のんびりと古代史

自分なりに「削偽定実」を試みる。

三種の神器

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「古今著聞集」は鎌倉時代に伊賀守橘成季によって編纂された、
20巻700話の説話集である。
今昔物語集に次ぐ大部の説話集。
この中に、『内侍所の事』として神鏡に関する話が書かれている。
それによると、
内侍所(以下神鏡と記す)は元々は清涼殿に納められていたが、
いつのことかはもうすでに分からないけれども
温明殿に移されたという。
 
村上帝の天徳四年の火災の時には、
神鏡は自ら飛び出して南殿の桜の木にひっかかっていたのを、
左大臣藤原実頼がひざまづいて眼を閉じて上着の袖を広げると、
袖の中に入ってきたという。
そのことは村上天皇御記にも出てくるが、
ここには左大臣藤原実頼のことは出てこない。
古今著聞集は「おぼつかなし。」と述べている。
いつの時か左大臣が自分の手柄話にでっちあげてしまったようだ。
さすがの左大臣も天皇の日記まで関与することはできなかったのだろう。
 
寛弘二年の焼亡(火事)の時には、
焼けはしたが少しも破損しなかった、
と日本紀略などに書かれている。
 
その後長久元年(1040年)の焼亡の時には、
神鏡は「焼損」してしまい、
焼けてしまった灰を集めて「唐櫃」に納めて今に至っているという。
長久元年の火事については、
藤原資房の日記(「春記」)に記されているが、
そこでは御體焼残り五、六寸許を集め、
さらに散らばっている二、三寸許を集めたと書かれている。
いずれにしても長久元年の焼亡では神鏡は大きなダメージを受けたらしい。
現在の宮中にあるのがその焼き残りかどうかは誰にもわからない。
古今著聞集の『内侍所の事』は、
神鏡の変わりゆくさまは世の中の降りゆくさまを示しているようで、
悲しむべきことだ、と結んでいる。
この説話の著者は神鏡が焼損したことを実際のことと信じている。
「扶桑略記」に逸文が残されている『村上天皇御記』に、
天徳4年9月23日の内裏が火災にあった時、
温明殿にあった八咫鏡が奇跡的に確保されたことが記されている。
 
「重光朝臣来奏云、依火気頗消、罷到温明殿所求見、
瓦上在鏡一面、径八寸許、頭雖有小瑕、専無損円規幷帯等甚以分明、
露出俯破瓦上、見之者无不驚感」
(重光朝臣がやって来て申すには、火気がかなり弱まったので温明殿に行ってみると、
瓦の上に径八寸ほどの鏡が一面あるのが見えた。少し瑕があったがほとんど損傷していなかった。
瓦の上に鏡が露に伏せてあるのを見た人はみんな驚いた。)
 
天徳の火災は平安遷都以来170年目にして
内裏が延焼した初めての火災だった。
宮中の警護に当たっている左衛門の詰所から真夜中に出火したらしい。
内裏は完全に焼失した伝えられる。
温明殿にあった三種の神器の一つ八咫鏡は、
奇跡的に焼けずに無事だったことが、
村上天皇の日記「村上天皇御記」に書かれている。
平安時代の天皇にとって三種の神器を身近に置いておくことは
地位保全のために余程重要なことだったようだ。
従って天皇の日記に記されている八咫鏡の奇跡を
そのまま信じることは難しいのかもしれない。
三種の神器については神皇正統記に詳しく書かれている。
天孫降臨に際して天照大神と高皇産霊尊が
皇孫瓊瓊杵尊に三種の神宝を授けた。
鏡については、
「吾児この宝鏡を視てまさに吾を見るが如し」として、
さらに、
「八坂瓊曲玉、天の叢雲の剣を加えて三種とす。」とある。
三種の神器は、
「この鏡の如く文明なるをもて天下に照臨し給へ。」
「八坂瓊のひろがれるが如く曲妙をもて天下をしろしめせ。」
「神剣をひきさげては不順る(まつろはざる)ものをたいらげ給へ。」
と位置付けている。
 
また三種の神器自体については、
「三種の神器世に伝ふること、日月星の点にあるに同じ。
鏡は日の體なり。
玉は月の精なり。
剣は星の気なり。」
と三種の神器を日月星に擬えて説明している。
 
由来について、
「彼の宝鏡はさきにしるしはべる
石凝姥命(いしこりどめのみこと、鏡造の祖)の作り給へりし八咫の御鏡」
「玉は八坂瓊の曲玉、玉屋命(玉造の祖)作り給へるなり。」
「剣は素戔嗚尊得給へる、大神に奉られし叢雲の剣なり。」
 
