ある老人のレミニッセンス 外国事情・美味礼賛

長い人生いろいろありました。 一老人の回顧と折にふれての感想です。

全体表示

[ リスト ]

帽子の変遷

帽子の変遷

イメージ 1

20数年以上しまったままの中折帽、全く新品同様です。

私がよく伺うumabさんのブログで、先日面白い記事を拝見しました。ご了解を得て、一部引用させていただきながら、今回の記事を書きます。

タイトルは「大人の男の証」、奥様とホームセンターに買い物に行き、そこで藺草(いぐさ)で編んだ帽子を198円で買ってこられたという話から、
(以下引用)「実は,この形の帽子がほしくてしようがなかったのだ。わたしが子どもの頃,大人の男たちは,皆,帽子をかぶっていた。少なくともわたしの周囲の大人の男たちは,生地は様々だったが,写真のような形の(と言っても,ツバはこの写真のものよりやや狭かったと思うが)の帽子を愛用していた。夏でも,冬でも。もちろん,春でも秋でもだ。」
という話につながります。
この記事のURL: http://blogs.yahoo.co.jp/hiroshi_umab/10038403.html

この記事を読んで一寸懐かしく、昔の帽子のあれこれを思い出しました。今でも帽子を愛用する人はたくさんいると思いますが、その形や種類は随分変遷がありました。

記事に出てくる帽子は所謂中折帽というタイプで、大正・昭和時代にはこの形の帽子が全盛でした。一般にはソフトと呼ばれていた帽子です。

umabさんは私より一回り半もお若いですから、お父様の帽子の記憶も戦後のことだと思いますが、戦後も私が30になるあたりまでは、私もその一人でしたが、かなりの人がこの中折れ帽をかぶっていました。

私の帽子にまつわる記憶も、戦前あるいは戦後間もなくの、未だ明治・大正生まれの人達が社会の中心だった時代の帽子ということになります。

戦後アメリカ映画の全盛時代、ギャング映画なんか、登場人物全員この帽子をかぶっているような感がありました。有名なシカゴのギャングを題材にした「アンタッチャブル」なんか、主人公のエリオットネスはもとよりギャング連中もこの中折れ帽をご愛用でしたね。

イメージ 2
戦前は、中折れ帽の他に、夏には麦藁(ムギワラ)で作ったカンカン帽(straw boater hat)が大流行しました。


中にはチヂミのシャツにステテコなんて珍妙な格好に帽子だけはこのカンカン帽をかぶって往来を闊歩するなんて勇ましいおじさんがいくらもいました。ビングクロスビーやフレッドアステアなんかがこの帽子をかぶって、ミュージカル映画なんかによく登場したもんです。連中がかぶると小粋に見えるんですが、香具師なんかがチジミのシャツにステテコでかぶってもそれなりに納まる、不思議な帽子です。

イメージ 3
同じく夏になると幅を利かせたのが所謂麦藁帽子、以前は海水浴というとこの麦藁帽子の出番でした。今海岸でこんな帽子は余り見かけないんじゃないでしょうか。


イメージ 4
夏の帽子でもう一つ、パナマ帽と言うのがありました。しなやかなパナマ草という植物繊維で編まれた帽子です。高級品でかなり高価なものでした。今でも製造販売されているようですが、かぶっている人はすっかり見かけなくなりましたね。


今ではすっかり見かけませんが、山高帽にシルクハットなんてものもかなりな頻度で見かけたものです。シルクハットは普通ではあまり見ることはありませんでしたが、山高帽の方は良く見かけたもんです。私が子供の頃は、紋付、羽織袴の和服の正装で、山高帽に靴を履くなんて今では想像もつかないようないでたちの人が実際にいましたね。その頃はそれはそれで可笑しくもなんともなかったんです。
イメージ 5イメージ 6

左がシルクハット、右が山高帽

山高帽はイギリスの名宰相 ウインストン・チャーチル、喜劇俳優のチャーリー・チャップリン、小説の登場人物ですが、アガサ・クリスティのエルキュール・ポアロなんかが愛用した帽子ですが、日本では今やピンキーとキラーズの専売特許に成り下がっていますね。シルクハットはウサギが出てくる手品専用の帽子みたいなもんです。

