のんびりと古代史

自分なりに「削偽定実」を試みる。

遣新羅使(天平八年)の歌

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全6ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6]

[ 前のページ | 次のページ ]

遣新羅使船は熊毛浦で舶泊した後、佐婆海中(防府沖)で台風に遭遇し漂流を余儀なくされる。
何とか遭難することなく豊前国に到着できたという。
周防国佐婆は、日本書紀には景行紀、仲哀紀、神功紀、雄略紀に出てくる、古代史においては重要な意味を持つ地名である。
 
「佐婆の海中にして忽ちに逆風漲浪(さかしまかぜ)に遇ひ、漂流ひて宿を経たり。
しかありて後に、幸に順風を得、豊前国下毛郡分間浦に到り着きぬ。
ここに追いて艱難を怛み(いたみ)、悽惆へて(いたみうれへて)作れる歌八首」
 
3644 大君の 命(みこと)かしこみ 大船の
                     行きのまにまに やどりするかも
     (於保伎美能 美許等可之故美 於保布祢能 由伎能麻尓末 夜杼里須流可母)
拙訳:大君の命令に従って遣新羅使船の航海のままに舶泊することになるのでしょう。
 
3645 吾妹子(わぎもこ)は 早も来ぬかと 待つらむを
                     沖にや住まむ 家つかずして
    (和伎毛故波 伴也母許奴可登 麻都良牟乎 於伎尓也須麻牟 伊敝都可受之弖)
拙訳:妻は私が早く帰ってくることを期待して待っていることだろう。私は陸には戻れずに沖にずっと居るのだろうか。
 
3646 浦廻(うらみ)より こぎ来し船を 風早み
                     沖つ御浦(みうら)に 宿りするかも
     (宇良末欲里 許藝許之布祢乎 風波夜美 於伎都美宇良尓 夜杼里須流可毛)
拙訳:海岸沿いを航行してきたが強い風にあおられ流されて、沖の海神の浦に泊まることになるのだろう。
 
3647 わぎもこが いかに思へか ぬばたまの
                     一夜(ひとよ)もおちず 夢(いめ)にし見ゆる
     (和伎毛故我 伊可尓於毛倍可 奴婆多末能 比登欲毛於知受 伊米尓之美由流)
拙訳:妻はどんな気持ちでいるのだろうか。私は一夜も欠かさず妻の夢を見ているのだが。
 
3648 海原の 沖べに燭(とも)し 漁(いさ)る火は
                     明(あか)してともせ 大和島見む
     (宇奈波良能 於伎敝尓等毛之 伊射流火波 安可之弖登母世 夜麻登思麻見無)
拙訳:海原の沖に灯っている漁師の船の灯は大和島が見えるようにもっと明るく照らしてほしい。
  
3649 鴨じもの 浮宿(ね)をすれば 蜷(みな)の腸(わた)
                     か黒(くろ)き髪に 露ぞ置きにける
      (可母自毛能 宇伎祢乎須礼婆 美奈能和多 可具呂伎可美尓 都由曽於伎尓家類)
拙訳:鴨のように波の上で浮き寝していると、蜷貝のはらわたみたいな黒い髪に波の飛沫がついてしまう。
 
3650 ひさかたの 天照る月は 見つれども
                      吾(あ)が思ふ妹に あはぬころかも
      (比左可多能 安麻弖流月波 見都礼杼母 安我母布伊毛尓 安波奴許呂可毛)
拙訳:夜空に光る月を眺めても恋しい妻には会えないのだろう。
 
3651 ぬばたまの 夜渡る月は 早も出でぬかも 海原の
                      八十島の上ゆ 妹が邊見む
      (奴波多麻能 欲和多流月者 波夜毛伊弖奴香文 宇奈波良能
                           夜蘇之麻能宇倍由 伊毛我安多里見牟)
拙訳:夜空を渡る月は早く出ないだろうか。月が出たら島々の向こうに妻がいる奈良の都のあたりを見てみよう。

遣新羅使船は台風のため沖の彼方に追いやられて、自分たちのいる場所もわからないようになったものと思われる。
しかし、ここに出ている和歌にはあまり危機感はなく達観しているようだ。
3650,3651は嵐が去った後の夜空の月をテーマにしているのか。