その効能は、
「鏡は一物をたくはへず。
私の心なくして、万象をてらすに是非善悪のすがたあらわれずといふことなし。
その姿に従ひて感応するを徳とす。これ正直の本源也」
「玉は柔和善順を徳とす。慈悲の本源也。」
「剣は剛利決断を徳とす。智慧の本源也。」
そして、
「この三徳をあわせ受けずしては、天下治まらんことまことに難かるべし。」
と三種の神器の継承の意義を述べている。
 
三種の神器について世間では、
「所々で(いろいろなことを)申し侍りしかども、」
神鏡については、
崇神帝の時代に鋳なおされたものが
現在内侍所にあるのであって、
正體(本物)は皇大神宮(伊勢神宮)に祝い奉っている、
と述べられている。
神剣も、
同様に正體は熱田神宮にあって、
西海(壇ノ浦)に沈んだのは
崇神帝の時代に作り変えられたものだと書かれている。
この伝で言うと、日本武尊はレプリカを宮中に残して東征に行き、
正體を宮簀媛のもとに残したことになる。
玉については、
「神璽は八坂瓊の曲玉と申す。神代より今に変わらず。」
天孫が高天原より持参したものがそのまま宮中にある、
と書かれている。
 
 

宝剣と源平盛衰記

平家物語の異本とも言われる「源平盛衰記」に「老松若松尋剣事」として、
壇ノ浦で海中に沈んだ宝剣のその後の物語が描かれている。
失われた宝剣のことを後白河法皇は大いに嘆かれて、
賀茂大明神に行方を聞いたところ、
壇ノ浦にいる老松、若松という海女の母娘に探させるようにと告げられる。
命を受けた義経は壇ノ浦へ行き、
老松若松に事の仔細を説明し宝剣を海中に探索させた。
一度海中に潜った後、
若松は自分の手には負えないとしたが、
母の老松は如法経を書写した服を身にまとって潜れば
何とか探せるかも知れないと言う。
貴僧を集めて如法経を書写させて老松に与えた。
海に潜った老松は一昼夜上がってこなかった。
皆が老松は死んでしまったと思ったころに老松は上がってきた。
老松の話では、海中に入り竜宮城のようなところへ行き、
宝剣の所在を尋ねると、庭上に通された。
御簾の中には大蛇が剣を口にくわえて
7,8歳の小児を抱いていた。
大蛇は「この剣は必ずしも日本の帝の宝に非ず、竜宮城の重宝也」、
「斐伊川の大蛇が安徳天皇となって、源平の乱れを起こして竜宮に返しとった」、
「この剣を日本に返すことはあるべからず」、
と言ったという。
その件の後に、
「疑うらくは崇神天皇の御宇に霊威を恐れて神鏡神剣を移して、
本をば大神宮に送らるといへり。」
とあって、
ここでも本物は熱田神宮にあることを主張している。

三種の神器と平家物語

平家物語には、
平家が持ち去った三種の神器を
後白河法皇が奪還しようと試みる件があり、
重要なモチーフとして描かれている。
源平の争いは三種の神器の争奪戦でもあった。
壇ノ浦の戦いで安徳帝と共に海に沈もうとしていた三種の神器を
源義経が確保して宮中へ納めようとする。
 
【鏡(内侍所)】
平重衡の妻輔子が鏡(内侍所)の入った唐櫃を持って入水しようとした時、
弓で袴の裾を船に射付けられて唐櫃は確保される。
唐櫃は無事に太政官の庁に戻されたという。(「内侍所都入」)
同条に、
「宝剣は失せにけり。」
「神璽は海上に浮かびたりけるを、
片岡太郎経春がとりあげたてまつたりけるとぞきこえし。」
とある。
ここには神鏡と神璽は無事だったが、
宝剣は失われてしまったことが記されている。
 
【剣】
景行紀には日本武尊が伊吹山に向かう時に
宮簀媛のもとに残していった草薙剣が
熱田社に納められていることが記されている。
平家物語「剣」条では熱田社の草薙剣が
天智七年に新羅僧道慶に盗まれた後、
道慶が崇りを受けたため元に戻したことが書かれている。
さらに朱鳥元年には天武帝が熱田社から宮中に取り寄せたとある。
今私たちが見ることができる日本書紀では、
天武帝の病は草薙剣の崇りとして剣を熱田社に納めたとあるので
記載内容が異なっているようだ。
平家物語では壇ノ浦で海に沈んで消失した草薙剣について、
ある博士が占った結果の話として以下のようなことを記している。
「昔出雲国斐伊川にて、素戔嗚尊に斬り殺された大蛇が、
霊剣を惜しむこころざしが深くあって、
八の頭と八の尾を表事として、人王八十代の後、
八歳の帝となって霊剣を取り返して、海底に沈み給うにこそ。」
元々の持ち主の八岐大蛇のもとに戻ったのだからしょうがないじゃないか、
と言っている。
 
 
 

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