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先に切り出したのはジョーカーだった。 単刀直入なストレートで 「オマエはオレと続けたいのか?」 言葉と同様にジョーカーは単刀直入な真っすぐな目をボクに投げ入れていた。 ボクの答えは「yes」だ。 昨晩、ひとり真っ暗な部屋の中で独りになることについて考えていて、 ボクがボクの陰気な人たちを描くロックを続けるためには、 ジョーカーの簡潔端的な世界の捉え方と、感情を排して弾かれるベースが生み出す ハートに届く暖かいビートが必要だという結論に達していたからだ。 しかし、なぜか素直に「yes」と言えずに自分の感情や考えをこねくり回してしまうという ボクの面倒臭い特性が簡潔にまとまる話をいつもややこしくしてしまう。 「オマエはこれまでやってきた、ボクの陰気な人たちを描くようなロックをどう思ってる?」 今、思い返せばなんて抽象的でレンジの狭いテーマにこだわっていたのだろうと思う。 だけどあの頃、子供のとき拾ってきた猫に付ける名前を考えているときくらい真剣に その抽象的なテーマがボクの頭の中を支配していた。 頭上から吹き出している空調の風がいつもより固く立てている髪を撫でるのが煩わしかった。
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