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灰色の雲。
ロンドンの空を覆う不吉な影。
暗い屋根に降るのは雨か、雪か・・・
ガラスにぽたりと落ちた一滴のその色は、真紅。
その雫が冷たい表を伝い、流れ、走り、駆け巡り・・・
そして下水を流れ、川と出会い、赤に灰色が混じり、
再び最初の灰色のもやの色に戻って行く。。
上手いオープニングですねぇ、
ここはちょっと説明しちゃいましたけど、
どきどきしながらこのシーンを観ているだけで、かなり心拍数があがりそうになりますよぉ。
19世紀のイギリス、ロンドン。
フリート街で理髪店を営みつつ、美しい妻と生まれたばかりの娘と、
幸福な日々を送るベンジャミン・バーカー。
しかしその妻の美貌に目をつけたタービン判事は、無実のベンジャミンを捕らえ、
家族と引き離し、流刑の罪に。
そして15年の歳月が流れます。
フリート街に戻って来た彼は、すっかり容貌も変わっていました。
目の下には隈、トラウマを現すひと房の白い髪。
彼はスウィニー・トッドと自身を名乗り、再び昔住んでいた場所に店を開きます。
彼は階下のパイ屋の女主人、ミセス・ラベットから、
妻は判事に騙され慰み者にされた挙句、毒を飲み、
娘は彼が養女とし、彼の家に幽閉しているということを聞かされます。
怒り狂うスウィニー。
彼の目には狂気が宿り、15年間、箱に眠っていた銀の剃刀に復讐を誓います・・・
いやいや、これは凄かった。
スプラッター・ホラーと言ってもいいかも知れません^^;
さすがにR-15だけのことはあります。
なにせ全体がダークな色調で、
現実でない場面以外は殆どどんよりした色調の中、
血飛沫だけは鮮烈で、それ自体が意思を持っているかのように毒々しく鮮やかに赤く咲き誇り、
かなりグロいです。
ティム・バートンが20年前、
ロンドンで舞台「スウィニー・トッド」を観て、すぐ作者のソンドハイムを訪ね、
映画化の許可を取ったとか。
6年前にはジョニーにこの舞台のCDを聴かせていたと言いますから、
もうこれは練りに練られた、
彼らが待ち望んでいた作品ということになりますね。
ロンドンには昔から都市伝説というものがありまして、
これもそのひとつだと思いますが、血なまぐさいものが多いですよね〜
例えば他には切り裂きジャックとか・・・あれは実在?どうなんでしょう?
片っ端から喉を剃刀で切り裂き、
その死体の始末を兼ねて、パイを作ったのが大繁盛・・・
街の人たちは喜んで、
美味しい美味しいと、喉を掻っ捌かれた、同じ街の人間のパイを食べるわけです。
このスウィニー・トッドの伝説が生まれたロンドンは、18世紀末位だろうということから、
封建制度が崩壊して、地方からどっと人々が都会に溢れて来た時期ですね。
行き場のない人々でいっぱいのイーストエンド辺りは貧民街となり、
人が殺されたり死体が転がったりしていても、そう珍しくない・・・
そんな中から生まれたお話みたいです。
でも、この物語がこれだけ悲惨で救いようがないのは、
実は人を愛するあまりに、
自分が堕ちて行く穴に、全く気付かないということにつきるのではないでしょうか。
愛という名前のもとに、自分自身を見失ってしまうんですね・・・
ジョニーはこの映画の中でも「穴」という言葉を使って何度も歌っていますが、
このダークなミュージカルの中で何度も歌われる曲の歌詞には、
様々なキーワードが含まれていますので、要注意ですよ〜♪
「愚かな」人間は、愛が自分にあるからと、自分の過ちに気付かない。
それどころか、自分を中心に考える「愛」によって、
周囲を巻き込み、それが恐ろしい大きなうねりとなって、全てを包み込んで行く・・・
無垢なものほど、一旦染まるとこんなに恐ろしいのかと、
人間の業を感じ、より恐怖は高まります。
なんだか日本の怪談にも、こういうのがありますよね。
こんな風に、ティム・バートンが得意とする、愛と運命と残酷な世界は、
胸が苦しくなるほど、この暗い街ロンドンを舞台に、
狂気の美をもって展開されていくのです。
衣装から街並みから、それは凝っていて見事ですよ〜
これはやっぱり彼でなければ、出来ない世界かもしれないですね♪
何かと話題の多い作品で、
ジョニーがこの難しい曲をいっぱい歌ってくれるのも、惚れ惚れ聞き入っちゃいますし
(『パイレーツ・・・』のロケ地へ向かう車の中で練習したことは、みなさんご存知ですよね^^)