今ではすっかり廃れて殆ど見なくなりましたが、学生帽というジャンルの帽子がありました。小・中学生は正面に大抵金色の金属製の校章をつけた、黒いラシャ地の丸い帽子で堅い鍔がついたものでした。旧制高校の帽子は中学校の帽子と似たようなもんですが、当時の一高の白線入りの制帽なんかは中学生の憧れの的で、当の高校生(旧制)は所謂弊衣破帽というやつで、わざと学生服も帽子も破けて汚れたもの着用し、朴歯(ホオバ)の下駄を履き、腰に汚い手拭をぶら下げるというのが定番のスタイルでした。

イメージ 7
大学生は大学生で、同じような黒のラシャ地の角帽という、天辺が四角な帽子が制帽でした。戦争中の学徒出陣のニュース映画なんか今でも時々見かけますが、そんな大学生がかぶっているのが角帽です。


面白いのは、早稲田の角帽は極端に角が鋭い一寸独特の角帽で、逆に慶応は大学生も丸い学生帽で、角帽ではありませんでした。戦後の闇市時代なんかには、学生服を着てこの角帽に油や玉子の白身その他で細工をしてベトベト・ピカピカに光らせたのをかぶった、天ぷら学生なんて呼ばれた偽学生がよくいたもんです。

今では日本中何処の小・中・高・大学、何処でも学生が学帽をかぶっているなんて風景はまったくなくなりました。小学生の黄色いキャップだけですね。

いろいろ戦前戦後の帽子談義をいたしましたが、当人の私はどうかと言いますと、中折れ帽愛用者の最後にぶら下がった世代ですから、いまだにいくつかの中折れタイプの帽子を愛用しています。

下の写真の、最初がボルサリーノ(Borsalino)というイタリヤ製の中折帽で黒の布製でこのメーカーの中折は大体こんな感じが多いんです。中が、同じボルサリーノですが夏用の粗い布地が使ってあります。最後の黒いのは、別のメーカーですが皮製で、中折崩しとでも言うような帽子で、気に入って一番多用しています。

イメージ 8
イメージ 9
イメージ 10
上から、布製ボルサリーノ、夏用ボルサリーノ、皮製中折タイプ


Umabさんが記事の最後のほうで、
「今から10数年前,東京に単身赴任していた時だ。神田駅の地下通路を一人で歩いていた。神田駅の御茶ノ水よりの地下通路の面して、やや古い帽子屋のショウィンドウに,この形の紳士用の帽子を見つけた、上等な生地の帽子で,品位が感じられ,そこだけが光って見えた。しかし値段は7万円弱でとても手が出なかった。」
と書かれていますが、私にも似た様な話があります。多分25〜30年程前だったでしょう、40代か50代の頃です。たまたま日本橋の三越に用があって、一人で出かけました、その時帽子売り場で見かけたのが、冒頭の写真の帽子です。上質のフェルト製のいかにも洒落た帽子に見えました。
イメージ 11

イメージ 12イメージ 13

上の写真でお分かりの様に、裏に白い絹地が張ってあります。いかにも上品で、高級な感じがします。金色の印字が、「Augusta Borsalino 1857 Alexandria Made in Italy」とありますから、創業151年の老舗です。

値段は確か四万円ぐらいでした。ただし私の場合無理して買いました。仕事の忙しい、人生勢いのある年代、ある種の気負いもある年頃でしたから、道理の方を引っ込めて、少々の無理は通したんでしょう。

しかし、この帽子は今でも大事にとってありますが、一度も着用して外出したことがありません。買ったときは素晴らしいと思ったんですが、いざ買ってみると鍔が少し広くて、大男の外国人ならいざ知らず私にはどうもバランスが悪いような気がしたんです。バカバカしい衝動買いの見本みたいなことになりました。

もう後期高齢者ですから、少々古めかしいものも案外うまく収まるかもしれません。今年の冬は一度試してみようかなんて思っています。

閉じる コメント(18)

顔アイコン

ありがとうございます。
わたしが欲しかったのは,まさにこの形,「中折帽」です。
子どもだったわたしの目には,この形の帽子をかぶった男たちが,いかにも大人という感じで,まぶしい映っておりました。自分も早くあんな帽子をかぶれるようになりたいと思っておりました。
おしゃれというものは,その人の中身があってのもの。少々,生意気なもの言いで申し訳ありませんが,「後期高齢者」だからではなく,yamazakiさん,そのひとだからこそ,この記事で紹介された帽子がお似合いになるだと思っております。

2008/6/16(月) 午前 11:02 [ - ]

顔アイコン

umabさん:

お礼を申し上げるのはこちらです。 いろいろ引用させていただき有難うございました。

確かに、この中折帽には大人の象徴と言ったようなところがありました。 若者は学生帽、ピケ帽(登山帽)、野球帽なんかで、大人、それもそろそろ貫禄の出てきた年配者専用のようでした。

