|
ノーベル賞受賞者で、米国の心臓病学の第一人者バーナード・ラウン博士は、”The Lost Art of Healing”という本の中で次のように述べていると、永井明先生の著書で紹介されています。
無限の可能性があるように思われている科学も、人間を対象にしたときは必ず限界がある。
いかに医学的知識が深まっても、未知の部分は残る。
患者さんは現代医学にあまり大きな期待をもつべきでない。
そして東京医科大学卒の医師・永井明先生ご自身は次のように述べています。
医者は全能幻想を振りまき、患者はその言葉に幻惑されているように見える。
限界を自覚し、医療行為の根幹である医者と患者の相互信頼関係を築くという部分に立ち戻る時期にきている。
(永井明:医者のぼくが「医療常識」を信じない理由:April 17,2003、第3刷、講談社 )
ノーベル賞受賞者の医学博士が著書の中で「現代医学にあまり大きな期待をもつべきでない」と述べているとは、衝撃的なことです。
どんなに科学は発達しようとも、如何に医学が進歩しようとも、人間という生命体を対象とした時には、必ず限界があり、未解決の部分が残るのだと言うのですから・・・。
しかし、それは医学を否定しているわけではありません。
「現代医学にあまり大きな期待をもつべきでない」という言葉の真意は、「現代医学が発展しERなどの救命救急処置などが飛躍的に改善し、これまで救えなかった患者が一命を取り留める事も可能になった。だが、そういった事は一部であり、医療の世界ではまだまだ不治の病や原因不明の病気が沢山残っており、治療法が確立されていない病気も少なくない。病気にならない事、予防こそが大切であり、病気になっても医学が治してくれると安易に思わない方が賢明である」ということではないかと思います。
東京医科大学卒の医師・永井明先生は、「医者は全能幻想を振りまき、患者はその言葉に幻惑されているように見える」と述べておられますが、これは医師だけでなく、製薬会社による医薬品の宣伝、テレビ番組での健康関連情報などにも同じ事が言えるのではないでしょうか。
インフルエンザなどの極一部の危険性をことさら強調して一般市民を恐怖に落とし入れ、世論を洗脳・誘導して薬に頼る患者を作ろうとしているように見えます。
「限界を自覚し、医療行為の根幹である医者と患者の相互信頼関係を築くという部分に立ち戻る時期にきている」と述べられているように、診断の限界、治療の限界、といった医学的な限界を正しく認識し、患者と情報や知識を共有しながら、目指すゴールを設定し、安全性・副作用・有効性・予後といったことを患者が納得したうえで医療行為が行われることが必要ということではないでしょうか。
予め真実を話し、医療の限界を話しておけば、患者の医師に対する信頼は増すでしょうし、万が一、望まない結果が起こっても患者の怒りはない筈です。
「患者は黙って医師の指示通りにしておればよい」という時代ではないのです。
しかし、医師は、特に勤務医は忙しいので、ゆっくり患者と話をする機会を持つことが困難な状況です。
これは、医師、病院、厚生労働省などがそれぞれに自覚して、現行の歪んだ医療体系を改革していかなければなりません。
限界と現状を認識することが第一歩でしょう。
患者である一般市民も同様に、医学にも限界があることを認識し、テレビなどの報道に惑わされないようにし、予防に努めるとよいでしょう。
|