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人を見る眼

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安倍首相の一強体制が危うくなっているようだ。ついこないだ総裁任期を改正してまで長期政権に備えていたというのに。

要因は自分と思想信条を同じくしている人への、いわゆる脇の甘さというものがあることは多くの人の指摘しているところだ。ただ靖国神社に参拝している一事をもって、その人を主要大臣に大抜擢したのではないかとも疑われるような…

とはいっても人の本性を見抜くほど難しいことはないようにも思う。私自身も幾度もその人の正体を見誤って、手ひどい目に遭ってきているのである。

それも二度と同じ失敗をすまいと心しながらのこどある。そうして定年退職をして10年以上も経つ歳になって、ようやく見栄えや聞こえのいい言動だけに飛びつくようなことがなくなった。

そして今では人の本当の姿を見るには、少なくとも3年くらいはかけてじっくりつき合った上のことでなければと思うようになっている。そうした鉄則を守って人に接していると、その人の外見や発言に裏切られて辛い悔しい思いをするということが今のところなくなっている。

麻生氏が、安部内閣の主要閣僚に選ばれたとき、「また、何かを…」とその失言を不安視すめ向きも少なくなかったのではないか。その麻生氏の、ナチス政権下での実質的な「改憲」を事例に引いた今回の発言が内外から批判を受けている。

きょうの新聞に、その発言要旨が載っているので読んでみた。確かに麻生氏は、その全体の論旨としては、憲法の改正論議は喧騒のなかではなく、静かな環境のもとで進めるべきだと語っている。

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ナチス政権下での、ワイマール憲法の実質的廃止に至る経過を、氏はその事例として引いたのだ。そして今後の改憲に当たっては、その「手口を学んではどうかね」などと…

この発言を読んで、冷静な改憲論議を進めるべきとの全体の文脈のなかで、なぜナチスの政権下の事例を引かなければならないのか、麻生氏の思考の展開が理解できない。氏は大の漫画ファンとして知られているが、この場合の発言も、つい「漫画的に」飛躍、調子づくことになったのか。

政治家というのは、歴史家とまではいえなくとも、自国や世界の歴史に対して、確たる認識を有することが不可欠ではないかと思っている。なのに、不用意・半可通な発言で、内外の批判を受けるのは何とも恥ずかしい限りだ。

民主党は、どこへ?

きのう、きょうの新聞に、民主党の海江田代表による菅元首相への離党勧告と、その後の経過が報じられている。過日の参院選で、元首相が無所属候補を応援したことに対するものだ。

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党が公認を取り消した候補者を支援するという、重大な反党行為に対して、党執行部は代表による先の勧告を取り消し、結局「3ヵ月の党員資格停止」で決着させた。鳩山元首相の「尖閣問題発言」に対しても、代表の「離党前にさかのぼって除名」の検討案に代えて、「厳重抗議」に留めることに…

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こんな結果になるのも、この党にあっては当然のこととも思う。旧社会党系から自民党系にいたる議員がともかく政権奪取を目標に寄り集まり、肝心の結党の理念・目標に関する討議を二の次にして、今日に至っているのだから…

しかし、こうした組織や集団は、何も民主党に限ったことではないのではないか。そもそも「何のために…」という議論より、目下当面の諸問題に目を奪われ、そのためのだけの議論に終始するというのは…

対症療法だけで何とかやり繰りが続けられる間はそれでもいいのかもしれないが、一たび党存立の根幹にかかわる大問題に当面するや、たちまち党員間で収拾のつかぬ議論に陥り、やがては離党者が続出することになる。「とにかく、今は…」の議論と同時に、やはり「そもそも、この党は…」への徹底した議論も大事なのだ。

自民党の大勝に…

今回の参院選では、早くから自民党の圧勝が報じられていた。そのとおりの結果が、きのうの投票で出た。

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この結果には、多くの評者が指摘しているように、先の政権交代への失望・幻滅がなお国民のうちに広く底流していることがあるように思う。必ずしも自民党への熱い期待によるものではなくして…

それは、今回の投票率が前回の参院選に比べて5ポイントも下回り、50%を切った県が11県に及んでいることにもうかがえるのではないか。政治そのものへの不信、白けた、うんざりした思い…

大勝した自民党にしても、もっぱら「アベノミクス」の当面の成果に争点を絞り、肝心の成長戦略の具体策や憲法改正、安全保障、TPP、消費税等の問題には故意に言及を避けている感さえあった。これらの問題への政策を詳細に論じ、訴え、説明して、そして国民的議論にまで広げていくところにこそ、今回の参院選の意義があったと思われるのに…

民主主義とは、一般国民による、国家・社会づくりへ向けた議論の裾野と、代表者たる議員によるハイレベルな議論とを双方の側からくり返しつないでいく努力ではないか。そのつながりが実感できないところに、今回の選挙結果に今一つ期待の湧いてこない要因があるようにも思う。

「子供たちの夢」に…

きのうの新聞に、子供たちの「大人になったらなりたいもの」調査の結果が出ていた。調査は昨年、全国の幼稚園・保育園児と小学生約14万人を対象にして行われたそうだ。

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男子も女子も、テレビなどによく登場したり話題になったりしている職種が多いようだ。男子で「学者・博士」が2位になっているのは、山中教授のノーベル賞受賞報道に影響されるところが大きかったのだろうか。

この種の調査で政治家が選ばれなくなってから久しいが、それも、テレビなどで毎日のように学者や評論家から批判・揶揄のやり玉にされているからではないか。それに、選挙になれば、ただ頭をぺこぺこ下げているばかりの姿格好にも…

かつて自民党の大物政治家から国会議員への出馬を勧められた三島由紀夫が、有権者に追従している選挙のことを思うと、「ぞっとする」とどこかに書いていた。三島由紀夫ならずとも、およそ政治家が羨望や尊敬に値する職種でないことは子供たちにも見えているのだろう。

しかし、政治家の仕事というのは、サッカー選手や学者のように晴れがましく格好のよいことを云ったりしたりできもものではなく、つねに現実世界で泥んこになって悪戦苦闘しなければならないものなのだ。そんな仕事が子供から眼を向けられないというのは、けっして見過ごしてよいこととは思われないのだが…

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