ヘレナ・ボナム=カーターの存在は、
さすが、より厳しくされたというだけのこともあり、歌も申し分なく上手いし、存在感も最高♪
敵役のタービン判事を演じたアラン・リックマンのリアリティ。
『屋根の上のヴァイオリン弾き』を、全曲ティムの前で歌って、
イタリア人?理髪師役をものにしたと言われるサーシャ・バロン・コーエンの、
あのいかがわしい感じも、実にいいです。
その他にも大事な役割の人間が何人か登場しますけれど、
あえてここでは内緒にしておきましょうか。。
それが愛の救い手。
それが神の使い・・・かもですよ。。
この撮影中にジョニーの最愛の娘であるリリー・ローズが病気になり、
彼は10日間も撮影を中止した、ということがありました。
「愛する人のためなら、なんだってする。躊躇もしないし結果も考えない」
と、撮影後語るジョニー。
そんな彼が、この映画のスウィニーをどんな気持ちで演じたのか、
それをスクリーンで是非お感じになって下さいませ。
・・・「大昔の話だ」と、呟く彼の声の切なさ、思わず涙ぐみそうになりました。。
怖くて哀しい物語です。
どうぞたっぷり、ご堪能下さいませ^^
ジョニー・デップ スウィーニー・トッド
ヘレナ・ボナム=カーター ミセス・ラベット
アラン・リックマン ターピン判事
ティモシー・スポール バムフォード
サシャ・バロン・コーエン ピレリ
エドワード・サンダース トビー
ジェイミー・キャンベル・バウアー
ローラ・ミシェル・ケリー
ジェイン・ワイズナー
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はじめまして。
1度見ましたが、またじっくりと見たい作品です。
出遅れましたが、TBさせてくださいね。
2008/1/30(水) 午後 2:46
はじめまして^^いらっしゃいませ。
そうですね、出来たらまたもう1度。。今度はどのシーンで視線を斜めにすればいいかわかりますしw
トラバありがとうございます^^もくれんさん。
2008/1/30(水) 午後 10:13
観てきましたよ。いやいや、今回も良かったですね。元の戯曲がかなり出来が良いというのもありそうですが、やっぱり、この雰囲気はこのコンビでしか出せないと思います。個人的にはこれが今年初でしたが、なんかもう今年のベスト1決まってしまったかも(笑)・・・。うちのお客さんの中に本物の理髪師さんがいらっしゃるので、ちょっとアレかななんて思ったのですが(汗)、やっぱり絶賛してしまいましたね(笑)。
2008/1/31(木) 午前 3:15
オリジナルのミュージカルも絶賛されていますし、そうなんでしょうね^^でもおっしゃるようにこの「雰囲気」はこのチームならではのものかも。。あはは^^理髪師さんも絶賛ですかw
トラバありがとうございます^^fishrenzuさん。
2008/2/4(月) 午後 2:22
遅ればせながら観てまいりましたよ〜いや〜ほんとジョニー&バートンワールドが堪能出来る作品でしたね〜。僕は本来ミュージカル系があまり得意じゃないんですがこれはかなり楽しめましたよ♪
TBさせて下さいね〜
2008/2/5(火) 午前 8:41
私もあまり詳しい方じゃないのですけど、歌も難しい感じでしたよね・・・? だけどあれだけ見事に歌うことを想像しておりませんでしたので、一気に物語の中に入ることが出来ました。
さすがに彼らは、ちょっと違いますよね^^トラバありがとうございます、しげさん♪
2008/2/5(火) 午前 8:46
本当に怖くて、、そして哀しい物語でしたね。
喉を掻き切る瞬間はさすがに何度も声が出てしまいましたが、キャストの嵌り具合といい、ダークな世界観といい、かなりいいものに仕上がってましたね。
ジョニー、歌は頑張ったんでしょうね。見事に期待に応えるあたりプロですね。あるレベルに届かなければ彼なら受けなかったかも。
TBさせてくださいね。
2008/4/26(土) 午後 1:23
いきなり歌いながらばっさ、ばっさと切っていくし、その後死体を(有名どころで結構ご年配の方も^^;)どさどさ落として行くし。。でもすっかりこの世界に入っておりましたので、最後まで作品として楽しむことが出来ました。
トラバありがとうございます^^pu-koさん。
2008/4/27(日) 午前 8:17
なるほど・・キーワードに注意していくと、もう少し色んなことが見えてくるかも知れませんね。TBさせていただきます!
