|
Argyronome ruslana Motschulsky
<分布> 北海道・本州・四国・九州に分布し、伊豆・小笠原・南西諸島には記録がない。一般に山地・寒冷地に多く、暖地には数が少ない。
国外では、アムール・旧満州・朝鮮半島などの東アジアに分布し、アムールまどのものが原名亜種になる。日本産は別亜種(ssp. lysippe Janson)とされ、タイプ産地は浅間山。
<生態> 年1回、暖地では6月中旬〜下旬、山地・寒冷地では7〜8月に姿をみせる。夏期には一時休眠し、秋にふたたび出現して産卵する。
成虫は陽当たりのよい草原や樹林周辺の草地に多く棲息し、活発に飛翔してオカトラノオ・アザミ類・ノリウツギ・ミヤマイボタなど多くの花で吸蜜し、♂は崖などの湧水池で吸水することもある。越冬態は卵。卵は食草付近の枯葉や小石などにうみつけられる。
<食草> スミレ科の各種スミレ類。ヒョウモンチョウ類の食草については野外での観察例が少なく、どの解説書にも「各種スミレ類:と記されているが、実際には各種ごとにかなり限られたスミレを食草としているものと推察され、今後の観察が望まれる。
<雌雄の区別> ♂の翅表地色は♀より赤味が強く、前翅表第1b、2脈上に黒色の発香鱗状がある。♀は一般に♂より大型で、翅形はまるく、前翅表翅頂付近に三角状の小白斑がある。♀の前翅裏面翅頂部と後翅外半は濃い紫褐色で、♂は淡い紫褐色。
<変異> 一般には暖地のものは大型で、山地・寒冷地のものは小型となる傾向が強い。
<近似種との区別> 前種ウラギンスジヒョウモンと混同されることが多いが、(1)翅形は本種のほうがはるかに前翅外縁部がとがって細長くみえ、前種ではまる味を帯びる、(2)翅表の地色、裏面の前翅端・後翅外半部の色は本種のほうが濃色、(3)後翅表基部寄りの黒斑列は本種では連続して線状、前種では点状、(4)前翅裏面中央部付近の黒斑列のあいだに白斑がない(前種では弱くても必ずある)などで区別できる。
保育社「原色日本蝶類図鑑」(全改訂新版4刷) 第44図版2 209頁
|