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Rapala arata
<分布> 北海道・本州・四国・九州。各地に普遍的に分布するが、いずれの地域でも個体数は多くない。
国外ではアムール・旧満州・鬱稜島・南千島に分布するが、朝鮮半島には記録がない。中国大陸の記録は疑問とされてきたが、Fig.29 の大英博物館所蔵の江西省九江産の標本は明らかに本種で、この標本をタイプとして夏型名 f. tyrianthinaButler が記載されている。したがって中国大陸における分布は確実である。
<生態> 年2回発生。第1化(春型)は4月下旬〜5月中旬、第2化(夏型)は6月下旬〜8月上旬に出現する。第2化は出現期間も短く、ことに平地では目撃する個体数は少ない。北海道などの寒冷地では通常年1回(春型のみ)で、特定地域やその年の春の気温によっては第2化(1d)の現れることがある。従来、本種は原則的に年1化で、一部が2化、とされていたが、長谷川順一(1975)はこれと逆に通常年2化、一部が年1化であったという観察結果を報告している。
本種の幼虫は葉を好まずおもに花・蕾を食べるので、過去の報告にみられる食草のなかには夏に花をつけるものが少なく、第2化の産卵植物や幼生期の生態などは依然不明の点が多い。成虫は樹林の周辺や伐採のあとなどに多く、春はレンゲ・ダイコン・アブラナ・ウツギなど、夏はクリ・シシウドなどの花で吸蜜する。蛹越冬。蛹は地上の落葉の間にみられる。
<食草> フジ・クズ・クサフジなど(マメ科)、ウツギ(ユキノシタ科)、ノイバラ(バラ科)、ナツハゼ(ツツジ科)、サワフタギ(ハイノキ科)、クロツバラ・クロウメモドキ(クロウメモドキ科)、クリ(ブナ科)、ミズキ(ミズキ科)、リョウブ(リョウブ科)、トチノキ(トチノキ科)、ミツバウツギ(ウツギ科)などが報告されている。
<雌雄の区別> ♂の翅表は♀より濃色で、後翅表第7室に半円形無光沢の性標がある。
<変異> 春型(1c)の裏面地色は白色で、茶褐色の帯があり、夏型(1d)は地色が褐色で、春型と同様に茶褐色の帯がある。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改定新版)(4刷) 第29図版1 116頁
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