|
この犬はミニチュアダックス種のクリーム(薄茶色)の毛並み。体重5kgの超小型犬。公園のグランドでサッカーをしている人、人々がいるともう駄目。野球もそう。自分も加わろうとする。リード(引き綱)を引いて吠える。他の遊びに誘っても駄目である。
サッカーの子供達のボールがそれてこっちへ来る。「御免ね、この犬にちょっと遊ばせて」と断って私と犬がボール目がけて走る。サッカーボールは犬より大きいから歯が立たない。まるでサッカーのドリブルである。首を使ってボールを確保する。周囲から「上手いね」の声が上がる。野球ボールには歯を立てるので近づけない。
輪廻転生?私はふとこの犬のことを考えていた。サッカーや野球や、球技好きの少年の生まれ代わりではないかと。なにか無性に可愛げに思えてきた。私の息子の一人のように思えてきた。「お父さんがいろんなボールを買ってやろう」と言っていた。
まず最初はグランドを取り巻く遊歩道で見付けた硬球の野球ボールを与えた。散歩の時以外でボロボロに噛み破ってママに捨てられた。ママがダイソーで買った108円の笛の付いたボールも噛み破った。私がダイエーで買った100円の小さなサッカーボール似せたボールもちょっと遊んだが噛み破った。その時の様子を私は見ていた。
狩猟本能。そう、この犬の祖先は猟犬なのである。野を駆ける兎、空を翔ぶ鴨、これらを見付けて興奮し、追って、捉えて、噛んで、首を振ってトドメを刺すのだ。猟犬として充分に凶暴である。否、獰猛か。輪廻転生なんかではない。
ある雨の晴れた日、公園のグランドのベンチの下にサッカーボールが置き忘れてあった。「チャンスだ、お父さんとサッカーしよう」と二人で競技した。私も蹴った。(走らねばならぬ)この日の文明的な?サッカーはお父さんの勝ち。グランドからの帰り、この超小型犬は疲れてしまって歩かない。私の腕の中だった。ペロペロと私の顔を舐めてくる。
最後に、写真の派手派手(国旗の)ボール。ダイエーで980円だった。表皮は噛み破られているが、内側が頑丈みたいでまだ大丈夫である。散歩の時だけ持ち出す。しかし、公園のグラウンドでサッカーや野球の少年達がいるとこのボールでも遊ばない。「自分も仲間に入れろ」と全体重をかけて(お腹を地面に付けて)リードを引く、哭き叫ぶ。少年達に迷惑なのでグランドを強制退去ということになる。抵抗する姿や顔付きも又可愛い。最近パソコンの検索でワンちゃん用のボールを見付けた。ゴムの輪っかを重ねて丸くしたもので噛み破られることがない。次はあれにしようと思う。
(Sept.26,2014)
|

- >
- 芸術と人文
- >
- 文学
- >
- ノンフィクション、エッセイ