最近たまに芸能人なんかで若い人がかぶっているのを見ることがありますが、昔を知る私には、あんまり似合っているようには思えません。

中折帽は大人の帽子だと思います。 umabさんなら丁度ぴったりのご年配ですね。

2008/6/16(月) 午後 5:21 rei*ay*m*zaki19**

顔アイコン

帽子を選ぶ時は、先ずそれをかぶる時の服から靴までを思い描いて買うのが常識だった。
気に入って買った帽子の為に、服装を新たに揃えた事もありますよ。

2008/6/16(月) 午後 7:14 勢の字

顔アイコン

勢の字さん:

いつもブログで拝見していますが、勢の字さんは、良い意味の着道楽、そんなこともあるでしょうね。 私なんかでも、帽子で着るものを選んでいるような時も確かにあります。

帽子と釣り合いの取れた服装の人を見かけるのも、良いもんですね。

2008/6/16(月) 午後 7:57 rei*ay*m*zaki19**

顔アイコン

一般に帽子の似合う顔は面長です。帽子は好きですし、実用でかぶりますが、私のようなアゴの張った広い顔には、似合うのがむつかしいのです。
ツバのせまい(短い)のとか頭の部分の小さい(円い)のはダメです。
それでも、気候に合わせてかぶります。雨の日にレインコートを着たときなど、とても重宝します。

2008/6/16(月) 午後 8:36 [ hiroaki_noji ]

顔アイコン

hiroaki_nojiさん:

なるほど帽子の似合う顔がるんですか、気がつきませんでしたね。

昔は、通勤通学の風景にも帽子はつき物、学生は全員黒い学生帽をかぶっていましたし、サラリーマンも大勢が中折帽をかぶっていたもんです。 今通勤通学風景で帽子の存在感はほぼゼロですね。

それでも、おっしゃる通り野外や雨の日にはまた別の意味で帽子は重宝します。 帽子をかぶる目的が実用の方に比重を移しました。 似合わなくて便利なら問題無しです。

2008/6/17(火) 午後 6:51 rei*ay*m*zaki19**

顔アイコン

92歳の父は冬は防寒、夏は日よけと1年中帽子を愛用しています。
少しでもパリっと見えるように、イタリア製の麦わら帽子をプレゼントしました。
確かに今の中年男性は帽子をかぶりませんね。

2008/6/18(水) 午前 0:58 [ akanetuusin ]

顔アイコン

あかねさん:

お父様92歳ですか、お元気なんですね。

年を取りますとね、万事不精になったり、着るものにかまわなくなる傾向があります。イタリア製の帽子でパリッとされるなんて一番です。 私なんかも精々だらしのない格好にならないように気を使います。 うっかりいい加減な格好なんかしますと、すぐにホームレスまがいになってしまいますから。

2008/6/18(水) 午後 10:09 rei*ay*m*zaki19**

顔アイコン

懐かしいです〜!
セピア色に染まった祖父や伯父たちの写真、どれも帽子できめています。
特に、母方の祖父は帽子の被り方が上手な人でした。
どの写真も、とてもハンサムに写っています(^m^)
そして、こちらに載っているどのお写真の帽子も、父ナミヘイが被っておりました。
最近はハゲ隠しと思われるのが嫌で、野球の審判をする時しか被りませんが…あはは。

夏涼しく、冬暖かく…帽子はわたしも大好きです。
サングラスが似合わない顔なので、弱目を守るのにも重宝しています。

2008/6/19(木) 午前 0:45 nya*ony**ougaa*

顔アイコン

帽子は父が愛用していて、よく似合っていました。

帽子は全体のファッションのバランスでかぶって欲しいのですが、最近、昔と比べると、帽子が似合っている人(帽子をかぶっている人)を見かけることは少ないです。
そういえば、まちなかの帽子専門店も、徐々になくなりつつあります。
良き時代の粋でおしゃれな服飾文化は今後も残って欲しいのですが、寂しい限りです。

2008/6/19(木) 午後 2:17 ティコティコ

顔アイコン

にゃごさん:

なるほど、セピア色の写真に写っている男性なら帽子の愛用者が圧倒的に多いでしょうね。 そこは私のところでもご同様、というよりにゃごさんの所の写真より、我が家の方がはるかに古い写真が多いでしょうから、帽子はもっと多いかもしれません。

なみへいさんがかぶっておられた帽子は世代が同じですから私の帽子とは同じでしょうね、私はむしろ禿隠しと言うより薄くなった頭の怪我防止のつもりで今でも帽子は愛用しています。