 
麻里布浦に寄らず、沿岸を素通りした後、遣新羅使船は大島の鳴門を過ぎて、潮待ち(?)でどこかで2泊し、熊毛浦に船泊する。
となると、麻里布浦は岩国市辺りということになるのだろうか。
万葉集の和歌の並べ方が間違っているのか、船が行ったり来たりしているのか、あるいは当時の海岸線や島の配置が全く異なっていたのか、なかなかすっきりしない点は多い。
 
「大島の鳴門を過ぎて再宿を経し後、追ひて作れる歌二首」
(大島の鳴門:大畠町と屋代島の間の海峡、大畠瀬戸。
         阿波の鳴門と並んで渦潮で名高い)
 
3638 これやこの 名に負ふ鳴門の 渦潮に 
                     玉藻刈るとふ 海人娘子ども
    (巨礼也己能 名尓於布奈流門能 宇頭之保尓 多麻毛可流登布 安麻乎等女杼毛)
拙訳:これが、有名な鳴門の渦潮で玉藻を刈り取っている海人の娘子たちなのか。
    (田邊秋庭作:田辺史氏の一族か)
 
3639 波の上に 浮宿せし夜 あど思へか 
                     心愛しく 夢に見えつる
    (奈美能宇倍尓 宇伎祢世之欲比 安杼毛倍香 許己呂我奈之久 伊米尓美要都流)
拙訳:海上の波の上で泊まっている夜に、(妻が今)どう思っているのだろうか、(妻の気持ちを考えると)心悲しくなる夢を見たことよ。
 
「熊毛浦に舶泊せし夜、作れる歌四首」
 
3640 都べに 行かむ船もが 刈菰の 
                     乱れて思ふ 言告げやらむ
    (美夜故邊尓 由可牟船毛我 可里許母能 美太礼弖於毛布 許登都甚夜良牟)
拙訳:都に向う船がないだろうか。私の乱れた心境を(都の人たちに)告げて欲しい。
 
3641 あかときの 家恋しきに 浦廻(うらみ)より
                   楫の音するは 海人(あま)娘子(をとめ)かも
    (安可等伎能 伊敝胡悲之伎尓 宇良末欲理 可治乃於等須流波 安麻乎等女可母)
拙訳:明け方の家を恋しく思っている時に岸辺に沿って船を漕ぐ音がするのは海人の娘子たちだろうか。
 
3642 沖べより 潮満ち来らし 可良の浦に
                     求食(あさり)する鶴(たづ)鳴きて騒きぬ
    (於枳敝欲理 之保美知久良之 可良能宇良尓 安佐里須流多豆 奈伎弖佐和伎奴)
拙訳:沖から潮が満ちてきたようだ。可良の浦で餌を食べている鶴が鳴いて騒いでいる。
 
3643 沖べより 船人のぼる 呼び寄せて
                     いざ告げ遣(や)らむ 旅の宿(やどり)を 
                          旅の宿を いざ告げやらな 
     (於吉敝欲里 布奈妣等能煩流 与妣与勢弖 伊射都氣也良牟 多婢能也登里乎)
拙訳:沖に都へ向かう船人がいるようだ。こちらに呼び寄せてこの旅の様子を告げてもらうことはできないだろうか。
 

麻里布浦を行きし時

「周防濃く玖珂郡麻里布浦を行きし時、作れる歌八首」
 
長門島(倉橋島)を出た遣新羅使船は麻里布浦にさしかかる。
麻里布浦がどこなのかまだはっきりしていないらしい。
岩国市にも田布施町にも麻里布という地名はあるという。
地名は万葉集に因んで後から付けた可能性もあるので、同じ地名があるからと言って必ず比定できるとは限らない。
ここに紹介されている和歌の内容を考えると、熊毛半島(室津半島)近辺のあたりのことなのではないかと思う。
八首の中には「見れど飽かぬ」を歌いこんでいる歌が二首ある。
「見れど飽かぬ」は人麻呂の歌にあることはよく知られており
(万葉集36「・・・瀧の宮處は見れど飽かぬかも」)、
王の住む場所や神の宿る場所などによく使われている。
熊毛半島には古墳時代に、瀬戸内海航路の中継点として繁栄を極めた熊毛王国があったという。
このあたりには前方後円墳が多数存在している。
神花山(じんがやま)古墳には壮年女性の人骨が納められていた。
5世紀初めの古墳で、日本書紀で言うと応神帝の頃か。
その頃熊毛王国には女王が君臨していたことになる。
麻里布という名の女王だったかもしれない。
女王の名にちなんで麻里布浦と名づけられたとすると、想像はどんどん膨らんできそうだ。
遣新羅使には麻里布浦辺りは、熊家王国の領土だったという知識があったのだろう。
「見れど飽かぬ」という言葉には、2〜300年前の王国の歴史を意識した背景があったのかもしれない。
この辺りは遠浅干潟が続いており、潮の干満で船の航行が制限された。
干潮時には麻里布で潮待ちする必要があったが、遣新羅使船が航行した時はちょうど満潮だったのだろう。
3630、3632の作者(同一人物か)は「麻里布の浦にやどりせましを」と麻里布浦に泊まらずに通り過ぎてしまうことを残念がっている。
 
