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警視庁は1日、医師の資格がないのに医療行為をしていたとして、東京都墨田区押上3丁目の「権田鍼灸・接骨院」経営、権田敏男容疑者(46)=同区東向島3丁目=ら2人を医師法違反(無資格医業など)の疑いで逮捕した。権田容疑者は、あんまマッサージ師・はり師・きゅう師の免許を持っていたが、「毒を抜く」などと称して患者の血を抜く医療行為を続けていたという。
調べでは、権田容疑者らは医師でないのに03年6月〜05年2月、患者として訪れた同区の主婦(32)ら8人に超音波検査などを行い、血を抜くなどの治療行為を約25回繰り返した疑い。権田容疑者は、この主婦に「心不全」などとうその診断をしていたという。接骨院には「権田治療院」と看板を掲げ、1日に50〜120人の患者が訪れていたといい、90年の開院以降、年間約8000万円を売り上げていたという。
(朝日新聞、2006年2月1日)
医療類似行為に分類される「あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師」は、高校卒業後3年間の専門学校での教育を受け、国家試験に合格すると取得出来る国家資格(厚生労働大臣免許)である。はり師きゅう師は、4年制大学で鍼灸学士や、その後、修士、博士の学位も取得出来る。しかし、東洋医学である鍼灸を学んでも、西洋医学ではないので、エコー(超音波検査)の取り扱いや診断などの教育は受けていない筈である。また、医師ではないので「心不全」などと病名を付ける行為、つまり診断行為は出来ない(許されない)事になっている。
東洋医学では、かつては瀉血という「血を抜く」治療法もあった。吸いだま療法(カッピング)という、ガラス等の容器に火のついた綿花をいれて内部を真空にして体の表面に吸い付かせる療法と組み合わせて施術されていた時代もあったようだが、近年では、瀉血という行為は身体表面の皮膚を切ることから「手術」と見なされ、西洋医学の医師でない鍼灸師は、これを行うことを禁じられている。そして鍼灸の学校でも関係医事法規の授業などで教えられている筈である。
従って、違法行為と知りながら故意に診断行為や瀉血などの医療行為をした疑いが強い。医師になる能力もなく、あんまマッサージ師・はり師・きゅう師の免許を持っているだけの身でありながら、医師のふりをして医療行為をして恥ずかしくないのだろうか。信じて通院している患者に申し訳ないと思わないのだろうか。金さえ儲かればそれで良いと思っていたのであろうか。
厚生労働省など関係省庁や政府は、一般国民に「あんまマッサージ指圧師・はり師・きゅう師」や「柔道整復師」などは医療類似行為者であり医師ではないこと、「鍼灸院」や「接骨院・整骨院」が医院・病院ではないことを明確に指導すると同時に、そこで許されている業務の内容などを周知徹底するべきであろう。国民の健康を守り、違法行為を防ぐために。
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