RetasuRoom企画室

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お茶漬けちゃん 02

イメージ 1

「ほーっほっほっ!勝負あったようね!」

うめこぶちゃんの高笑いが裏庭に響き渡りました。



「勝った!ついに勝ったわ!お茶漬けちゃんに。私の・・・願いがかなう!」
そう、お茶漬けちゃんは完膚なきまでに勝手に負けました。

うめこぶちゃんは心の中でもうずいぶんと昔の頃の記憶をよみがえらせていました。永遠に会えることの無くなったお母さんの記憶。でも、それも・・・

「どうかしら、小梅ちゃん、あなた達の負けよ!」

しかし、帰ってきた言葉は予想もしない言葉でした。

「甘いです!うめこぶちゃん」

うめこぶちゃんの周囲に何も無かった筈の場所に突然人影が現れてうめこぶちゃんは取り囲まれました。間もなく廃校舎の屋上が光を放ちました。

「小梅バリアー!!」
「!?」

小梅ちゃんの周囲に光の歪みが出来たかと思うと縛っていた縄は弾け飛び、周囲にいた男達を退けました。小梅ちゃんが軽く地を蹴るとまるで無重力かのように体がふわりと宙に浮き、そして小梅ちゃんが体を前に倒すと地面を蹴るように宙を蹴って一瞬のうちに廃校舎の屋上から大地に舞い降りました。

「あなた、一体!?」
「私はっ!未来からうめこぶちゃんを捕まえに来た時空警察第8課特殊班 小梅!」
「じ・・時空警察!?マークされてたの!?」

うめこぶちゃんは混乱しました。はじめてお茶漬けちゃんからの勝利を勝ち取ったと思ったのに、ただのクラスメートだと思っていた小梅ちゃんが時空警察、しかも超能力の使い手で、ずっとマークされていたのです。

しかし今は混乱している場合じゃありません。ただ、逃げるしか・・・。うめこぶちゃんは力の限り走って逃げました。

「犯罪者リストIOA2−74352 うめこぶちゃん 特別A級犯罪現行犯で・・・逮捕します。」

特別A級犯罪、実は未来の世界では民間人の時間航行自体も禁じられている程、時間についての取り締まりは厳しいのです。

しかし、実はうめこぶちゃんは未来の世界から移動してきたわけではありません。
うめこぶちゃんはこう思っています。過去への干渉についての違反だと。時空警察は常に時空の流れの変動を監視しています。時空警察は未来の世界でも作りたてで、時空の原理についてあまりよく分かっていないので、ちょっと時空の流れが変わっただけでも取り締まりを行っているのです。

うめこぶちゃんは力の限り走って逃げましたが抵抗も虚しく、時空警察に手錠を掛けられました。

「おかあさん、やっと会えると思ったのに・・駄目・・みたいだよ。」

時空警察は手に付けられている手錠はあらゆる物理的な破壊を防ぐ電磁バリアーが付けられていると説明しました。もちろん、うめこぶちゃんのような中学生の細腕で壊れるような代物では無さそうでした。あきらめるしか・・そう、あきらめ・・る・・?おかあさん・・を?もう、2度と・・・?おかあさん・・お・・かあさん・・・。

「おかあさぁーん!」

うめこぶちゃんは声の限り叫びました。


「時空の流れ、安定を取り戻しました!」

部屋には巨大なディスプレイがあり、20世紀の過去を移しています。
第8課がうめこぶちゃんを捕まえたその瞬間に変動値が安定しました。

ピ・・・ピ・・・ピ・・・

「ふぅ・・一体うめこぶちゃんは何をしようとしてたんだ?時空の流れが不安定になる原因は何なのかな?」

ピ・・・ピ・・・ピ・・・

「時間の流れに矛盾が生じた時に変異する、と言われてるけど。」

ピ・・・ピ・・・ピ・・・

「それもSFの受け売りだろ?タイムパラドックスの予兆だと。」

ピ・・・ピ・・・ピ・・・

部屋の中は定期的に機械音が鳴っています。この音が何の音なのか、時空移動管理装置に付いている黒い画面に映る緑のギザギザの線が何を表しているのかこの部屋にいる者は知りません。ただ、これに似た物をどこかで見たことがある気がします・・。

「・・さん・・」
「おか・・・さ・・・」

どこからともなく少女の声が聞こえてきました。

ピ・・ピ・・ピ・・ピ・ピ・ピ・

「おい、こわいじゃないか、なに怖い声出してんだよ。」
「わ・・私じゃないですよ」
「おかあ・・さ・・」

ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・

それは時空移動管理装置が生成している時間の裂け目から聞こえています。

「おい、これって・・・」

「こんなこと・・」

ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・

「おかあさぁーん!」

ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・

ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・

ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・

ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・ピ・

「うめ・・こぶちゃん・・」

室内に聞いたことの無い声が響き、そして時空移動管理装置が勝手に動き出しました。

「おい、制御が効かない!」



ところ変わって、浅漬け中学裏庭。手入れがされていない草を宙に舞い上がらせながら、時間航行装置がうめこぶちゃんの目の前に降りました。これでうめこぶちゃんは未来の世界に連れて行かれるのです。

