着物あれこれ

もっと着物を楽しみましょう!

袴姿の小学校卒業生 - 2

私どものサイト「きものの出張着付け」を始めて 10 年近くになります。 現実には、次第に縁遠くなる '着物' ですが、まだまだ興味を持っていただく方々もいらっしゃるようで、これまで通り不定期の更新ではありますが、'着物のあれこれ' を書き綴ります。 目に留めていただければ幸いです。

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この時期、ママ友の間で '小学校の卒業式でわが子に袴を着けさせるのか' という話題が追加されるようです。 しかしながら、ママ友世代は、成人式に振袖を着る割合も今と比べるとグッと低かったはずで、その上、まだ夏に浴衣を着ることも流行っていなかったと思われます。

入学式や卒業式に出席される母親の着物着用に対しても厳しい意見が多く、まだまだ着にくい環境のところが多いようです。 従って、小学校を卒業する子どもに袴を着けさせるなど、数年前まで、筆者には想像できませんでした。

さて、記事によると卒業生女子の 4 割が袴姿だったところもあるとのこと! マーケティングの一般常識では、この数値は、一過性、限られた地域性などとはもはや言えず、全国的に広まっていく可能性が十分にあることを示しています。

着物に携わる私どもとしては、もちろん大変喜ばしいことなのですが、もしこの動きに寂しい思いをする子が一人でもいたら、やはり切なくてやるせなく、無条件に賛成できるわけありません。

もし和装の卒業式がさらに広がっていくのであれば、先ずは互助組織の体制作りから始められるべきでしょう。 東北、大船渡の綾里小学校では、例年新入生が和服で入学式に出席されているようですから、そこではどのような対応をされているのかをよく調べられれば参考になることでしょう。

若い世代が浴衣を夏ファッションの一つとしてとらえ、和装への抵抗感は大幅に小さくなっているようですし、七五三の和服姿も、以前よりずっと増えているように感じています。 さらに、10 代の初めに着物を着る機会が増えることは、業界にもとてもありがたいことですから、積極的な協力体制を期待しています。

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額裏

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女性和服のエスプリが「半襟」で示されるとしたら、男性では、やはり羽織の裏地柄(額裏)でしょう。 ただ、半襟が数センチでも、目線の高さで襟の内側に現れるのに対し、額裏が人目に触れることはありません。

2 年ほど前、TV ドラマ「まんまこと」の主人公が羽織っている「超ロング羽織」の額裏でも見せて貰えたらなどと夢想(時代的には早過ぎるかも)し、下記の文を著しました。 

男性の 羽織裏の絵柄(額裏) や女性の長襦袢の絵柄は、いずれも表から見えるものではありません。 だからこそ、究極のお洒落として、密かに競われていた時代があったのです。 表は地味な縞柄でも、さりげなく脇に置かれた羽織から、羽二重に染め抜かれた額裏が覗きます。

その場にいるごく限られた人々しか出会えない瞬間を互いに楽しむ真正の "粋" の世界です。 絵柄はやはり、虎、鷹、鯉、龍に獅子、もちろん富士や山水、はたまた春画などなど …。 TV ドラマ「まんまこと」の主人公ご愛用の長羽織にはどんな額裏が隠れているのでしょうか? (8-29-15)

半襟は付け替えも簡単で、皮脂から着物を守るという本来の目的もあるのですが、額裏は世界にあまり類を見ない、見えないおしゃれ! 自己満足のみで生まれたものなのに、それを '粋' という言葉で言い換えています。

明治維新の後、お役人と軍人は洋装に変わりましたが、ふだんは男も女も着物を着て生活していました。 江戸期以来の伝統で表地は地味目、大店のご主人でも、せいぜい唐桟縞くらいしかおしゃれの巾はありませんでした。

自ずと裏地に目が向かいます。 とりわけ屋内に入ると脱ぐことの多い羽織であれば、裏地が羽二重、さらには、そこに染柄が加わったのは、ごく自然の流れだったのでしょう。

江戸時代に普及した羽織のルーツは、その前の時代の陣羽織(当時は、胴着と言われていた)だったはずです。 陣羽織が、指揮官のシンボルだったのですから、平和の時代が訪れても、羽織は男のみが羽織るものと認識されていましたので、士分の他には、商家のご主人や幹部級のみが着用できるものでした。

従って、辰巳の芸者さんが、男名を名乗り、羽織を粋に着こなして街中に現れると、即、規制の対象になってしまいます。 従って、女性が羽織を着用するようになったのは明治期以降ですが、それでもフォーマル着としては認められていません。 あくまで、女性の和装フォーマルは、帯付きの姿なのです。

隠れたおしゃれ、男性羽織の裏地 (12-17-17)
当ブログ「半襟」 (9-29-16)

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KIMONO ROBOTO

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表参道ヒルズで "KIMONO ROBOTO" のイベントが行われておりました。 半円形の動画スクリーンをバックに、宇宙空間を思わせるようなスペースにゆったりと上質な着物が配置されています。

