気ままにエッセイ

2012年、混沌から新しい時代へ...

スポーツ

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 大相撲の初場所が進行中である。朝青龍の進退がかかった場所ということで注目が集まっているようであるが、彼の言動や強さが背景にあることも事実だろう。
 賛否両論がある。横綱らしからぬ言動はケシカランという人もいれば個性が際立つ悪役的な強さに魅力を感じる人もいる。当然と言えば当然なのかもしれない。相撲と格闘技をオーバーラップさせているひとからみれば朝青龍の存在は興行的には魅力だ。一方、単なるスポーツではないと思えば前者のような発言が出てくる。その辺の折り合いの付け方が非常に中途半端なのである。
 日本にはそもそもスポーツなどなかったのだろう。戦いのための武術で技を鍛える。必然的に体ができ、やがて心のあり様が優劣を決めることに気づいた。内面を磨いていくことが完成への最後のステップであると日本人は悟ったのだ。その長い努力の過程が「道」となった。ゆるぎない自分自身、人間を確立することが究極の目標なのである。
 プロスポーツにおいても似たような世界がある。欧米の一流プロに多々見られるようにファンを最も大事にする姿勢が自らを立派な社会人へと磨き上げ、それが好ましい人間として尊敬の対象になっていくことはある。が、日本人の「道」が目指しているものとは本質的な違いがあるのではないか。
 相撲興行は誰がみてもスポーツ興行である。格闘技の興行と何ら変わらない。お金を取って見せるプロのスポーツである。その時点で既に本来の相撲道が目指しているものから訣別していたはずである。しかし、残骸と化した心・技・体に今なおこだわり続けているために混乱が生じる。日本的「心」を欠いた横綱をクビにすることも指導することすらもできない。魂を売ってしまった例は他にもある。谷亮子選手のオリンピックでの試合は勝敗もさることながら日本人が期待する柔道からほど遠い展開に失望した人も多かったに違いない。
 お金への飽くなき欲求を膨らませている今のプロにとっては道や心は二の次である。というより関係のない世界だ。協会自体にすでに心・技・体など存在しないと鋭く本能的に看破しているからこそ朝青龍は格闘技に徹しているのだろう。風潮から言えば朝青龍のほうがマトモで相撲協会のほうがむしろ勘違いしているのかもしれない。

プロスポーツ

 身体を動かすことには本能的な衝動があるに違いない。感情を表現するために踊る。どの国、どの民族にも必ず舞踊なるものが文化としてある。身体を動かすことはまた、肉体的機能の表現でもあり、古来さまざまな形態のスポーツが考案されてきた。そこには本能的な衝動を満足させる喜びと同時に肉体的表現における美を賛美する文化が育まれてきたともいえよう。
 スポーツの場合には美の客観化として記録というものが付き纏う。記録であれば、それは競争という形で塗り替えられていくのは、必然かもしれない。しかし、美というものは、本来、競争とは無縁のものであるはずだ。少なくとも量的に計測することは不可能なはずである。が、いつの間にか競争が前面に押し出され、さらには競争そのものが美であるような錯覚さえ抱かされてしまっている。そこに巧妙な堕落の萌芽があると見るのは穿ち過ぎであろうか。
 スポーツのプロ化は肉体の機能美を道具にした競争そのものの世界である。そこにはもはや競争原理しかない。加えて多額の賞金や契約金は徒に射幸心を煽る。多くの若者が一流プレイヤーを夢見て人生のなかで最も貴重な時間のほとんどをつぎ込む。が、マスコミの世界で取り上げられるほどに成功するのは極々一部の天賦の才と努力の才と幸運を併せ持った人間だけだ。不運にも機会を逸した若者たちは全てを失い、あらたに社会への適合を考えていかねばならない。もちろん第二の人生で成功する人々もいようが、敗者には何も残らない、あるいは残す術がないようなシステムは単に人的資源の無駄使いであり、社会に疲弊をもたらすだけだ。
 芸術家の場合は美を表現したいという内なる叫びが根底にあるはずだ。それは決して競争ではない。食えなくても、という気概がそこにある。表面の華やかさとは裏腹に競争を美化させ人生や社会などを堕落させる罠がプロスポーツにはある、と私には思えるのである。

