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三島由紀夫の「鏡子の家」を読みました。
恐ろしくももの哀しいフェリーニの「甘い生活」という映画があるけれど、三島由紀夫は「鏡子の家で僕の甘い生活を書きたかった」と語っていたらしい。
この本は鏡子という名門の女性の住む館に、新進日本画家、年若い美貌の役者、ボクサー、エリート商社マン・・・といった人間達が集うサロンを中心に物語は進む。
美しくも享楽的、退廃的なこの世界にこっそり忍び込み眺めていたいような、そんな気持ちに駆られる。
現代もどこかでこういったサロン的な集いは繰り広げられているのだろうけれど、それはこの鏡子の家の集いに比べ、はるかにもっと屈託のないものであるように思う。
戦後十年という時代背景もあいまってかこのセレブリティーの集いにはどこか陰鬱としたものを感じずにはいられなかった。
彼らは何を目的とし、集うことで何を求めていたのだろう・・・。
映画「甘い生活」を既に観ていたせいか、私にはこのサロンを支配している陰鬱なもの、それは「死」そのものであるーという気がした。
死の雰囲気に魅せられた人間達が集っていたのではないだろうか。
世界の滅亡を信じるエリート、体を鍛え上げた後心中する俳優、手を負傷するボクサー・・。
青年画家は絵が描けなくなり精神が破綻する。
そしてこの小説で三島由紀夫は「愛し合っていないということは何と幸福だろう。なんて温かみのある事態なんだろう」と書いている。
こう書くことでこの小説は完璧なものとなっている(ように思う)。
でも果たしてこれはこの作者の本質なのだろうか。
彼は男性らしさ、強さを具現化したような作家であるが、ある女優との対談では「僕はもし好きな人ができたら好きだ、好きだって言える人間だよ」と語っている。
そして小説よりは人間味が感じられる「不道徳教育講座」等の随筆。
このあたりに意外に彼の本音が多少隠れているのではないだろうか。
そのようなことを考える時、この「鏡子の家」に限らずどの作品を読んでいても、三島由紀夫とはいつも何か私の心を切なくさせる作家なのである。
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感想がいつのまにか、三島由紀夫への思いにすり替わっているところが素人の文章の哀しさ・・・。
直そうかと思いましたがそのままアップしました。
2008/12/7(日) 午後 0:08 [ reona678 ]
わたしも、三島の「鏡子の家」も、」「美徳のよろめき」も「音楽」も好きです。物語のつくりがもう緻密で、引き込まれます。
2008/12/10(水) 午前 10:36
月の骨さん、確かに本当に緻密です。
細部に至るまで計算されている感じを受けます。
三島由紀夫は待ち合わせの2時間前には約束の場所にいた・・と何かで読みました。
それが文章に表れているなぁと思います。
2008/12/10(水) 午後 4:19 [ reona678 ]
こんばんは。『鏡子の家』は凄く好きです。
三島の筆致は論理的でかつ情熱的です。
こういう熱い男が昭和にはいたのですね。羨ましいです。
2008/12/18(木) 午前 3:29
風の告白さん、はじめまして!
ご訪問ありがとうございます。
三島は確かに論理的でありながら美しく、一見、相反するものが調和されているのは素晴らしいと思います。
わからない部分も多いのですが、とても気になる作家です。
リアルタイムに同時代を生きていれば面白かっただろうなと思います。
2008/12/18(木) 午前 9:54 [ reona678 ]
ああ、そうか。自分が年とっているのを忘れていますが(笑)、reonaさんは三島由紀夫とは同時代ではないのですね。何を今更、というトボケたコメントですが、三島の生きていた 60年代の文学状況は確かに今より遥かに面白かったとは言えると思います。老大家から新進まで多士済々でしたね。
2008/12/18(木) 午後 2:39 [ 遠い蒼空 ]
蒼空さん、三島と私が同世代なら、私は蒼空さんよりお姉さんになってしまいます^^。
でも昔の本が好きでそんな記事が多いので私を60代、70代と思っていらっしゃる方は他にもいらっしゃるかも・・・。
無論乙女ではございませんが、一応「青山テルマ」とかにも理解あるつもりです。 笑
でも本当は三島やらの60年代に青春を過ごしたかった・・・っていうのが本音です。文学の世界もいまよりずっと光り輝いていた気がして。
2008/12/18(木) 午後 3:40 [ reona678 ]
カミングアウトすると、学年は違いますが福山雅治とかあの辺りの世代です。それでも心弾む年代ではありませんが・・・笑
2008/12/18(木) 午後 3:48 [ reona678 ]
福山雅治と言われても、名前を知っているだけで世代は分かりません。
記事では年齢は分かりませんよ。ご安心を(笑)。
2008/12/18(木) 午後 4:50 [ 遠い蒼空 ]
ありがとうございます。
文学を愛する心に年齢関係なし!ですね。
2008/12/18(木) 午後 5:54 [ reona678 ]