奄美大島などでは幼虫・蛹で越冬する。蛹は食草の枝、付近の塀や軒下でみられる。
<食草> 栽培ミカン類各種を好んで食草とする。ときにカラタチ・ヒラミレモン(シークワシャー)に幼虫がみられることがある。
<雌雄の区別> ♂の翅表は黒色で、後翅外半部に青藍色の鱗粉を弱く散布する。♀は地色が淡く、前翅中室の基部に赤褐色の紋があり、後翅に白斑がある。
<変異> 季節による差は本州・九州などのものは認めがたいが、奄美大島のものでは春型よりも夏型の大きいのが目だつ。♂の後翅表外半部の青藍色の鱗粉は一般に南下するほど多く散布される傾向がある。
ジャワの原名亜種や台湾などに産するものの♀には遺伝的に有尾型(1e)と無尾型の2型があり、無微型に対して有尾型は優性であるとされる。日本産は無尾型のみであったが、宮崎県下では1961年秋に初めて有尾型が採集されてから、以後数頭の採集記録があり、兵庫県や沖縄本島、西表島などでも採集されたといわれている。
♀の後翅の白斑は南下するほど発達する傾向が強く、沖縄、奄美諸島周辺のものをとくに屋久島以北の亜種(ssp. thunbergii von Siebold)と区別して別亜種(ssp. pryeri Rothschild)とすることがあるが、同じ地域のものでも変異があって両亜種を区別することが困難な場合も多い。
八重山諸島のものは♂の前翅表基部に♀のような赤褐色班が現れることが多く、♀は白化がいちじるしく、前翅の大部分が白化し後翅中室には白斑がでる。西表島のものはこの傾向がとくに歴然とするものが多い(1f)。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改定新版)(4刷) 第8図版1 27頁。
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