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中学生の遺書
「お母さん/お父さん/こんなだめ息子でごめん/今までありがとう。いじめられて、もういきていけない」―自殺した福岡県の町立中学二年の男子の遺書である。これを読んだ両親の気持ちを想像すると、胸が痛んでならない▲男子は自殺したその日、学校のトイレで「自分は死ぬ」と複数の生徒に向かって言った。すると「本気なら下腹部を見せろ」とズボンを無理に下ろされたという。自殺の意思を示すことでいじめへの反省を期待したのに、裏切られたのではなかろうか▲「みんなで渡れば怖くない」が、日本流いじめのようだ。それはまた、みんながすることに異議は唱えにくいことを意味する。その方が矛先は自分に向かってこない。被害者一人が泣き寝入りしてくれれば、何事もなかった、で済んでしまう▲明確な遺書があったのに、小六女児の自殺を「いじめ」と認めなかった北海道滝川市教委の態度にも、こうした事なかれ主義が見えてくる▲福岡の場合、いじめを誘発するような言動が中一の時の担任にあった、とのいきさつも浮かんできた。真相を明らかにしてほしい。ただ、実際にいじめに加わったり、見て見ぬふりをした生徒一人一人の責任の重さも考えたい。他人の痛みを想像できる感性や、個人の倫理観はしっかり教えられているのか▲「だめ息子でごめん」という言葉が切ない。きみは「だめ」じゃない、優しいんだ。みんないいところを持っているんだ―。
'06/10/16 中国新聞
http://www.chugoku-np.co.jp/Tenpu/Te200610160093.html
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