のんびりと古代史

自分なりに「削偽定実」を試みる。

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播磨国家島に到りし時

続日本紀によると、天平8年の遣新羅使は新羅国で門前払いを食わされて
帰国の途につくことを余儀なくされた。
さらに帰路対馬において大使阿倍朝臣継麻呂が亡くなっている。
副使大伴宿禰三中も罹病し上陸後も入京できなかったことが記されている。
一行にとって新羅で使命を果たせなかったことが余程無念だったのだろう。
万葉集には往路対馬で詠んだ18首の後は
播磨家島に到着して詠まれた5首が載るだけで、
対馬で没した大使阿倍継麻呂への挽歌も詠まれた形跡がない。
 
「筑紫に廻り来て、海路より京へ入らむとして、
播磨国家島に到りし時、作れる歌五首」
 
3718 家島(いへしま)は 名にこそありけれ 海原(うなはら)を
                      吾(あ)が恋ひ来つる 妹もあらなくに
     (
伊敝之麻波 奈尓許曽安里家礼 宇奈波良乎 安我古非伎都流 伊毛母安良奈久尓)
拙訳:ここは家島という名前だけれど、私は海原を恋い慕ってきたが妻はここにはいない。
 
3719 草まくら 旅に久しく あらめやと
                      妹にいひしを 年の経ぬらく
     (
久左麻久良 多婢尓比左之久 安良米也等 伊毛尓伊比之乎 等之能倍奴良久)
拙訳:それほど長い旅にはならないと妻に言ったが、思いのほか長引いて年を越えてしまった。
3720 吾妹子を 行きて早(はや)見む 淡路島
                      雲居に見えぬ 家つくらしも
     (和伎毛故乎 由伎弖波也美武 安波治之麻 久毛為尓見延奴 伊敝都久良之母)
拙訳:早く行って妻に会いたいものだ。淡路島が遠くに見えてきた。いよいよ家が近づいてきたらしい。
3721 ぬばたまの 夜明しも船は こぎ行かな
                      御津の浜松 待ち恋ひぬらむ
      (奴婆多麻能 欲安可之母布弥波 許藝由可奈 美都能波麻末都 麻知故非奴良武)
拙訳:夜通し船を漕いで行こう。御津の浜松が待ち焦がれていることだろう。
 
3722 大伴の 御津(みつ)の泊りに 船(ふな)泊(は)てて
                      龍田(たつた)の山を いつか越え行かむ
     (
大伴乃 美津能等麻里尓 布祢波弖々 多都多能山乎 伊都可故延伊加武)
拙訳:御津港に船を泊めて龍田山をいつの日か越えて行くのだろう。


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