センターは、全身を「束熨斗(たばねのし)」の文様で覆われた打掛姿のロボット! 肩先で束ねられた短冊は、それぞれ違った文様、違った表現で構成されています。

その説明一つ一つがモニターパネルに表示され、その部分を可動するライトが照らします。 大変丁寧な解説文ですから、願わくば、もっと大きなパネルで読みやすくする工夫が求められます。

展示されている着物は十数点ですが、全て至近距離、目線の高さで鑑賞できるのは素晴らしいし、西陣、友禅、江戸小紋、大島紬、染付の木綿地に、(麻の)上布などなど、現存する技法・手法(素材、織、染)が網羅されているのも、又、見事です。

背景のスクリーンではモノトーンの映像で、大島紬を軽く纏わせた二人のモデルさんを南の島の静かなビーチで歩かせておりました。 ただ、海風は強く今にも着物ははだけて飛んでいってしまいそうです。

そこまでの演出がなされるのであれば、相対するように、葛飾応為の明と暗をモチーフにした作品でもあってよかったのでは、などと欲ばりな考えがよぎってしまいます。

豊かでゴージャスなイベントでしたが、博物館や美術館の関係者がご覧になったら、「このイベントの予算の半分でも余裕があったら」などと感じられるかもしれません。 それほど、贅沢なイベントなのです。

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着物の着付け - 2

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仕事がら、TV などで着物姿が映し出されると、やはりよく見てしまいます。 とてもしっかりとした綺麗なお着付けが多いのですが、正直「ちょっと、どうかな?」と思うこともあります。 端的に言うと、良し悪しのばらつきが以前よりずっと大きくなったように思います。

大変お美しく、小顔の佐々木希さんのお着物姿は本当に素敵なのですが、UNIQLO のモデルさんとしても知っている私たちには、どこか違ったイメージを感じることがあるかも知れません。 個人的には、もう少し 'らしさ' を生かすお着付けがあってもいいのではないかと考えます。

私どもも時おり撮影現場に伺い、お着付けをさせていただくこともあるのですが、当の女優さんやモデルさんも着物の着用にはかなり気を遣っておられるように感じています。 最近では、着物姿をインスタグラムなどにアップされると PV がぐっと伸びるようで、真剣さも伝わってきます。

皆さんも着物姿になって、ちょっと上半身が重いと感じられたら、余計な補正材を取り除いてお着付け直すのが基本ですが、そのような余裕が無い時には、少し斜め下から映して貰うなど、工夫してみてください。 お着物を新調される時、少しばかり細身に仕立てられることも考えてみてください。

着物はユニフォームではありませんし、ましてや、動かないお人形でもありません。 着物でも、ファッションショーのランウェイ上で、力強く、そして優雅に、メリハリのある動作でその魅力が引き出されないとおかしいのです。

お着付けも、お手本通りに仕上げれば、それで足りるわけではなく、洋服と違い、お着付けでより自由のきく着物だからこそ、着られる方それぞれがお持ちになる個性をどう表現されるのかを、もっともっと追求して欲しいと思います。

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七五三 - 2

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今年も七五三の季節がやってきました。 私どももお着付けを依頼されますし、街中でも着物姿のお母さんに手を引かれた羽織袴のお子さんをよく見かけます。

筆者も、祖母が誂えてくれたであろう、背中一杯に '鯉の滝登り' が描かれた羽織姿で、3 歳と 5 歳に祝ってもらったようです。 もちろん、3 歳の時の記憶はありませんが、着物の持つ滑らかで心地よい感触だけは体で覚えていたようで、次の機会、5 歳のお祝いを心待ちにしていた記憶はかすかに残っています。

ただ、期待とは裏腹に、実際に着てみるとまとわりつく裾や息苦しい帯に、かんしゃくを起こし泣きわめいていた、余りおめでたくない思い出だけが残ってしまいました。

わがままだった筆者に比べると、私どもにご依頼いただく 4 歳、5 歳のお子様は、とてもお利口で、お仕上がりまでしっかりと我慢していただいています。 特にお母様が先にお着物姿になっていただけると、お子様の変身願望をくすぐるのでしょうか、スムーズなお着付けができるようです。

袴の紐結びまでのお着付けの流れは、小さなサイズのお子様用だからといって、大人と全く変わりませんから、それなりの時間は必要です。 その上、お仕上がり後でも飛んだり跳ねたり、走り回ったり、は避けられませんから、よりしっかりとしたお着付けの工夫が求められます。

子供のお祝いごとは、古代より全国各地、それぞれにあったのでしょうが、それをひとまとめに '七五三' と称して全国に広がる一大行事にしたのは、おそらく老舗デパートのセールスキャンペーンが端緒だったはずで、それほど長い歴史のあるものではありません。

確かに、私たちは売り手の販売戦略に乗せられたのかも知れませんが、核家族が進む現在こそ、両親、祖父母、更には親族などなど、お揃いでご一緒できる機会は、本当に貴重なのではないでしょうか!

七五三は第一義的にはお子様の健やかなご成長を祈ることなのでしょうが、お集りの皆様方が明るい笑顔やユニークなポーズで一緒に写真に収まっておられるところを見せていただくにつけ、とても大切な家族の行事ではないかと改めて感じています。

家族運に恵まれる七五三の過ごし方 (11-12-17)
当ブログ「七 五 三」  (10-26-16)

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