3630 真楫貫き 船し行かずは 見れど飽かぬ
                   麻里布の浦に 宿りせましを
    (真可治奴伎 布祢之由加受波 見礼杼安可奴 麻里布能宇良尓 也杼里世麻之乎)
拙訳:船が通り過ぎてしまわなくても良いのであれば、あの麻里布浦に泊まりたいものだ。
 
3631 いつしかも 見むと思ひし 粟島を 
                   外にや恋ひむ 行くよしをなみ
    (伊都之可母 見牟等於毛比師 安波之麻乎 与曽尓也故非無 由久与思<乎>奈美)
拙訳:以前から見たいと思っていた粟島を残念ながら行くことはできないので、遠くから眺めて思いを募らせている。
 
3632 大船に 戕牁(かし)振り立てて 浜清き 
                   麻里布の浦に 宿りかせまし 
   (大船尓 可之布里多弖天 波麻藝欲伎 麻里布能宇良尓 也杼里可世麻之)
拙訳:我々が乗っている大船を杭につないで、美しい浜の麻里布浦に泊まることはできないだろうか。
 
3633 粟島の あはじと思ふ 妹にあれや 
                   安寐(やすい)も寝ずて 吾が恋ひわたる
   (安波思麻能 安波自等於毛布 伊毛尓安礼也 夜須伊毛祢受弖 安我故非和多流)
拙訳:粟島はもう妻と逢わじと思えということか。そう思うとかえって妻のことが安眠できないほど恋しくなってきた。
 
3634 筑紫道の 可太の大島 暫(しまし)くも 
                   見ねば恋しき 妹を置きて来ぬ
   (筑紫道能 可太能於保之麻 思末志久母 見祢婆古非思吉 伊毛乎於伎弖伎奴)
拙訳:筑紫航路にある可太の大島よ、束の間でも逢わなければ恋しくなる妻を置いてきてしまった。
 
3635 妹が家路 近くありせば 見れど飽かぬ 
                   麻里布の浦を 見せましもの
    (伊毛我伊敝治 知可久安里世婆 見礼杼安可奴 麻里布能宇良乎 見世麻思毛能)
拙訳:妻がいる我が家までの道のりが近かったらこの素晴らしい麻里布浦を是非見せたいものだ。
 
3636 家人は 帰り早来と 伊波比島 
                   斎ひ待つらむ 旅行く吾れを
     (伊敝妣等波 可敝里波也許等 伊波比之麻 伊波比麻都良牟 多妣由久和礼乎)
拙訳:家にいる妻は早く帰れるようにと、伊波比島の名のように、旅行く私の安全を祈って待っていてくれるだろう。
3637 草枕 旅行く人を いはひ島 
                   幾代経るまで 斎ひ来にけむ 
     (久左麻久良 多妣由久比等乎 伊波比之麻 伊久与布流末弖 伊波比伎尓家牟)
拙訳:旅行く人の安全を祈るといういはい島、何代前の時代から祈って来てくれたのだろう。
3627の長歌はこれまでの短歌をつなげてここまでの旅をひとまとめにして記す意味があるのだろう。
 