ヨーイ、ドン

 世界陸上が始まるということでメディアも宣伝に余念がない。知らない間に記録もどんどん向上しているようで、100m走では9秒77が今の世界記録だ。随分速くなったものだとびっくりする。どこまで記録が伸びるかということもひとつの大きな興味だが同時に限界がはっきりしたらこの種のスポーツはどういう意味を持つのだろうかということもまた関心のあるところではある。
 ところで時間を競う競技においては相変わらずスターターピストルなるものを使用しているのだろうか。先日、コマーシャルを見ていてふと疑問を感じたことがある。
 100m走でスタートラインに選手が横一列に並ぶ。その延長線上のサイドでスターターがピストルを鳴らす。そのとき一番手前の選手と一番奥の選手を比べた場合、音の届く時間に違いがあり不公平なのではないかということだ。音速は15度ぐらいの気温で秒速340m程度である。したがい1m進むのに要する時間は0.0029秒。手前と奥で10mの距離差があると音の届く時間差は0.029秒となる。記録が百分の1秒のレベルで争われている100m走などにおいては無視できない差ではないか。
 水泳のように競技の場の波などによる物理的条件の違いが無視できないものでは予選の成績によって泳げるコースが決まるもののようであるが、陸上ではサイドに障害はないし、とにかく一番速い選手は他の選手の影響を受けないわけであるから、100m走においては予選の成績順でスターター側から順番に並べたら、世界記録は直ぐにでも0.01秒ぐらいは速くなりそうだ。
 それでも、どんなに頑張ってもチーターには勝てないわけで、些細な話でどうでもよいことではありました。

野球選手の流出

 松坂投手の大リーグ移籍が話題だ。その契約金額の多さは年末ジャンボ宝くじも遠く霞んでしまうほどで庶民には夢のまた夢である。
 おおむね好意的な記事が多い中で、このような多額の契約金額でスター選手が流出していくことに批判的な評論家もいる。野球界の衰退につながるということのようだが・・
 短絡的かもしれないが、その世界が一部のスター選手に支えられているとすれば、それはその選手が自らの才能を自らの努力で開花させた結果がファンの支持を受けファンをつなぎ留めているだけで野球界そのものの努力ではないように思う。例えば松井選手が抜けたから巨人が衰退したとすれば、松井選手以外誰も何も努力していなかったことになる。
 プロスポーツ選手は一般的に選手寿命が短い。だからより高額な契約金額を求め、より魅力のある環境のなかでやりたいと願うことは、現在のシステムのなかでは至極当然であると思う。批判に当たるどころかむしろ歓迎すべき状況だと思うのである。個人にも球団にもお金が入る。新しい才能が活躍できる場が提供できる。あとは球界の努力次第だ。
 一般にプロの世界は自分を必要としている人をたくさん作ることが絶対条件であると思う。仕事でもしかり。スポーツならばファンを増やすこと、大事にすることが最重要だ。
 アメリカでは、記憶に間違いがなければ、ファールボールは取れば貰える。有名選手が投げ、憧れの選手が打ったボールを手にする機会が増えたら子供たちはどんなに喜ぶだろう。見事キャッチしたら誇らしげに一生の宝物にするだろうし、ずっとファンであり続ける。かたや、日本でサインを求められたプロが差し出された色紙とサインペンを見て、キャップぐらいは取れよ、と言うのでは雲泥の差である。

バレーボール総身長制

 世界バレーで日本が頑張っている。女子に続いて男子も8強入りを果たした。国際試合の舞台では不振が続いていたのでこれは快挙だ。
 ところで、バレーには何故、階級制のようなものがないのだろう。最近は身長の高い選手が多く、ロシアはなんと2m以上が7人、そのうち210cm以上は3人だ。ブロックの上から打込まれるスパイクは防ぎようがない。世界最速を争うスプリンターのような絶対値を追い求める種目は別として、スポーツは身体的条件で優劣が決まると面白さも半減する。
 レスリング、ボクシングなどは重量別だ。小さな者が大きい者を倒すところに美を感じる柔道でさえ重量制である。  
 バレーの場合は身長差が優劣に大きく影響する団体競技であるから、総身長制でやったらスポーツとしてより公平になるのではないか。出場選手の総身長を何cm以下とするのである。さらに階級制にしても良いかもしれない。いろいろ利点がある。公平さはもちろんのこと、選手構成の戦略が多様化する、身長の低い選手の出場機会が増える、などが考えられる。
 体格というのは、国や民族によって随分違う。ひとつの国であっても中国などでは漢民族は大柄だが、南方系は一般に華奢で背が低い。現状のままではバレーに有利な国や民族が出てきて世界選手権などという肩書きで争うには不適当ということになる。
 最も大事なことはスポーツ愛好者の底辺を拡大することだろう。一部の大男、大女だけのスポーツとなれば、国が強制的にでもやらせなければ、どんどん愛好者が減る。ついには、その競技そのものが衰退することにもなりかねない。

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