2008/6/20(金) 午後 0:10 rei*ay*m*zaki19**

顔アイコン

ティコティコさん:

お父様の世代はそれこそ帽子全盛時代ですね。

帽子でなくても何でもそうですが、かぶったり、着たりしているうちに、自然にその人に馴染んで似合ってくるようになるんでしょう。 今の若い人達は、普段かぶりませんから、たまに取ってつけた様に中折なんかかぶってみても、似合うというわけには行きませんね。

これから暑くなると、物凄い色柄の浴衣の女の子達があふれ出しますが、どうも涼しげな江戸情緒なんてわけには行きません、私なんか暑苦しく感じます。 そろそろ昭和も遠くなりましたが、帽子や冴えた藍染めの浴衣が似合う人達も遠くなりました。

2008/6/20(金) 午後 0:12 rei*ay*m*zaki19**

顔アイコン

なんとなくyamazakiさんの帽子をかぶった様子が目に見えるようです。ものすごくお似合いになられるんだろうな〜と思います。
じいちゃんも帽子の愛好者でした。ハンチングというものやったか、あまりツバが無い帽子をたくさん持っていましたよ。
じいちゃんの場合、若い頃にした病気の関連で頭がツルッパゲになったとかで、その後お坊さんにも負けないようにキレイに剃りあげていたのですが、やはり丸坊主だと頭が暑いそうなんですネ。で、お出掛けの時はかならず帽子を持っていってました。じいちゃんは、街に出る時はほとんど単車のカブでの移動でして、昔からヘルメット着用してはりました。その時に持ち歩くのが便利なのでハンチングになったようです。
私は〜と言いますと、自転車での通勤なのですが、これから日差しで頭が暑くなるけれど帽子は風で飛んでしまうので、もっぱら手ぬぐいです。着物屋さんで購入したカワイイ柄なんです。真夏の街中でも手ぬぐいをかぶれば涼しいので、今年も街中で手ぬぐいを被ろうと思ってます。

2008/6/22(日) 午前 11:54 すず

顔アイコン

すずさん:

あんまり帽子が似合うかどうか自信があるわけではありませんが、一つは以前からかぶりなれているもんですから、帽子無しで外出すると、なにか忘れ物でもしたような気がします。

それと、中折タイプの帽子は多少改まった気分がありますから、服装もそれなりに、あんまりだらしない格好をしなくなりますので、その面でも役に立ちます。 私の歳でだらしない格好をすると、即ホームレスになってしまいます。

以前は、ハンチングもゴルフのときなんかに愛用しましたが、最近は減りましたね。

帽子の代わりに手拭ですか。 昔は姉さんかぶりなんて、粋な手拭のかぶり方がありましたが、すずさんならバンダナみたいなかぶりかたでしょうね。

2008/6/22(日) 午後 3:13 rei*ay*m*zaki19**

顔アイコン

私も20代前半に頃、父の日之帽子を送りました。その時ウエストが56センチの私は父の頭がそれ以上に大きいとは考えられずに小さめのを送っていしまいました。ポンチ絵のようだと笑われました。

2008/8/8(金) 午後 0:23 [ みつ ]

顔アイコン

みつさん:

この記事に掲載した私の帽子のサイズは57センチ、又はMサイズです。 確かに56センチというのはSサイズですから、普通なら小さすぎますね。

それにしても、いかに20代前半のお若い頃のこととはいえ、56センチのウェストサイズは見事です。 最近話題のメタボリック症候群の判定基準が女性の場合、90センチ以上となっていますから56センチは随分スマートでスリムですね。

2008/8/8(金) 午後 3:44 rei*ay*m*zaki19**

顔アイコン

帽子談義、楽しく読みました。
今でもカンカン帽は山車を引くわが町のお祭りで町内会の役員たちが羽織、袴姿でかぶっていますね。

2011/7/24(日) 午前 7:33 teidaisei

顔アイコン

古い記事を読んでいただきその上コメントまで、有難うございます。

今日の記事に書きましたようにこのところすっかりブログからご無沙汰でご返事が遅れてしまいました、申し訳ありません。

それにしてもカンカン帽、近頃は全く見なくなりました。

2011/8/21(日) 午後 1:14 rei*ay*m*zaki19**

開く トラックバック(1)


.
rei*ay*m*zaki19**
rei*ay*m*zaki19**
男性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

過去の記事一覧

標準グループ

ブログバナー

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!
いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事