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掌編時代小説

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お八重と忠吉

花よ蝶よと育てられた大店(たな)の一人娘。お八重はたまたま朋輩の家に泊まっていて、家にいなかった。

悲劇は残りの家族全員と奉公人に及んだ。丁稚の忠吉だけが重症で生き残った。金蔵は破られ店は全焼。

しかし悲劇はこれだけではなかった。店には仕入れの多額の買掛金がある。債権者達は過酷だった。土地だけでなくお八重の身も配当金の対象にした。お八重は身売り。忠吉は一旦在所に帰った。

年月が経ち、苦界に身を沈めるお八重にもう明日への望みなどなかった。ただの女郎になりきっていた。

ある日お八重に身請けの話しがあった。相手は何と忠吉だった。大人になった忠吉はただの男ではなかった。「敵を討つ」と言い出した。何と香具師の親分になっていた。

役に立つ人数を揃えなければならない。敵も探さなければならない。それでまともな奉公口でなく香具師の世界に入ったという。手下には若い男達が揃っていた。敵の目星も大方付いたという。

「お奉行所には?」
「私は全てを見ていたが何もできなかったことを悔いている。ご法はご法かも知れないが、何としてもお嬢さんに討たしたい」

あの悲劇の夜の賊の面々とその頭目も忠吉は掴んでいた。ある日「同時各個撃破」で復讐戦が始まった。(香具師の喧嘩の一流儀)頭目を殺(や)るのはお八重と忠吉。

見事敵討ちを果たした後のお八重と忠吉は夫婦で香具師稼業に余念がなかった。


                                               (Jan.26,2005)

 
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女人武芸百般

薙刀や小太刀が女性の武術の嗜みとされていた時代、武芸百般と呼ばれ女性がいた。高禄の家に育ち大きな健康な身体を持っていた。道場や馬場まで往来するので庶民もみんな知っていた。

実際相撲以外は何でもござれで身体を動かすのが大好きだった。少し遅れたが良縁を得て嫁いだ。子供も幾人か成した。

実は藩では困っていた。文武の奨励のため学問も武術も競わせるのだが、こと武術となると誰が藩内一かが怪しくなってくる。あの武芸百般に負けるのではないか・・・・。やはりやらせるか、否、止めておいた方がよいのでは、かんかんがくがく。

若い血気の腕自慢の侍の中には、「頼もう」と直接屋敷へ挑戦しに行く者まであった。剣術も槍術も柔術も・・・・。みんな捻られて帰って来た。

国許に帰った殿様が言った「弓なら苦しゅうない」。かくして男女混合弓術大会は盛会だった。殿様の照覧の結果はやはりあの武芸百般が藩内一。

しかし当時の侍の表芸の剣術と槍術ばかりは誰もがはっきりとさせたい。
藩内ではもう相手がいなくて、一人稽古をしているとか、何と屋敷の道場では夫が妻に師事しているとの噂まで広がっていた。

「江戸詰めにして道場破りでもやらせてみよ」殿様は自棄みたいに言った。
夫もそこは藩の重役である。「藩の名誉にかけてそれだけはなりませぬ、私めと子供が精進して妻の技を引き継ぎますゆえ」と申し上げた。

残念ながらこのようにしてスーパーウーマンの名は歴史に残らなかった。


                                                  (Jan.8,2005)

 
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尺玉三次

親分を殺(や)られた。さー出入り(殴りこみ)となるのだが、若者頭の三次は血を見るのも最小にしたかった。世間にもお上にも迷惑や手数をかけたくなかった。はっきり言うと喧嘩もしたくなかった。

実は殺られた親分にも非があった。自分が跡をついでも後々に遺恨を残したくなかった。しかしこの渡世の辛いところで、けじめだけは付けなければならない。親分の葬式を出しながら三次は作戦を立てた。

幼馴染の花火屋に相談した。
「強力な爆裂弾を作ってやろう」と義に篤い友人は勇んで言った。
「嫌々、丁度いいくらいの花火を選んでくれ」と三次は頼んだ。
花火屋は三次の用途を理解して花火を一個渡してくれた。

相手の一家はずーっと殴り込みに備えていた。喧嘩支度の長ドスと竹槍。三次は玄関の前で喧嘩の口上を終えると花火に火を付けて投げ込んだ。

哀れ、相手の一家は炸裂した花火で俄(にわ)かめくらにつんぼの、焼き鳥みたいになった。三次はまだぼけーっとしている親分にすたすた近づき「これはけじめだ」と長ドスで親分の小指を詰めた。そして手拭を千切って血止めをしてやり小指を持って帰った。小指は自分の親分の墓前に据えた後で埋めた。

仲介を頼んで手打ちとなり。新しい親分の三次と小指を詰められた親分は盃を交わした。
それからの三次の二つ名は「尺玉」になった。

みんな素人だから三次の使った花火が本当に一尺玉だったかは知らない。話しは大きくなるばかりだったが、三次はもうそのことは話さなかった。


                                               (Jan.26,2005)

