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統合失調症で精神科臨床薬学研究会 多剤大量処方と患者症状の関連性分析へ 単剤化、処方の低用量化へのエビデンス構築
精神医療に携わる薬剤師で組織する「精神科臨床薬学研究会」は、統合失調症患者への多剤併用、大量処方の解消に向けた活動を強化する。
精神科領域で依然 として残っている日本独特の薬物療法が、実際の患者の精神症状、自覚症状にどのような影響を与えているかを本格的に調べる。
薬剤師だけでなく、精神科医や 患者から薬物療法に対する評価を組み込んだ実態調査を今秋にも実施。
多剤と単剤や、投与量の違い、さまざまな薬剤の組み合わせと、症状改善効果の比較デー タなどを分析し、多剤大量処方を解消するためのエビデンスとして整理する。
統合失調症の発症率は100人に1人といわれており、国内患者数は70万人程度。
治療の中心となる薬物療法には、クロルプロマジンやハロペリ ドールなどが長らく使用されてきた。1996年以降、リスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ペロスピロン、アリピプラゾールの第二世代、第三世代と いわれる新薬が相次いで登場する。
第一世代の薬剤は、歩行や手足の動きが遅くなったりする錐体外路症状が問題だったが、新世代の薬剤はこうした副作用が少なく、一般的に単剤使用での効果が 高いといわれている。
一方、日本の精神医療では、新薬を含めて恒常的に複数薬剤を服用しており、1日平均投与量も諸外国の水準を上回る「多剤併用」「大量 処方」が根強く、社会復帰を遅らせる要因として批判も高まっている。
精神科臨床薬学研究会は2005年8月に発足。精神科領域の薬剤師の専門性向上や患者の社会復帰、社会参加に貢献することを目的に活動をスタートさせた。
精神科領域の薬物療法などのノウハウを学ぶ講習事業と、臨床現場での処方実態などを把握するための調査事業を柱としており、会員数も当初の700人から1100人まで増えている。
〇 多剤大量処方による精神症状、自覚症状など分析
調査事業では05年、06年と「統合失調症患者の薬物療法における処方実態調査」を実施。この調査結果から多剤併用、大量処方の実態が依然として 確認されたことを受け、これから行う新たな調査では、こうした処方が実際の患者の精神症状、自覚症状に与えている影響に踏み込んで分析する。
調査客体には、新たに精神科医や患者を含めることにしており、それぞれの立場から薬物療法を評価してもらうことで、収集データの客観性を高める。
具体的には、第一世代-第三世代までの幅広い薬剤について、単剤や併用時のさまざまな組み合わせや投与量ごとに、薬剤の効果や症状の改善度などを:
<1> 簡易精神症状評価尺度(BPRS)
<2>陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)
<3>患者の自覚的薬物体験(DAI)
-を用いて分析する。
これにより多剤併用、大量処方のパターンと、患者症状との関係を明らかにし、薬物療法の単剤化、処方の低用量化を促すためのデータとして活用してもらう考えだ。
対象とする施設数、患者数も広げる計画で、1万人を超える統合失調症患者のデータを対象とする見通し。
(Japan Medicine、2007年6月20日)
精神医療に携わる薬剤師で組織する「精神科臨床薬学研究会」は、統合失調症患者への多剤併用、大量処方の解消に向けた活動を強化するという事だ。
精神科医の医師ではなく、薬剤師の組織が中心となって、多剤大量処方と患者症状の関連性を分析し、単剤化、処方の低用量化へのエビデンスを構築しようと考えているのが興味深い。
これでは、旧態然とした診察や投薬を漫然と継続している精神科医の団体や学会は、その怠慢を露呈した格好である。
薬漬け医療の実態を調査し、問題点を洗い出して、より良い医療の在り方を追求して頂きたい。
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