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修士および博士課程に進む看護師の数が十分ではない可能性あり
修士および博士課程に進む看護師の数は、大学教育および高度先進医療に携わる看護師の需要を満たすには不十分と、研究は示唆
米国における修士および博士課程に進む看護師の数は、大学教育および高度先進医療に携わる看護師の需要を満たすには不十分であるという研究結果が、『American Journal of Nursing』5月号で報告された。
「現在の看護師不足に対し、看護学校側は公認の看護学教員が不足していることをプログラム拡大の障害として挙げている」と、ノースカロライナ看護センター(ローリー)のJames William Bevill, Jr, MSN, RNらは論文で述べている。「我々は、看護師の初任時の学位レベルおよびその他の個人的特性と、その後の上級看護教育のタイミングおよび実現との間に、どのような相関パターンがみられるかを明らかにすることを目指した」。
研究者らは、ノースカロライナ州の免許更新過程を通じて収集したデータの経時解析を用いて、初任時に種々の学位を有した新卒の登録看護師(RN)の教育に関する流動性(educational mobility)を研究した。
研究対象集団には、1984年に免許を取得した新卒者3,384名からなるコホート(10年後の時点では2,850名が現役で、引き続き本研究に参加、20年後の時点では2,418名が現役で、引き続き本研究に参加)、および1994年に免許を取得した新卒者5,341名からなる別のコホート(10年後の時点で4,211名が現役で、引き続き本研究に参加)が含まれた。
ノースカロライナ州と他州との比較を容易にするために、2004年に免許を取得した新卒者5,400名からなる第3のコホートの人口統計学的データも研究対象に含め、全米看護連盟が収集した看護教育研究に関するデータと併せて検討した。
20年後には1983-1984年のコホートメンバー2,418名のうち26%、および10年後には1993-1994年のコホートメンバー4,211名のうち17%が、上級学位を目指していた。すなわち、看護学の上級学位を目指したのは各コホートの19%および12%にすぎなかった。いずれのコホートにおいても、看護学の修士号または何らかの分野の博士号を取得したすべての看護師の80%以上が、看護師として働き始めた時点で学士号をもっていた。
上級学位を目指すことの予測因子は、看護師として働き始めた年齢が若いこと、男性であること、および人種的または民族的マイノリティに属することであった。
「我々の知見に基づいて、特に男性の、または人種的もしくは民族的マイノリティに属する、看護学の学士号をもつ卒業生の数を増やすことが、潜在的な看護学教員のプールの拡大に最も迅速な影響を与えるだろうと、我々は提言する」と、著者らは述べている。
研究の限界には、修士または博士レベルまで教育を受けるであろう将来の新卒者の割合を予測できないこと、分析対象が研究期間を通して州内でRNの免許を保持していたノースカロライナ州の新卒看護師からなる2つのコホートに限定されていること、配偶関係や子供の有無など、おそらく人口統計学的因子よりも直接的に教育に関する決断を方向づけるであろう多くの変数に関するデータが不足していること、およびノースカロライナ州以外の地域への一般化が可能でないことが含まれる。
「高等教育の価値への理解と、それを目指すことへの期待を、すべての看護師に浸透させることが重要であろう」と、著者らは結論づけている。しかし初歩レベルの準学士号から修士号または博士号へと進む通常の過程には、時間も経費もかかる。我々は、修士号および博士号をもつ看護師の集団を増やす一番の早道は、より多くの看護師に学士レベルで仕事を始めるよう勧めることだと考えている。この道筋によって、より早くより確実に上に進めることが明らかになっている」。
著者らは、関連のある金銭的関係はないと報告している。
(American Journal of Nursing.2007;107(5):60-70.)
アメリカにおいては、看護師や理学療法士といった医師以外の医療従事者でも修士号や博士号という高いレベルの教育を受けている者がいる。
カリフォルニア州では、最近「理学療法学博士の学位をもつPT,PhDが、自らをドクターと名乗ることを認める」という州法を可決した。
それまでは、大学などの教育現場や研究の場における博士号(PhD)所持者がドクターと呼ばれることと、医療現場における第一次医療提供者たる医師(西洋医学医師:MD、オステオパシー医師:DO、カイロプラクティック医師:DC)のドクターの混乱を避ける意味で、博士号を持つ医療従事者でも医師でなければ「ドクター」と呼ばれなかった。
だが、さすがに世界の医学をリードするアメリカである。
医療従事者の教育制度、教育レベル、学位および免許制度が、日本とは比較にならない位に高いし良く整備されている。
今回の報告では、米国において「修士および博士課程に進む看護師の数が十分ではない可能性あり」となっているが、「看護学修士」や「看護学博士」を取得することは殆ど不可能に近い日本と比べれば、可能性は開かれている。
アメリカは、やる気のある者には勉強する機会が得られ易いようにしている国だ。
日本も、是非そうあって欲しい。
ただ、この報告で「上級学位を目指すことの予測因子は、看護師として働き始めた年齢が若いこと、男性であること、および人種的または民族的マイノリティに属することであった。」となっているが、若い方が勉強し易いことは事実だし、差別は常に存在しているので白人以外の人種的または民族的マイノリティが(日本人・日系人含む)、社会的・経済的に上を目指すには高い学位(教育)が最も確実な方法であることもまた事実である。
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