「お母さん・・。」

「うめ・・こぶ・・ちゃ・・」

「!」

声が聞こえたかと思うと轟音を響かせながらまるで雷のように空を裂いてお茶漬けちゃんのすぐ傍に光が落ちました。そして、光は球の形にまとまり、宙に浮かんびました。
うめこぶちゃんにとってそれはよく知っている物でした。

「時の・・柱・・」

そして、もう一人、時空警察でも小梅ちゃんだけがその意味を知っていました。

「彼女が・・目覚めた?何故?」

小梅ちゃんは信じられず、目を疑いました。

その時です。時空警察は目の前の超常現象に皆、平静ではいられず、ただ一人、うめこぶちゃんだけが冷静に時空警察全員の一瞬の隙を見つけたのです。傍の者を蹴りつけて逃げ出し、光の球に向かって一直線に走り出しました。

「うめこぶちゃん、逃がしません!」

一瞬遅れて気づいた小梅ちゃんは周囲に小梅バリアーを張ってうめこぶちゃんを猛スピードで追いかけました。
するとうめこぶちゃんはクルリと反転して手錠をした腕で小梅バリアを強く殴りつけました。ビシビシっと電気を放つと手錠はボンっと音を立てて破壊されました。

「しまっ・・」

小梅ちゃん自慢の小梅バリアが一部壊れました。手錠の電磁バリアが小梅バリアを相殺したのです。
一部壊れた小梅バリアは砕けて、バランスを崩した小梅ちゃんは宙に吹き飛ばされました。

逆に、うめこぶちゃんも反動で投げ出されましたがこちらは上手く着地。もともと運動神経がいいというか、勘がいいのです。

うめこぶちゃんはお茶漬けちゃんに近寄っていきました。

「お茶漬けちゃん。昔、約束したろ?私が勝負に勝ったら、一つだけ願いを聞いてくれるって。」

未だにお茶漬けの素スーツでコケて起き上がれないお茶漬けちゃんに話かけました。しかし、お茶漬けちゃんは不思議顔。少しムズカシそうな顔をするも・・。

「・・覚えてない」
「はぁ!?こ・・こいつは・・」

うめこぶちゃんはほっぺたを伸びる限界まで引っ張りました。

「じゃあぁいいよ!負けたから一つお願いを聞いてあげるから!」

まるで罰ゲームは何ですか?と言う雰囲気で気軽に答えるお茶漬けちゃんに拍子抜けするうめこぶちゃんでしたが、これもお茶漬けちゃん相手ならいつもの事です。気を取り直して言いました。

「私と未来の世界について来てくれ!!」

流石のお茶漬けちゃんも、「何言ってるんだろう、この人は頭がおかしくなったのだろうか」と思いましたが、目が真剣だったので、断る事はできないと思いました。

「うん、いいよ。」

一瞬うめこぶちゃんは輝いた顔をしましたが、すぐ気を取り直して顔を引き締めました。お茶漬けちゃんを起こし、光の球に向かって歩き出しました。そして右手を前に突き出すと手の前に楔型文字を描いて光が浮かび上りました。うめこぶちゃんの目の瞳孔が蛇の瞳孔のように縦に長くなると、謎の言葉を言いました。。

―*‘{*‘><{〜(開け、時の柱よ・・・)―

光の球は落ちてきた時と逆に地から光を伸ばして空を引き裂きました。

「さぁ・・行こう。」
「うん」

二人が光の柱に入って行こうとします。その時、小梅ちゃんは小梅バリアを展開して時の柱の前に滑り込み行く手をさえぎりました。

「駄目です!その中は生身では・・・えっ・・?」

強い引力で小梅ちゃんは時の柱に引き寄せられていきました。小梅ちゃんは光の柱に近づきすぎたのです。

「そん・・な・・きゃあぁぁぁぁ!」

時の柱の光が小梅バリアさえ通り越して小梅ちゃんを焼きました。小梅バリアが解けたら、その一瞬で小梅ちゃんは蒸発します。

「いけない!」

うめこぶちゃんは蛇のような瞳孔の目を見開くと、背中から角の様な物が飛び出し、体が輝きだしました。そのまま時の柱に入り込み、小梅ちゃんに手を当てると小梅ちゃんの体も光りだしました。この光は時の柱の光を防ぐ力があるらしく、時の柱の中でも自由に動ける事に小梅ちゃんは驚きました。

「うめこぶちゃん・・・あなたは一体・・」
「そんな事はどうでもいい、お茶漬けちゃん、早く!」
「え・・」
「時間が無いから早くこの手を・・」
「・・うん!」

お茶漬けちゃんは走りました。力の限りに!

「あ、お茶漬けちゃん、そのスーツで走ると・・・」
「ちゃ、ちゃちゃぁぁーーー!」

そして転びました。

「・・・」

うめこぶちゃんは目が点になりました。

「ちょ・・時間が・・いや、本当に時間が無いんだって!」
「うめ・・・こぶちゃ・・」

必死に腕を伸ばすが全然届きません。しかし、時の柱の光が強くなっていきます。

「おちゃ・・」

うめこぶちゃんが名前を呼びかけようとした時でした。時の柱はうめこぶちゃんと小梅ちゃんを連れて強い光を放って空へと吸い込まれるように昇り、消えました。

「もう、あんたとはやってられまへんわー!」

といううめこぶちゃんの漫才師のような台詞のみを残して・・・。

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