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Papilio macilentus
<分布> 北海道・本州・四国・九州に分布する。北海道では渡島半島には普通。中部ではまれで、北部〜東部では記録のない地域が多い。本州の中部以北では山地・平地に産するが、暖地では山地性の傾向を示し、平地でみかけることはまれである。南西諸島や伊豆諸島・対馬などの島々には記録がない。
国外では中国大陸・朝鮮半島に分布し、日本産は分布の東限にあたり、原名亜種とされる。タイプ産地は中国大陸西部?で、近隣のサハリンや台湾には分布しない。
<生態> 年2回の発生。4月下旬より姿をみせる。年によっては9月中・下旬に第3回目の発生と思われる個体が採集されることがある。寒冷地では年1回発生。
成虫は暖地では平地よりも低山地の渓流ぞいや樹林の周辺に好んで生活し、陽当りの強いところよりもうす暗いところをゆるやかに飛ぶ。ヤマツツジ・クサギ・ヤアユリなどの花でよく吸蜜し、湿地に集まって吸水するものもみられる。
蛹越冬。蛹は食草の枝や付近の樹木、板塀、軒下などでみつかる。
<食草> ミカン科のコクサギがおもな食草。そのほかカラタチ・サンショウ・カラスザンショウも食べる。イヌザンショウでも幼虫がみつかっている。飼育する場合は各種ミカン類を与えても順調に成長する。
<雌雄の区別> ♀の翅表は♂よりも地色が淡く、翅脈が黒くみえる。♂の後翅表前縁部には黄白色の横帯があり、♀はこの横帯がない。
<変異> 春型に比べて夏型はかなり大型。♀は後翅亜外縁の赤斑が夏型において顕著に発達する。暖地の♀の赤斑列は発達し、まれにはこの赤斑列が二重になった見事なものが採集されている。
<近似種との区別> クロアゲハと似る。本種はクロアゲハより翅形が細長く、尾状突起は長く、その先端が内側へまがる。クロアゲハの尾状突起は本種のものより太短く、先端はまがらずまっすぐに下方へのびる。(Fig.7参照)。
ジャコウアゲハ(pl.3)♂と混同される場合があるが、本種に比べて後翅表前縁に黄白色の横帯がないこと、尾状突起の先端が内側へまがらないこと、裏面の地色が淡く亜外縁の赤斑列の色調が橙色を帯びることなどで区別は容易である。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改定新版)(4刷) 第7図版2. 26頁。
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