「物に属(つ)きて思を發(おこ)せる歌一首幷に短歌」
3627 朝されば 妹が手にまく 鏡なす 三津の浜びに 大船に
    真舵(まかじき)繁貫(しじぬ)き 韓国(からくに)に 渡り行かむと
    直向ふ 敏馬(みぬめ)をさして 潮待ちて 水脈(みを)引き行けば
     沖(おき)辺(へ)には 白波高み 浦廻(うらま)より 漕ぎて渡れば
    吾妹子に 淡路の島は 夕されば 雲居隠りぬ さ夜更けて
    ゆくへを知らに 吾(あ)が心 明石の浦に 船泊めて 浮寝をしつつ
     わたつみの 沖(おき)辺(へ)を見れば 漁(いさり)する
    海人(あま)の娘子(をとめ)は 小舟乗り つららに浮けり
    暁の 潮満ち来れば 葦辺には 鶴(たづ)鳴き渡る
    朝なぎに 船出をせむと 船人も 水手(かこ)も声呼び
    にほ鳥の なづさひ行けば 家島は 雲居に見えぬ 我が思へる
    心なぐやと 早く来て 見むと思ひて 大船を 漕ぎ我が行けば
    沖つ波 高く立ち来ぬ 外のみに 見つつ過ぎ行き 玉の浦に
    船を留めて 浜びより 浦(うら)礒(いそ)を見つつ 泣く子なす
    音のみし泣かゆ わたつみの 手巻の玉を 家づとに
    妹に遣らむと 拾(ひり)ひ取り 袖には入れて 帰し遣る
    使(つかひ)なければ 持てれども 験(しるし)を無(な)みと また置きつるかも
 
    (安佐散礼婆 伊毛我手尓麻久 可我美奈須 美津能波麻備尓 於保夫祢尓
     真可治之自奴伎 可良久尓々 和多理由加武等
     多太牟可布 美奴面乎左指天 之保麻知弖 美乎妣伎由氣婆
     於伎敝尓波 之良奈美多可美 宇良末欲理 許藝弖和多礼婆
     和伎毛故尓 安波治乃之麻波 由布左礼婆 久毛為可久里奴 左欲布氣弖
     由久敝乎之良尓 安我己許呂 安可志能宇良尓 布祢等米弖 宇伎祢乎詞都追     
     和多都美能 於枳乎見礼婆 伊射理須流
     安麻能乎等女波 小船乗 都良々尓宇家里
     安香等吉能 之保美知久礼婆 安之辨尓波 多豆奈伎和多流
     安左奈藝尓 布奈弖乎世牟等 船人毛 鹿子毛許恵欲妣
      柔保等里能 奈豆左比由氣婆 伊敝之麻婆 久毛為尓美延奴 安我毛敝流
     許己呂奈具也等 波夜久伎弖 美牟等於毛比弖 於保夫祢乎 許藝和我由氣婆     
     於伎都奈美 多可久多知伎奴 与曽能末尓 見都追須疑由伎 多麻能宇良尓     
     布祢乎等杼米弖 波麻備欲里 宇良伊蘇乎見都追 奈久古奈須
     祢能未之奈可由 和多都美能 多麻伎能多麻乎 伊敝都刀尓
     伊毛尓也良牟等 比里比登里 素弖尓波伊礼弖 可敝之也流
     都可比奈家礼婆 毛弖礼杼毛 之留思乎奈美等 麻多於伎都流可毛)
拙訳:朝になれば妻が手にしている鏡のような海面の御津の港から大船に何本を櫂を通して韓国へ渡ろうとまっすぐに敏馬に向って潮を待って波を分けて進んでいけば沖には白波が高くたち海岸に沿って漕ぎ渡ればもう妻に会うことができない淡路の島は夕方になれば見えなくなってしまう。夜が更けて何処にいるのかわからずに明石の浦に船をとめて、仮眠をとりながら沖を見ると漁をしている海人の娘が小船に乗って並んで波に浮いている。明け方潮が満ちてくると葦辺には鶴が鳴きながら渡ってくる。朝凪のうちに船を出そうと船人も漕ぎ手も声を掛けながら進んでいく。かいつぶりのように漂い行けば、家島は蜘蛛の彼方に見えてくるとようやく私の心はなごみ、早く到着して家島を見たくて大船を漕いで進んだが沖の波は高く立つので外から見るだけで通り過ぎ、多麻の浦に船をとめて浜から浦磯を見て泣く子供のように声を上げて泣いてしまう。海神が手に持つという真珠を妻に挙げようと思って拾って袖に入れたが奈良の都に帰る使いもいないので仕方なしにまた捨ててしまった。
 