2008/6/15(日) 午前 0:18
やっとみれました^^アラン・リックマン&ジョニーさん、ヘレンさん&ジョニーさん・・・といろんな方たちの歌声が聞けて感激です。
最前列でミュージカルを見てるような気持になりました☆TBさせてくださいね
2008/11/12(水) 午後 10:44
遅レスすみません。。^^;
映画を観ている時は、ひたすらその世界に没頭してただけなんですけどね。。^^たくたくさん。トラバありがとうございます。
2008/11/14(金) 午前 8:32
やっぱり独特の世界で迫力がありますよねえ。。
楽曲もかなり難しいものが多かったと思うのですけど、ジョニーで観れたことの贅沢さ♪
トラバありがとうございます^^恋愛映画さん。
2008/11/14(金) 午前 8:33
冒頭シーンの暗〜い舟の上での、ジョニー・デップの歌声からしてやられましたね!(笑)
でも・・・かなりショッキングでビックリしたのは確かな感想です。ミートパイ・・・売り上げ減ったんでは?とか心配しちゃいますよね。
こちらからもトラバさせてください。
2008/11/28(金) 午後 10:57
視覚的にも優れているのは、やっぱりさすがのティム・バートン監督ならではでしょうか。
かなり鮮血が。。^^; びっくりしましたw
トラバありがとうございます^^mrtさん。
2008/11/29(土) 午後 10:57
思い入れたっぷりの素晴らしい記事ですね。舐めるようにじっくりと熟読させていただきました。文章的にも美しく、特に冒頭の文章など映画のオープニングが目に浮かんでくるようで、とても映像的です。
妻の復讐に一心不乱になって、気付くと自分自身が築いた血だまりの中で溺死していた…みたいな因果応報なお話ですが、やはり切ないですね。
TBさせてくださいませ。
[ 柴多知彦 ]
2009/9/8(火) 午前 1:39
ティム・バートン監督の作品は、なぜか興奮させるんですよ。。汗。
cinemaさんの記事を読ませて頂きましたが、
不道徳の・・・には、本当に納得♪
トラバありがとうございます ^^
2009/9/8(火) 午前 8:23
私的には、もうちょっとって感じでした〜
TBおねがいします
2010/3/20(土) 午前 11:17
あら、そうでしたか。。^^;
興奮した記事で申し訳ないw
トラバありがとうございます、る〜さん♪
2010/3/20(土) 午後 11:03
血が怖い私ですが、これは結構、安心(?)して観られました!
コメディ・タッチだったし、そんなに怖くはなかったけどね…^^
2010/12/29(水) 午後 1:21
ミュージカルということもあるし、出演者が親しみのある方々ということで安心して観れたかもしれないですね〜 ^^
でもスクリーンだと音響が効果的過ぎて、怖いシーンもあったかも。。^^; トラバありがとうございます、やっくん。
2010/12/30(木) 午前 0:00