 
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私刑

「旦那、それは料簡違いだ!
お気持ちは重々分かりますが、お上のなさる仕事ですぜ」
長吉は商用で店を空けている間に一族を皆殺しにされた。両親も妻も子供も奉公人も・・・・

馴染みの博打の遊び客がいい歳こいて三下でもいいから盃をくれと言う。賊はあいつ等だとの気がするとも言う。道中で偶然にひそひそ話しが聞こえたとのこと。

「旦那は剣術が趣味だったから腕に覚えがおありでしょうが、この渡世には嫌なことも色々とありますんで、無理でしょう」

そんなこんながありながら盃をもらい三年が過ぎた。
「もう一端の博打打ちだ、旅に出なせー」と親分は送ってくれた。

所々の博徒の一家のお世話になりながら探索に精を出した。賊の一人を捕まえると徹底的に吐かせて私刑。殺(や)るには惨殺された一族の恨みを精一杯込めた。かっての家長としての長吉の一太刀一突きは一族の一人一人の魂の救済だった。

賊は七名で、その後解散したらしい。しかし二人で組んでる奴もいた。半殺しにして一人づつ吐かせて凄惨な私刑。

このようにして、又三年程後に仇討ちを終えて帰って来たとき、
「これからどうなさるね」と親分。
「盃を返させていただければ有り難いが」と長吉。
「それでこれから何を」
「行商からでもいいから店を再興したい」
「本当に見上げたお方だ。しかし私はあんたに代を譲ろうと考えている。あんたの性根がこの稼業で一番大事なところだ」

長吉は仇討ちの旅で博徒の世界に顔が広くなった。出入り(喧嘩)や盆(博打)にも磨きがかかった。賊の七名を凄惨な私刑にした。もう元のお店(たな)の旦那ではない。親分が前に言った嫌なことを実践してきた訳である。

そういうことで、商売にえらく明るい親分ができた。


                                               (Jan.28,2005)

 
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若殿

二十歳になろうという若君が嗣子(後継ぎ)と決まって慌てたのは傳役(爺)の三太夫。どうせ上手く行って何処か小藩へ養子にでもと思っていた。西国の大藩の藩主が勤まるかどうかは育て親の自分の責任。
「気立てのいい美丈夫だが、ひとつだけ腰が軽いという難がある」

あれやこれやで譜代の藩の姫を娶り子供ももうけて藩主となった。幕府や大名同士の付き合いもそつなくこなしている「若殿」だった。しかし代々江戸詰めの三太夫は国許には付いて行けない。

若殿は参勤交代の道中も直ぐ駕籠を降りて歩きたがる、見たがる、聞きたがる。本陣では話しも面白いし聞き上手で主人を始め皆が若殿に付きっ切り。

さてお国入りだが大貫禄の筆頭家老以下の重臣達が恭しく迎える。
若殿は江戸言葉で「何でも気軽に宜しく頼む」だけ。
さて城下では、若殿は活き活きとしてまるで江戸にいる気になっているよう。

郡方となると代官所や庄屋の家へ泊まる。もう相手が睡眠不足になるくらい江戸の調子が出てしまう。
「美しい娘子よのう、江戸でも見たことがないくらい」がいけなかった。

確かに美形の庄屋の娘だが本人は終始耳まで赤くして、ぽー。
郡奉行と庄屋の深夜会議がもたれて娘は夜伽に・・・・。
「一人娘というではないか、決まった相手もおろう」と諭されたのは庄屋。
「近々又来るから祝言は早く挙げておけよ、でないと掻っ攫うぞ」

普請方では現場の人足の中へ入って行ってもっこの片方を担いでみる。
「これではきつかろう、皆酒と博打は程々にして、良く食って寝ろよ」
「何であそこまで」と普請奉行が若殿の腰の軽さを諌めた。
一言「皆痩せておる」(若殿は江戸でそんな連中も十分見てきた)

さて国許を一巡した後の重臣会議。筆頭家老が口火を切った「若殿の言動に軽率の難これあり」
この藩は諫言をもって臣道としているから手厳しいし実に細かい。まるでCIAかKGB。

しかし「拙者の一存であの庄屋の娘はお城に上げ申した」と郡奉行。本人が望み破談となり、庄屋は養子夫婦を入れたとのこと。

普請奉行は「若殿には大きな仁に富まれた言がおありである。動に腰の軽いところがあるのは我々臣下のせいでもあると存じる。今日を限りに国許では若殿との呼び方は止めようではありますまいか」

このようにして若殿はやっと殿様と呼ばれるようになった。それを便りに聞いた江戸の三太夫はほっと肩を落とした。


                                                (Feb.7,2005)

 
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