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藤圭子さんの自殺報道に、ショックを受けている。私は演歌が好きで、彼女のハスキーで、胸底の情念を絞り出すような歌声に惹かれるところが多かった。 「十五、十六、十七と、私の人生暗かった」との歌詞には、ただそれだけで彼女の生い立ちを感じとることができた。その彼女が7年前にテレビのインタビューに応じて、自らの過去を率直に語っているのをきのう初めて聞いた。 浪曲師の両親とともに地方を廻り、泊まった旅館の仲居さんから「お客さんの残り物」といって「銀紙で包んだ鶏肉」をもらったのが初めて食べたお肉だったという。そして「白いご飯など食べたのは、東京に出てきてからだった」とも… そんな貧しい少女時代のことを彼女は舞台に出ているときとは違って、ノーメイクのままに、実に饒舌に、熱っぽく語りつづけていた。そしてデビューしてからの自分は、ただ周囲に仕立てられるままに歌ったいたに過ぎないとも… そんな彼女の話を聞いていると、スターとなった華やかな彼女より、極貧のなかを必死に家族とともに生きぬいていた少女時代の方が、本当の彼女であることが見えてきた。そして彼女は、スポットライトのなかの自分にはついにレアリティを感じることなく、貧しかった時代から、ずっとそのまま自分探しを続けていたことが…
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