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☆恋の映画とお酒に恋してる☆
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ザ・ロード

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2009年のアメリカ製作映画です。


コーマック・マッカーシー原作のこの本を読んだとき、深いため息をつきました。

そして、その後映画化されると知り、
私は本当に驚いたものです。


この世界観を映像化できるというの・・・?


近くの劇場での公開がなくて、
残念ながらスクリーンで観ることは出来なかったのですが、
こんなに見事に映画化されていたとは。



2009年度の英国アカデミー賞撮影賞ノミネート、
放送映画批評家協会賞では、
主演男優賞、若手俳優賞、メイクアップ賞にノミネートされています。



原題も『THE ROAD』です。




アカデミー作品賞受賞作「ノーカントリー」の原作者でもあり
現代アメリカ文学を代表する巨匠の一人、コーマック・マッカーシーの
ピュリッツァー賞受賞の同名ベストセラーを、
「イースタン・プロミス」のヴィゴ・モーテンセン主演で映画化した
衝撃の終末未来ヒューマン・ロード・ムービー。



文明が崩壊し荒廃したアメリカ大陸をひたすら南を目指して旅を続ける一組の父子を主人公に、
飢えや寒さ、さらには人肉さえ口にする暴徒たちの襲撃から
我が身を守る極限のサバイバルの行方と、
そんな過酷な状況でも最愛の息子の無垢な心を守り通し、
人間らしさを失うまいと振る舞い続ける父親の無限の愛を描き出す。


息子役にはハリウッド期待の新鋭コディ・スミット=マクフィー。

監督は「プロポジション -血の誓約-」のジョン・ヒルコート。



allcinemaより



この解説に登場した『ノーカントリー』の原作、
『血と暴力の国』を、ほぼ原作通りにコーエン兄弟が映画化したときも、びっくりしたものです。


コーマック・マッカーシーが描く世界は異質。

私たちを最初から拒んでいるにもかかわらず、
ぐいぐいと引き込んで行く不思議な力を持っています。



怖いけれど覗いてみたい。

踏み込みたくはないけれど、身体を乗り出しているうちに、
その世界から逃れられなくなってしまう・・・


それらのことはストーリーの中だけにあるのではなくて、
私たちの抱いている、不安や怖れなどを巻き込んでのものなので、
椅子に座って画面を観る、ということで、
一体どれだけ表現が可能なのか、興味津々でした。



映画の観方はそれぞれですが、前作『ノーカントリー』で、
小説が、そのまま映画の中にそっくり入り込んでいたのを観て、
私に極めて近い感覚で、
この原作を映画に出来たコーエン兄弟の才能に、改めて感心したものです。


私に近い感覚だから感心した、なんて書き方は不遜ですけどね。。^^;


日本に住む、ひとりの人間が感じたことが、
そのまま映像化される、ということに衝撃を感じた、という書き方の方が正しいかもしれません。



オスカーを4部門制覇したこの作品、
きっと好きな作品、として挙げる方は少ないのでしょうけれど、
そう、この世界観です。



人は否応なしに生きている限り、運命と共に生きる。

そこから始まる、独特の世界観のことです。




前の作品の話が長くなってしまいましたけど、
今回もほぼ全編が暗い、重いお話です。


何があったかは全く描かれていませんが、
「あること」で、太陽は隠れ、緑は色を失い、植物もみな枯れ果ててしまいます。



「あること」が起きた時、出産を間近に控えていた男の妻は、
こんな世界に子供を産んでどうするというの!と、叫びますが、
破水し、新しい命が誕生します。


食べるものも底をつき、
多くの家庭では、自ら命を絶つ者が増えてきます。


生きていても未来はない。

略奪者によって襲われ、食べられる恐怖を日々感じながら生きるだけ。

それよりも幸せな死を、と、望む人々。



しかし子供は成長し、
母が消えた後、父と南を目指して歩き出すのですが・・・



これ、『ザ・ウォーカー』なんかと近いと感じる方もいらっしゃるでしょうね。
でも、全く中身が違う、と、私は思っています。


多分これも、『ノーカントリー』と同じく、
好き嫌いが、はっきり分かれる作品だと思うのですけれど、
南を目指して歩き続けるということの中に、
何があるのか、を、是非感じて頂きたいんですね。




父であること。

子であること。

映画の中で、唯一名前を持つ、イーライという老人に出会うこと。

愛とは、何かということ。

「心の火」を胸に抱いて生きること。




断片的なそれらのことが、
最後には大きなうねりになり、胸に迫って来ます。


言葉には出来ませんけれど、
この世界に彼らと一緒に足を踏み入れたなら、
その意味もお分かり頂けるかも。



挫折を繰り返し、そしてまた訪れる挫折。

苦しみが続く、生きるという道。


その繰り返しの中で、
私たちは生きているのだ、ということを思うとき、
愛がなくて、なんの世界だ、と、思われません・・・?




この役になりきるために、自ら過酷な環境に身を置いたと言われる、ヴィゴ・モーテンセンと、
ヴィゴに「これまでの映画の中で、最高のパートナー」といわしめた、
天才子役、コディ・スミット=マクフィーの、2人の演技は、
映像を観ているだけでも、涙が溢れてきます。



これはひとつの寓話にすぎないかもしれません。


でも、寓話が人々によって何千年も語り継がれ、
今日もまた新たに言葉によって生まれ、力を得て、
人と人とを結びつけることを思うと、
その力は計り知れないと感じるのは、私だけでしょうか。


新たなお話の始まりの陰で、そっと終焉を迎えるお話もあるでしょう。


生きる。


これは深い深い物語です。









ヴィゴ・モーテンセン
コディ・スミット=マクフィー
ロバート・デュヴァル
ガイ・ピアース
シャーリーズ・セロン
モリー・パーカー
ギャレット・ディラハント
マイケル・ケネス・ウィリアムズ



監督: ジョン・ヒルコート
製作: ニック・ウェクスラー
ポーラ・メイ・シュワルツ
スティーヴ・シュワルツ
製作総指揮: トッド・ワグナー
マーク・キューバン
マーク・バタン
ラッド・シモンズ
原作: コーマック・マッカーシー
『ザ・ロード』(早川書房刊)
脚本: ジョー・ペンホール
撮影: ハビエル・アギーレサロベ
プロダクションデザイン: クリス・ケネディ
衣装デザイン: マーゴット・ウィルソン
編集: ジョン・グレゴリー
音楽: ニック・ケイヴ
ウォーレン・エリス

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