「反歌二首」
3628 多麻の浦の 沖つ白玉 拾(ひり)へれど
                   またぞ置きつる 見る人をなみ
     (多麻能宇良能 於伎都之良多麻 比利敝礼杼 麻多曽於伎都流 見流比等乎奈美)
拙訳:玉の浦の沖の真珠を拾ったけれど、見てくれる人もいないのでまた返してしまった。
 
3629 秋さらば わが船泊(は)てむ 忘れ貝
                   寄せ来て置けれ 沖つ白波
     (安伎左良婆 和我布祢波弖牟 和須礼我比 与世伎弖於家礼 於伎都之良奈美)
拙訳:秋になったら私の船はまたここに来て泊まるだろう。沖の波よ、その時はまたこの貝をこちらに寄せてきておくれ。

 
 
長門浦より夜の海に出航した時に作られた歌3首の後に、「古き挽歌一幷に短歌」と前書きされ、短歌の後には左書きで、
「右は、丹比(たじひ)大夫の、亡し(すぎにし)妻を悽愴める(いためる)歌」
とある。
短歌は遣新羅使の贈答歌などと歌想が似ており、贈答歌などの作者が丹比大夫なのか、丹比大夫の歌をお手本にして作歌していたのか。
 
3625 夕されば 葦辺に騒き  明け来れば 沖になづさふ 鴨すらも
    妻とたぐひて 我が尾には 霜な降りそと 白栲の 羽さし交(か)へて
    うち掃(はら)ひ さ寝とふものを 行く水の 帰らぬごとく 吹く風の
    見えぬがごとく 跡もなき 世の人にして 別れにし
    妹が着せてし なれ衣 袖片敷きて ひとりかも寝む
     (由布左礼婆 安之敝尓佐和伎 安氣久礼婆 於伎尓奈都佐布 可母須良母
      都麻等多具比弖  和我尾尓波 之毛奈布里曽等 之露多倍乃 波祢左之可倍弖
      宇知波良比 左宿等布毛能乎 由久美都能 可敝良奴其等久 布久可是能
      美延奴我其登久 安刀毛奈吉 与能比登尓之弖 和可礼尓之
      伊毛我伎世弖思 奈礼其呂母 蘇弖加多思吉弖 比登里可母祢牟)
拙訳:夕方になると葦の海辺で騒ぎ、夜が明けると沖に漂っている鴨でさえも、妻と寄り添って尾羽に霜が降りないようにお互いに羽を交わして払い合い共寝をするというのに。流れてしまった水が還らないように、吹く風が見えないように、亡くなってこの世に跡形もなくなってしまった妻が着せてくれた着なれた衣の片袖を敷いてひとり寝ることにしよう。
 
   「反歌一首」
   (反歌:長歌の終わりに詠み添える短歌。
    長歌の大意をまとめ、またはその意を補うもの。)
3626 鶴(たづ)が鳴き 葦辺をさして 飛び渡る 
                     あなたづたづし ひとりさ寝れば
    (多都我奈伎 安之倍乎左之弖 等妣和多類 安奈多頭多頭志 比等里佐奴礼婆)
拙訳:夜が明けて鶴が鳴きながら葦辺に向って飛んでいく。ひとり寝はなんとやるせないものなのだろうか。
3625の挽歌、3626の短歌はどちらも丹比大夫の作となっている。
前書きに「古き挽歌」とあるので、丹比大夫がこの遣新羅使船にのっていたわけではなさそうだ。となると、贈答歌をはじめこの遣新羅使の歌を多く作ったとみられる人は、丹比大夫の影響を強く受けて歌を作っていたことになる。人麻呂の歌をお手本に作った歌もいくつか紹介されていたが、当時は良い歌を真似て作歌することは当たり前のこととして行われていたのかもしれない。むしろ良い歌を知っていることとして教養があることを示す証拠であると
賞賛されていたとも思えるがいかがだろうか。

全6ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6]

[ 前のページ | 次のページ ]


.
記紀いっぱつ
記紀いっぱつ
男性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

Yahoo!からのお知らせ

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
お肉、魚介、お米、おせちまで
おすすめ特産品がランキングで選べる
ふるさと納税サイト『さとふる』
コンタクトレンズで遠近両用?
「2WEEKメニコンプレミオ遠近両用」
無料モニター募集中!
話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事