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セルフ漢方薬 メタボ、冷え性…対象者ズバリ表記
「むくみがあり、太りぎみの方に」。なぬ!? 私のことでは…。ドラッグストアに並ぶ薬のパッケージが直球 で目に飛び込んできた。
これは漢方薬。
正式名称を「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」というそうだが、それだけじゃ何にいいんだか素人にはサッパリ…。
と いうことで、対象者や効果をズバリ表記した「分かりやすい漢方薬」が続々商品化されている。
従来、漢方薬といえば専門薬局でじっくりカウンセリングを受け て購入、服用するものだったが、ここ数年でドラッグストアを中心にセルフ販売が急拡大。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、ストレス、不眠、高血圧…。悩める現代人の手がパッケージに伸びる。
「メタボや冷え性、更年期障害など漢方が得意な分野は、病院にいくほどではないが…という『未病』です。しかし、そんな調子の悪さに対処する漢方薬があることを知らない方はまだまだ多い。そこで、対象者を表記したシリーズを発売したんです」とは、カネボウ製薬(7月から「クラシエ製薬」に社名変更)ヘルスケア事業部の林宏之課長。
昨年10月に「漢方セラピー」(全42種)を発売。パッケージは、従来の漢方薬名の筆文字から大変身して、「尿が出にくい方の排尿痛・残尿感に」「高血圧による、耳鳴り、肩こりの方に」「ストレスなどでイライラする不眠症の方に」といった“具体的呼びかけ”がズラリ。
容量、価格とも従来品より控えめにして試しやすくなった。3〜12日分入りで1000円台が主力。取扱店も発売当初500店舗だったが、今は10倍の5000店に広がり、店頭に置く冊子「漢方薬はじめてブック」も増刷を重ねて30万部の“ベストセラー”に。
一方、ロート製薬が昨年11月に発売した「和漢箋(せん)」シリーズ(7種)もお菓子のようなパッケージに「乾燥肌のかゆみに効く」「憂うつや不安感を改善する」「溜(た)まった脂肪を落とす」と、効果を明快にうたっている。1週間分が1418〜1995円。売り上げは、発売から5カ月で予定の2倍の12億円を達成する好調さで、5月には新商品を追加した。
東京都目黒区のトモズエクスプレス洗足駅前店ではこの4月から、分かりやすい漢方薬をレジ横でコーナー展開。「これだけ商品が増えてきたので、売り場をきっちりつくりたい。『胴周り85センチ』という言葉が不安をあおっていますが、中年男性がメタボリック対策で買っていったり、若い女性がサプリメント感覚で肌荒れに効く漢方薬を買っていったりします。医薬品なので堂々と効能が書ける点が強みでしょうね」と近藤利明店長。
マーケティングリサーチ会社のインテージによると、セルフの漢方薬市場は平成17年度309億円だったが、18年度は394億円と1年間で3割近くも急成長しているという。
一方、都市部の百貨店を中心に15店のカウンセリング薬局「漢方ブティック」を展開する薬日本堂は「昨年の売り上げは前年比127%でセルフ拡大の影響は ない。うちは1時間かけて、お客さまの体質を見極めたうえでご購入いただいていますが、時間のない方にはドラッグストアという選択肢もあっていい。すそ野 が広がる点では歓迎。使い分けるお客さんも増えてくるのでは」と広報の西村逸美さん。
漢方薬は自然界にある植物や動物、鉱物などの生薬を組み合わせたもの。これがロハスや自然志向の時流に乗り、同社が毎月開催するワンデーセミナーには、毎回約700人が詰めかける。
漢方薬大手のツムラは「医療用の漢方薬もここ4、5年、毎年7%ほど伸びている。病院でも西洋医療と、漢方薬の併用で効果をあげようという考えが広がった」と指摘する。
だが自然派とはいえ薬は薬。
体質によっては薬が毒になるケースもある。
いくら気軽になったといっても、その点はお忘れなく。
(産経新聞、2007年06月12日)
漢方薬というのは、湯液とも云われ、中国医学(中医学、日本では東洋医学とも云う)では鍼灸と並んで治療の中心となっている。
そして、漢方薬というのは、患者を中医師(中国医学の医師)が、望問聞切という四診法を用いて、患者の体質、病気の原因、病気の進行状況(病態)、気・津・血などのバランスなどを診察し、「証」と呼ばれる診断を下し、その証に対して出されるべきものである。
それなしに、症状に対して漢方薬を処方するのは間違っている。
症状に対して薬を出すのは、西洋医学の考え方であり、中医学のそれではない。
従って、その方法では、正しい処方にはなり得ないと考えられる。
また、漢方薬というのは、自然界にある植物、動物、鉱物などの全部、または一部(例えば、鹿の角だけ、或いは、サソリ一匹全部など)を、定められた処方に応じてそのままの形で数種類を組み合わせ、それを水から煎じて(煮詰めて)、その液体(スープ)を飲むのが本来の姿である。
それが、顆粒状、カプセル状、糖衣錠などの形になっている物は、漢方薬ではない。
それは、厳密には「漢方製剤」という。
そして、それは漢方薬の有効成分を抽出して製造されている、と言われている。
だが、漢方薬には、一見無意味な成分なども含有しているが、それが実は他の成分の働きを補助したり、副作用を軽減させる働きをしていたりする場合がある。
従って、有効成分を抽出した「漢方製剤」と、本来の「漢方薬」とは似て否なるものであると考えられる。
これらの状況を冷静に熟考すると・・・
漢方製剤をセルフ処方して・・・
それが正しい漢方の在り方である筈もなく・・・
それが効果的で安全であるとは思い難い。
有効成分を抽出して濃縮してあるだけに、自分の「証」に合わない漢方製剤を服用することは・・・
副作用のリスクも心配される。
まぁ、西洋医学の薬に過剰に依存するよりは「マシ」とは言えるかも知れないが・・・
あまり感心できないブームである。
やるなら、正しい方法が良い。
便利=良い、手軽=正しい、ブーム=安心、などという保証は全くない。
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