|
Parnassius glacialis
<分布> 北海道・本州・四国に分布する。北海道では西南部にその勢力が強い。本州では各地に分布するが関東・近畿地方の一部、四国では香川県に記録がない。
国外では中国大陸中部に分布し、朝鮮半島にも記録があるがFig.4にみられるように、ことに南部産 P. stubbendorfii は本種に酷似し、再検討を要する。日本産は原名亜種でタイプ産地は函館。
<生態> 年1回発生。暖地では4月下旬〜5月上旬、寒冷地では6月下旬〜7月中旬に姿をみせる。平地よりやや山間地に棲息することが多く、林縁の田畑や川原によく現れ、ネギ・ムラサキケマン・ニガイチゴ・スミレ類などの花で吸蜜する。卵越冬。
<食草> 本州ではケシ科の、ウラサキケマン。ヤマエンゴサクやジロボウエンゴサクも食べることがある。北海道ではエゾエンゴサク。
<雌雄の区別> ヒメウスバシロチョウと同じ。(♀の腹部には毛が少なく、交尾後の♀には受胎嚢がある。)
<変異> 一般には北海道南半部(渡島半島・十勝・日高・石狩地方南半)と本州太平洋側および四国の各地に分布しているものは黒色の鱗粉の発達が悪く、白色となる(3a,c,e,f)。このうち四国のものがもっとも白色(3f)である。本州日本海側に分布しているものは黒色の鱗粉が発達し(3b,d)、♀ではときに前後翅tも暗化することがある(3d)。
ただ、このような変異はあくまでも傾向として認められるもので、詳細に調べると同一産地のものでもいろいろと変異がある。このような暗化する傾向の強弱は、産地の冬期〜早春の降水量の多少と関係があり、降水量の多い地域ほど暗化する傾向が強いといわれる。
しかし、暗化の強弱は降水量だけに支配されるものではなく、遺伝的な原因によって左右されることは当然である。また、寒冷地のものは暖地のものより大型とされるが、個体変異の差が大きく、逆の場合もあり必ずしもそうとはいえない。
本種、前種(ヒメウスバシロチョウ)は奇形、翅脈異常の個体が多くみられ、同好会誌などにもよく報告されている。この原因は、他種に比べて翅脈がよく見えるので発見しやすいこと、蛹化場所が地面近くであるため脱皮のときに事故が起こりやすいこと、寒冷刺激が蛹の翅芽を傷つけやすいことなどが考えられるが詳しいことはわかっていない。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改定新版)(4刷) 第2図版3 6頁。
|