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Apatura metis substituta
<分布> 北海道・本州・四国・九州。他の島嶼では隠岐島のみに記録がある。
国外ではヨーロッパ(中・東部)から中央アジア・中国大陸・ビルマ・旧満州・ウスリー・アムール・朝鮮半島にかけてユーラシア大陸北部に広く分布し、原名亜種はヨーロッパ産をさし、タイプ産地はハンガリー。日本産はssp. substituta Builerとされ、原記載では中国大陸北部(Nord China)と日本、と記されている。
本種は従来、A. ilia Denis & Schiffermullerとされていたが、最近ではこれとは別種とされている。
<生態> 通常年3〜4回。5月下旬から9月にかけて姿をみせる。北海道や高地・寒冷地では年1〜2回、7〜8月に出現する。
成虫は河川にそったヤナギ類の多く生える樹林、都会地ではヤナギ類の多く植えられた公園・社寺の境内などに棲息する。飛翔は敏速で、梢上を滑るように飛ぶ。クヌギ・コナラ・ヤナギ類などの樹液や湿地・汚物などにも飛来するが、訪花することは少ない。
越冬態は2〜5齢幼虫で、黒褐色に変色した幼虫は食草の小枝の分岐部や樹皮のさけ目などに静止して冬を越す。
<食草> 市街地ではシダレヤナギ・ウンリュウヤナギなどの栽培種が食草となる。そのほか、コゴメヤナギ・オノエヤナギ・バッコヤナギなど多くのヤナギ科を食べる。
<雌雄の区別> ♂の翅表は紫色に輝き、♀はこの紫色の幻色がない。
<変異> 北海道より本州中部地方へかけてのものは翅表の地色が濃く、黄橙色斑が小さく、鮮明で、南下するにしたがって地色は淡く、黄橙色斑は大きく、地色との境界は不明瞭となる。
本種には地色が茶褐色の普通型のはかに、メンデル式遺伝をする地色が黒褐色の黒色型(クロコムラサキ型)といわれる型(3b)があり、黒色型は普通型に対して劣性で、山地は局限される(栃木県日光付近より九州にかけての地域でみられるが、静岡・愛知県の一部と九州南部の一部を除いては採集されれる数はきわめて少ない。石川県能登半島北半部ではクロコムラサキ型のみがみられ、普通型はいないといわれている)。黒色型の翅表の白帯・白斑は九州産のほうが本州産のものより一般に発達し、大きい。両型の中間型がまれに採集されるが出現頻度はきわめて低い。
北海道産は裏面の地色が暗色で、白帯の明瞭な個体が多い。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改定新版)(4刷) 第56図版3. 258〜259頁。
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